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【シネマでおジャマ】シェルブールの雨傘 (1964)


フランスヘ行こうか、と思い立ったのはきっとフレンチ・シネマが好きすぎて。
雨の日だって歌えば楽し。白いゲレンデするっと滑り、ポン・ヌフ歩いて恋人気分。レースが見たけりゃル・マンヘGO!
お家に居たって行かれます。居ながらにして、舞台の街を訪ねましょ。さあ、ど〜ぞご一緒に。




きっと日本人が一番好きなフランチシネマ。
フランス初のミュージカル映画。アメリカンとちょっと違うのは、全編音楽のみ。セリフは一切なし。

あらすじはこんな。

港町シェルブールに住むラブラブの若い恋人たち。
ある日男は召集で2年のアルジェリア戦争へ。
待つ間、お腹に元カレの子が居ながらも、金持ちの別の男に嫁がされた女。
戦争から戻って、それを知った男は失意の中、酒と娼婦に溺れる。そこへ従姉がやってきて一緒になる。
ラストで二人は再開するが...


フランスの映画祭と言えば、毎年5月に行われる、カンヌ国際映画祭。今年は7月6日〜17日に延期ですが、この映画は、第17回カンヌ国際映画祭でパルムドール。
監督はジャック・ドゥミ、音楽はミシェル・ルグラン
このコンビでは他にもミュージカル映画が何本か。
どれも小粋でジャジー。

監督のジャック・ドゥミは港町ナントの出身。
1950年代から「新しい波」として動き出したフランス・ヌーヴェルヴァーグのメンバーの一人。その光り方はまるで"真珠"。
ちなみに妻も女流映画監督、息子は俳優。

どの映画でも女優を魅せるのが上手く『ローラ』でかわいい娼婦を演じたアヌーク・エメや『天使の入江』でカジノにハマる女、ジャンヌ・モローも美しい。
アヌーク・エメは'66にあの『男と女』を、ジャンヌ・モローは'58の『死刑台のエレベーター』で既に見せつけていた不動の美貌。

この監督のキーワードはこちらの3つ。
1) テンポの良い音楽(ほぼジャジー)
2) 娼婦(上品で美しい→女性の二面性)
3) 舞台は港町(水兵が登場→酒場と娼婦)

この3要素はドゥミの全ての作品に見られるポイント。
そしてこの作品は、彼のカラー作品第一作。

ではその大切な音楽は。
フレンチシネマ界の巨匠、ミシェル・ルグラン
この人は他にも、ダンスと激動の時代を絡ませた『愛と哀しみのボレロ』、スティーブ・マックイーンとフェイ・ダナウェイがステキだった、アメリカ映画の『華麗なる賭け』、往年の名優バート・ランカスターを返り咲かせた『アトランティック・シティ』なんて映画の音楽も担当。

またこの二人のコンビで、実写版『ベルサイユのばら』も作られているので機会がありましたらどうぞ。

主演は皆さんご存知の、カトリーヌ・ドヌーヴ様
若く、お美しい。
他に特に申し上げることはございません。
本当は自分で歌ってるんじゃなくて、吹き替えだ、とか、地毛の色は金髪じゃない、とか、映画監督(ドゥミではなく)、俳優、歌手、ゲンズブールとまでも浮き名を流した、とか、そういうことは言わなくてもいいんです。
ドヌーヴ様ですから。(別格です)
まだまだご健在で美しさを保っていらっしゃいます。お年相応の。

では、ヌーヴェルヴァーグとは?
訳すと「新しい波」ですが、何が新しいのか。

それもポイントはこちらの3つ。
1) 外撮り
2) 等身大セリフ
3) 即興

1)外で、撮影するとリアルな光効果(印象派絵画と同じ観点)→スタジオセット代の節約→自由なカメラワーク(手持ちカメラもお安く上がる)⇒リアルな映像
2)演劇調の固いセリフまわしではなく、普段の会話が中心。ケンカシーン、時々は暴言さえも歌っちゃえ!⇒生き生きとリズミカル
3)アドリブ大歓迎→じゃ、音楽も一緒に一発撮り→ど〜せならジャズっちゃう→後からの大所帯オーケストラでのスタジオ録音も省略で安上がり→無名の新しい音楽(当時はジャズ)やってる友達に頼んでみよう⇒新人の発掘と才能の開花

ホラね、いいことたくさん。ヌーヴェルヴァーグ!
(というか楽観的脱線的お金無くても楽しみ上手おフランス人の考えそうなこと)

なのでこの3要素を含む映画は"ヌーヴェルヴァーグぽい"ということになりますね。

『サウンド・オブ・ミュージック』('65)も、『ウエスト・サイド・ストーリー』('61)も素晴らしいミュージカルですが、ちょっと違うんですね。計算されすぎ。

ですから先程の、パリから列車で3時間すぐ行けちゃうドーヴィルの、砂浜で戯れながらダバダバしちゃう『男と女』、気怠くシャンゼリゼをぷらつきながら、マイルス・デイヴィスの鳥肌が立ちそうにクールなトランペットが、かなりの色気のウェイトを占める『死刑台のエレベーター』も、ヌーヴェルヴァーグ。

慣れないと、どーしたん?って感じになりますが、当時はそれが斬新だった訳です。

ところで、このシェルブールという町、どこにあるかご存じですか?

〈ヒント1〉映画のタイトル通り雨が多い
〈ヒント2〉ジャック・ドゥミ監督はいつも舞台が港町
〈ヒント3〉国鉄列車 、終点駅。

🤔 雨が多いので南仏ではありません。
🤔 港町なので、海に近いですね。
🤔 行き止まりになりそうな場所。


ということで...
回答はコチラ👇



ここは、パリ、サン・ラザール駅から列車で約5時間
ノルマンディー上陸作戦で有名な、ノルマンディー地方。
英仏海峡を渡ればもうイギリス。

さて、ではシェルブールってどんな町?

「シェルブール」のブールは英語読みにするとブルグ。以前もお話致しましたが、これは、お城を指しますね。

そう、もちろんここにもお城がありました。

これは観光案内所がアプリ用に作った、今はなきお城のシュミレーション画像の紹介。
城壁に囲まれていた、旧市街の様子もばっちり。

今でこそ、国際的港湾は、近くのル・アーブルに移りましたが、以前はマルセイユに継ぐ大きな港。
ここからたくさんの人が新大陸ヘ渡って行ったはず。

今は、海洋博物館で大西洋についてと、当時の様子、船と潜水艦についての展示が。

そしてこちらは、映画ロケ地の"ビフォー・アフター"。
観光案内所の作成。


そして旅の楽しみは、他にも。

ノルマンディー、と言えば、モ〜〜牛。

ノルマンディー牛の特徴はこちらの3つ。
1) 美味しい牛乳、美味しいお肉
2) 体は白地に茶色の斑点
3) メガネのような目のまわりのシミ
性格は大変穏やか。

そんな美味しい牛乳からは、カマンベールチーズや生クリーム。
またリンゴもたくさん取れます。
リンゴから造られる美味しい蒸留酒は?
そう、カルヴァドス。

こんな美味しそうなビスキュイ+リンゴ+生クリームのお菓子を、40°のカルヴァドスとご一緒に。


ん〜💖、いっちゃいそうでしょ?


あとは、"シェルブールの雨傘"、唄えれば準備は万端。
え? 唄えない...大丈夫、大丈夫。
一緒に唄ってみましょう☔



シネマでおジャマ! 致しました。



https://www.encotentin.fr/cherbourg



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