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嘘をつくこととは

 私が誠実であろうとするのは、倫理観や道徳観から来る、善悪や正しいか否かによる判断ではない。嘘をつくことで得られる目先の利益よりも、嘘が発覚することによる長期的な損失や信頼喪失のリスクを回避したいからだ。
 嘘をつく人は合理的な判断力が欠けてるのではないか。感情の支配に屈してるのではないかと思うことがある。
 人間から一切の感情を切り離すことはできないだろうが、一時の感情で不利益を被るのであれば、少しは自覚的になった方がいいのではないだろうか。

 一番の罪は他者につく嘘よりも、己につく嘘だろう。それは罪であり、人生を蝕む毒となる。いずれは毒されている感覚も麻痺し、自分の感情や意思を他者や社会、世間といったものに明け渡してしまう。ルソーがいうところの「自らで自らを統治する」こととは相反する行為ではないだろうか。

 嘘をつき続ける限り、ルソーの考えを元にした民主主義は実現されないのかもしれない。一方、人間は「嘘」や「虚構」によって発展してきたという言説も存在する。民主主義とは、「決して到達はできないが、できるだけ理想に近づこう」という人間らしい考えの表れの一つかもしれない。

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