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【歌謡ノベルズ】悲しい色やね












キレイやな、この海の色が好きやねん。
あんたと同じぐらいにな。
こっからやったな。あかんわ〜。思い出してまう。めっちゃ好きやってんけどな、あんたんこと。確か、こう 、ゆらゆら〜っと、にじむ街の灯りをこの黄色いワーゲンビートルに寄りかかりながら二人で見ていたんやったな。もちろん旧型ビートルやで。こっち側の桟橋に停めたその車にもたれて。
あれが最後のデートやってん。

ミナミの道頓堀辺りで、浪速のモーツァルト、キダタロー先生の作ったコマーシャルのメロディー思い出しながら、でっかいカニ見てな、食いだおれの兄ちゃんと写真撮って、パーっとウマいたこ焼きでも食うて、ふっと我に返るとな、思い出すねん。あん時の事。
泣いたらあかん、泣いたら。
切なくなるだけやで。

天保山にあるハーバービレッジの海遊館でクラゲ見たんや。何でも今までこの大阪湾には、絶滅危惧種のナガスクジラや、北極圏にしか生息してへんホッキョククジラが迷い込んだこともあるんやて。世界最南端記録でっせ! あんた。そんで大観覧車から夕陽見て、めっちゃ濡れ濡れになった後は、ま、フェリー乗んのもええけど、黄色いビートルでハーバーハイウェイやな。阪神高速5号湾岸線ちゅ~やっちゃ。
これがええねん。夜がな。
濡れ濡れやともっと。雨でな。
これに乗り込んで、左車線で神戸方面へ行くねん。大阪湾を内側にして走るやろ、こら、よじれるでぇ。めっちゃキレイやで。そ、この海の色でんがな。ついでに言うたら、あんたの瞳に映ったにじむ街の灯もな。きらきらしてて、忘れられんわ。

ほー、見たいっ (Hold Me Tight) や。これが、大阪ベイブルースや。
オレのこと、好きか? あんた、聞くけど。
結構壁の低いトコ多いからな、景色も十分楽しめんねん。ええやろ。
もうちょっと行くとな、右手が西中島南方、その後もう尼崎や。この辺はな、工場萌えやで。よじれっぱなしや。無数に伸びた工場の配管や、煙突なんかが光に照らされてな、独特のよじれを醸し出してんねん、これが! 
ほー、見たいっ (Hold Me Tight) ? もっかい聞くで。
オレのこと好きか? そんなことさえ、わからんようになったんか。
ここの南海岸から見てみ、大阪の街。ホンマ、涙で滲んで来るわー。
しかし、大阪の海は、悲しい色やね。
なんでか言うたらな、さようならをみ〜んなここに捨てに来るからやねん。


おっちゃん、トリスちょーだい。氷ちょっとでええわ。いやコレでええねん、俺には。ハワイの夢見ながら、ジャパンメイドウイスキーやね。「男のサケ!」やがな。これでも洋酒ブームの火付け役やし。まあ、トリス言うたら、トリスファンのタイタンさんの、『特殊能力選手権』の話も思い出しまんな〜。あれ、めっちゃ好きやねん。ミルクがぴゅー! でっせ。
あ、このトリスの創業者は、鳥井さんちゅ~ねんて。ホンマやで。
せやけど、知っとった?この鳥井さん、夢しかないよな男やけれど、赤玉ポートワインで元手作りはった後、ヤッスくてマッズい模造ウイスキー買わはって、よう飲めへんかったんやて。一度だってあんた、憎めなかったがな。しゃーないんで、ワインの樽に入れて放っぽりはってたんやけど、何年か経ったら、それが琥珀色に熟成したんで、そこへ色々ブレンドしはったんが「トリス」やねんて。コレ売り出したら、よう売れたもんやから、京都と大阪の境、山崎に蒸溜所作りはったらしいわ。
昔は「トリスバー」ちゅ~のもあったしな。テレビでコマーシャルもやっとったやろ。ま、今はホンマに美味しい「山崎」っちゅうウイスキーもあるけどなぁ。あ、今度連れてったろか。ウイスキー博物館。オレの黄色いワーゲン乗って。あ、でも乗り鉄やったら電車でもええわいな。それに車で行ったら、テイスティングがでけへんがな。断られんで。ほんなら京都線か。や、ちょっと待ち、京阪本線でも行けるんとちゃうか。淀屋橋駅から。寝屋川通って、菊人形で有名な枚方パークのある枚方のちょっと先や。降りてから宇治川越えなあかんの忘れんといて。あれ、そろそろ始まるやろ。え!? 今日からやって!? 秋の菊のシーズンや。ちょっぴりおセンチな寂しい季節やで。
逃げたらあかん、逃げたら。
あんた、また唇噛んだけど、ギンギンなってまうがな、ソレやられたらオレは。

ほー、みたいっ(Hold Me Tight) ? ぎゅーっ、したいっ! 潰れてもかめへんか? 大阪ベイブルース。
ま、乗り鉄やったら、阪堺電車もオモロイんちゃうか。いわゆる路面電車っちゅ〜やっちゃ。通天閣行って、串カツ食ったら、乗ったらええわ。我孫子の車庫もこれまたよじれるで〜。あの辺は、ちょっとタダならんオーラ出てるかもしれんけど、あのひたすらな場末感言うたら、ニッポン一やで。
何がスゴイって、売ってるスリッパの値段も二度見せんではいられんけどな、壁にいきなりハリガミで「男の美学」やがな。これにはガツンとヤラレたで。よう聞いときや。

『20代30代は男に成りたい。
 40代50代は男で在りたい。
 60代70代は男で死にたい。』

どーやねん、しかし。あんた。わかりすぎるんとちゃうか。これが大阪ベイブルースやで。
ま、川はいくつもこの街流れてるねんけど、道頓堀川やろ、寝屋川、宇治川、そんでもって淀川や。こら、クジラも間違って入り込んでくるわな。まぁ、お陰で、オレの恋や夢のかけらも、み〜んな海に流してくれるんやけどな。クジラも上手いこと海に流れて行ったんやろか。

ほー、ホッケみたい!?

『ホッケードーのホッケです。
そんなホッケは半身でもデッケードーでした。』

ってホッケ食べるたんびに言ってくれるんは、カッピーさんやね。まあ、カッピーさんの居る横浜辺りもベイブルースがオサレみたいやけれど。
ここは、ホッケードーでもないナニワ大阪ベイブルースやけれど。
それやし、今日で二人は終わりやけれど。
泣けてくんなー、しかし。

ほーみたいっ♥今更やけど、ぎゅーっしたいがな。
「あんた、アタシの、たった一つの青春やった。」
なんて言わんといて。
もう既に終わってるんかいな。
こっちは、ぎゅーっして、ちゅーっして、しゃぶしゃぶーっして、ぐちゃぐちゃーっして、ぐちょぐちょーっして、びちょびちょーっして、いやーん♥あはーん♥して、イクーっとかして、もっとーして、ギンギンーっして、まだまだイカしたるでーっとかしたいと思ってるんやけどなー、あんた。あほーみたいっ♥あかんか。













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