【オトナの3行完結】雪泣きホタル
皆さんは、覚えていらっしゃるでしょうか?
あの暑い夏の日の熱いホタルのことを。
皆さんは、耳にしたことがあるでしょうか。
寒い冬にも熱いホタルは飛び交うことを。
寒いからこそ、人肌求めてホットに過ごしたい夜長です。
🌃🌃🌃
ゆるゆるした乳白色の温かいお湯の中から、紅を差して熟れ熟れになった形の良い桃が、つるんと皮を剥いてかぶりついてくれ、とでも言うようにぽっかりと僕の目の前に現れ、視神経を熱くした。
その君の白くて丸い肌が、ふらふらと揺れる頼りなげな湯気に紛れて、こっちへ、こっちへ、と滴るような大粒の汗をぽったり垂らしながら、麝香でも放つように手招きをして、少しくらっと岩肌にぶつけそうになった僕の額の血流をますます激しいものへと促してゆく。
大きく広げた白い太腿をゆっくり舐め上げて、そのまま昇天させてしまったらなんとも可哀相な、一人寂しくホテルで過ごした蛍光色のホタルを脳裏によぎらせ、これは熱い湯にのぼせただけなんだ、とくらくらする頭を手拭いで冷やしながら、すっかり氷の溶けてしまったジントニックでごくごく喉を潤して、悶々とした一日の終わりを嘆いてみる僕。
🌃🌃🌃
白濁した湯にうつつを抜かしながら。
それではステキな週末を😘
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