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盗めるアート展

盗めるアート展(Stealable Art Exhibition) をSame ギャラリーにて開催します。本展は、国内外で活躍するアーティストの作品で構成される、盗めるアート展です。会期中、会場にはセキュリティを置かず、24時間無人営業し、アーティストの作品は、来場者が自由に持って帰って (盗んで)よいものとして展示されます。盗んでよいものとして作品が展示される時、アーティストはどのような作品を展示するのか?鑑賞者と作品の関係性はどうなるのか?  芸術作品に常にまとわりつく、ギャラリーや美術館という守られた展示空間との既存の関係性が壊された空間で、現代における芸術作品のあり様を違った角度から捉え直す機会となったら幸いです。 アートに興味のある方々だけでなく、家の壁が寂しいから何か飾りたい方、絵画泥棒をやって見たかったけどできなかった方、そんな方々のご来場をお待ちしております。

※掲載サイトより引用
https://samegallery.com/S_A_E

ゆっくりと鑑賞してもらい、気に入った作品を持って帰ってもらおう、と思っていたであろうが、現実はそうはいかなかった。

あまりの混雑さに近隣住民から苦情が入り、開始予定30分前に会場したものの、一瞬で作品がなくなり展覧会は開始早々終了となったとのこと。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a436e65f030b127cedf114cbb880f3f50858a2a3

さらには、早々に転売?目的でオークションに出品されている模様。原価0円だから、売上げ=利益となり、転売ヤーにとってはなんともおいしい企画であったといえよう。

オークションサイトがヴァーチャル・ギャラリーと化したのはなんとも皮肉なものである。

なぜこのような結果となってしまったのか、考察してみたいと思う。

1. 盗むというコンセプト

最初にこの企画を知ったとき、おもしろいと素直に思った。冒頭に触れた通り、コンセプト自体は興味深く、どのような作品が展示され、どうやって会場から作品が盗まれていくのか。おそらく、夜中にこっそりとやってきて、ルパンのような大泥棒をイメージしていたに違いない。

ただし、興味深いが、行きたいとは思わなかった理由。時間帯ということもあるが、なにより「混雑することしか想像できなかったから」。無法地帯な状況となるのが目にみえていた。ここに、アート従事者と世間一般との乖離が伺われる。

2. 盗む・泥棒

タイトルや用語の使用の問題。キャッチーで話題性が出たという意味においては、ある意味で大成功だったといえるであろう。しかし、当の主催者側がそうは思っていないようなコメントを寄せていることからして、結果的には間違いであったと言わざるを得ない。あくまで、「結果的に」ではあるが。

3. 回避策

あくまで私個人としてのひとつの案ではあるが。以下のようであったのなら、また展開は違った、のかもしれない。

ただし、盗まれた作品を管理、および今後の展開を見越したうえで、以下に同意された方のみを本展における「絵画泥棒」の定義とさせていただきます。

1. 住所、氏名、連絡先を記入していただきます。
 (ただし、本作品管理以外の目的で、個人情報は使用致しません。)
2. 盗んだ作品と一緒に撮影させていただきます。
  後日、「盗めるアート展-21世紀の大泥棒(仮)」と称し、写真展を開催いたします。

同意いただけずに作品を盗まれた場合は窃盗罪が適用され、刑事処罰の対象となります。

監視カメラの情報を提供
作品にGPS発信機←実際にはつけずとも抑止力にはなる、かな。


話題にもなり、なにかを考える問いを提示したという点においては、現代アートの定義を満たしてはいるであろう。

しかし、目新しいこと、誰もやったことがない奇抜なことを狙ってやることがアート、なにをやっても現代アートといえばOKという風潮はいただけない。

それは、アート界に存在する「暗黙のルール」に則っているからにほかならない。そしてなにより、そこには「信用」が存在している。

近隣住民に迷惑をかけてしまった時点で、もはやアートではない。おそらく同様な展示は今後催される可能性は極めて低いであろうが、当ギャラリーには違った形で新たな展示を是非とも挑戦し続けてもらいたい。


よろしければサポートお願いします!今後の制作活動費として利用させていただきます。