見出し画像

「20代」というカード

うつ症状に限界が来て看護師を辞めたあの日から、
4年が過ぎた。

二度とやるか。そう思っていた。
二度とやらない。そう決めていた。

この4年間、いろんなことを感じて、考えて、
自分と向き合った。

今年の10月から、社会保険制度が変わる。
現在パートで働く私は、今後の働き方を考えなければいけない。

それをきっかけに、自分はどうしたいのか、どうなりたいのか、今まで以上に真剣に考えた。

「もう一度看護師をやりたい」
そんな気持ちが心の奥深くにあることに気づき、戸惑った。


看護師になれば一生安泰
いつでも、何歳になっても働ける
資格があってうらやましい


なんて言うけれど。

心を壊してしまったら、戻れない
戻ることがこわくなる。
使わないまま時が経てば、免許証はただの紙切れだ。

いまでも、ナースコールと同じ音楽を街で聞くと動悸がする。
夢であの頃に引き戻され、飛び起きる。



一度目の転職先は、書店だった。
本好きの私にはたまらなかった。

しばらくして結婚が決まり、
引っ越しを伴ったので退職。

短い期間だったけれど、看護学生の頃から6年。
医療の現場しか知らなかった私には貴重な経験だった。

好きなことで働けるってこんなに楽しいんだ!
看護以外の世界はこんなに温かくて優しいんだ!

毎日が新鮮で楽しかった。


今は、とある雑貨店で働いている。
ただいま〜と言ってしまいそうになるくらい、居心地のいい職場。そして何より、楽しい。

"楽しい" "ワクワクする"
そんな気持ちで働けることは、
地位やお金といったステータス以上に大切だと感じる。(あくまで私の場合)

心地よくて、楽しくて、信頼できる人しかいない
そんな環境を手放すなんて、簡単にはできない。

働く時間を減らして、このまま同じ生活を続けるという選択肢もある。

でも、
"20代のブランク4年"と"30代のブランク6年"
天と地ほどの差があることは私でもわかる。

今ならまだ、選択肢がある。

これから歳を重ね、40歳、50歳になった自分が
「やっぱり看護師に戻りたい」
そう思ってもきっと、遅い。
遅くはないけど、選択肢はほとんど残されていないだろうなと思う。

一度現場を離れてよかったことは、
看護の仕事そのものは嫌いじゃないな、という気持ちに気づけたこと。

大きな総合病院。しかも急性期。
環境が、かなり、相当、劣悪だった。
私には合わなかった。それだけ。

やってみたいなら、挑戦するべき。
やってみないと、わからない。

今しかないのだと思う。わかっている。
答えは出ているのだとわかっている。

だけど、こわい。
あの6年間を思い出すと、こわくてたまらない。

でも、10年後の自分を助けるための決断は、
今の自分がしなければならない。

後悔は、したくない。

私は、一歩前に進むことができるだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?