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休暇入ります

勤務する工場では午前中に一服休憩がある。
今まで数社で勤務した経験があるが、
どこの会社でも同様の休憩があったのでスタンダードなのだろう。

しかしながらウチの上司は、
『午前中の一服休憩いらなくない?』
なんて言い出す始末。
あまりこの休憩に前向きではないようだ。

とはいえ、
『人間の集中力の持続は90分間位と言われていて、それ以上の業務は作業効率が著しく低下するのであって‥』
などとそれっぽい御託を並べてみたものの、
シンプルに言えばずっと働くとしんどくなるから
ちょっと休みたいのが本音。
そして俺がすこぶる怠け者だからだろう。

僅かな時間だが外に出て日差しを浴び、
雲の流れる速さで風を感じたり、
飛び回る野鳥を眺めたりしたい。
工場に篭りっぱなしで仕事をしていると
こういう時間がたまらなく愛おしくなるものだ。

しかしながらみんな積極的に取らない傾向にある。
それは前述の上司の苦言や、
はたまた仕事への真面目さか、
周りへの忖度なのか取りづらいようだ。

俺はどうしても取りたいので、
休憩の為に標準を合わせ仕事をする。
それがモチベーションとなり
仕事にも張り合いが出るってもんだ。

さすがに周りがすげー忙しい時は俺も休憩入らずに手伝うが、
ただ何となく周りが入りづらそうな感じだったら躊躇なく入っちゃう。

つい先日も入りづらそうなみんなを横目に
コソコソと一服休憩に入る。
別に悪いことをしている訳じゃあないんだが。

外に出てベンチへ腰を下ろす。
疲れのせいかいつもなら飲まない激甘の珈琲を摂取しながら思った事ひとつ、

「あぁ‥俺も働き者になりてぇなァ」

もう今世は無理だと思うんで、
来世は【働き者】or【勤勉】のスキルを希望。


工場からは同僚が働いている証明でもある
機械設備の稼働音がけたたましく鳴り響いていた。

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