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クラフトビールと台湾と欲望

地獄のパスポート申請から1週間、無事できあがったので取りに行ってきた。パスポートセンターは相変わらずどころか、私が行った時を上回る激混み具合で、人混みの中を出来たてのパスポートを小脇に抱えて悠々と帰ってきた(嫌なやつ)。

仕事が終わっても空が明るく空気は心地いい。ビールがおいしい季節になってきた。昨日、アメリカではクラフトビール市場が頭打ちで倒産する企業が出始めているという記事を読んだはずだが、今探してもどこにも見つからないのでそんな事実はないのかもしれない。自分で言うのも何だが、クラフトビールを好きそうな顔をしているのに、銘柄とかIPAとか何も分からない(というか覚えられない)。ワインとかウイスキーとかコーヒーとか、いろいろと覚えている人の記憶力はどうなっているの?というくらい覚えられない。それでも、何も知らない顔をしてクラフトビールを飲みに行きたいですね。

飽きもせず台湾の話をしますが、私のなかで台南のクラフトビアバーでビールを飲んだ記憶が、クラフトビールと結びついている。日本にいようが、クラフトビールと心地良い風があれば、あの、いつまでも続いてほしいような至高の時間が立ち現れるわけです。買って帰ろう。台湾行きたい。


そう、私は台湾が大好きで、大学3年の夏頃に台湾に1ヶ月くらい滞在しちゃいたいな〜と思っていた時があった。末広町にある「PARK GALLERY」のオーナー、加藤淳也がnoteか何かで台湾に2週間くらい行った時のことを書いていて(これも見つからない…)、定型的な小籠包!九份!の台湾ではなく、若者がカルチャーを育む生活としての台湾を体感したくなったのだ。当時はちょうど卒論のテーマを決めるタイミングで、でも就活のことなんかもチラつき始めるタイミングでもあって、ゼミの教授にそのことを軽く話したら「行っちゃいなよ!」と軽く返された。行ったらそりゃ楽しいだろうけど、お金も時間も使い果たすし、留学のように高尚な理由も明確な目的もないし、英語も中国語も喋れないし、現地のユースカルチャーにコミットできる社交性もないし(多分ここで一番ビビってた、部屋の中で一人で過ごす自分がありありと想像できた)、実際そこまで台湾が好きかもわからないし、…とできない言い訳を並べ立て、結局行くことはなかった。今思えば、なぜ行かなかったのか理解できないほど絶好のタイミングだった。春でも夏でも秋でも冬でも、就活前でもバイトが忙しくてもお金がなくても、行くべきだったと思う。誰にも禁止されたわけではなく、唯一私が私に欲望に従うことを禁じていた。

私を取り巻く周囲のすべてが許すなら、思う存分おいしいご飯をたべたいとか、仕事を辞めてベッドに寝っ転がっていたいとか、今すぐ台湾に飛んで行ってクラフトビールを飲みたいとか。「そんな欲望のままに動いてたらダメだよ」という意識は、私がより良くあるため(過度に太らないため、社会的に困らないため、貯金を使い果たさないため)にかけられるブレーキではあるが、今回の場合は全然良い方向に作用しないブレーキだった。そんな思った通りに動いてたら、お金もなくなっちゃってルーズな人間だと認定されちゃうよ、と思っていたが、はたしてそうなんだろうか。生物の三大欲求にあるがままに従う人は怠惰だとされ、規律的な人間が賢く文化的だとされるが、はたしてそうなんだろうか。

欲求の中には従って後悔しないものがあるということ、むしろ従った方がいいものがあるということ、いやむしろ、従った方がいいかもしれないということ。忘れないでいたいし、台湾には今年中に行きたいですね。

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