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音楽と匂いは思い出を運ぶ

ふとしたタイミングで些細な思い出や昔の好きだった人を思い出すことがある。

そしてそれは大抵、音楽か匂いがきっかけ。

そして思い出すものは大抵、恋愛関係か学生時代のこと。


小中学生のときにはまっていたバンドがある。アルバムの全ての曲やシングルのカップリング曲まで全て歌えるくらい、そしてファンクラブに入ってライブに行くくらいは好きだった。例えば彼らの曲を聞くと、そのときの部活の思い出や、テレビで流れていたCMなど思い出すことができる。

初めての彼氏ができたときにはある女性歌手の歌たちに思いを重ねていたから、それらを聞くとその時代に遡れる気がする。まだ幼くてもどかしかった、あの頃の甘酸っぱい青春が蘇る。

それから留学時代によく聞いていたパーティーソングがどこかしらから聞こえてくると、そのときのことを思い出すし、楽しかった思い出や若気の至りの数々なんかも蘇る。

遠距離恋愛をして、一緒に暮らせることを夢見ていたあの頃は、洋楽にはまりきっていて、今でもそれらの歌を聞くと懐かしい気持ちになる。

あれからいろいろ経験して、大人になった。


また、匂いは音楽よりもさらに強烈に思い出と結びついていて、ふとした瞬間に胸を締め付ける。

特に匂いから思い出すものは、好きだった人や恋愛関係が多い。それだけに余計に切ない気持ちになる。

中学のときに片思いしていた人。大学のときの年上の彼氏。わけあって付き合うことはできなかったけど告白してくれたあの人。一目惚れに近い体験をした人。

なぜかそれぞれ匂いに特徴があって、そしていい匂いで、同じ匂いがどこかからしてくるとその人たちを思い出す。

教室でたくさん話したあの頃。周りにからかわれながらもよく一緒にいた日々。一緒に帰ったあの夏の夕方。精神的にきつかったときに支えてもらったあの秋。


不思議なことに、音楽も匂いも嫌な思い出や辛い思い出はほとんど蘇らせない。心が自動的に選んでいるのか、脳が思い出を美化しているのかは分からない。


匂いや音楽で思い出が蘇るたびに、今までの経験の全てが細胞レベルで脳に染み込んでいるのだと感じる。それら全てが私を構成するものだと実感させられる。


最近、音楽を聞くことが減り、代わりにポッドキャストを聞くことが増えたのだけれど、今の貴重な時間を数年後、数十年後思い出すには、音楽と結びつけておくのがいいのだろうか。


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