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1on1カンファレンスを開催したわけ

2020年12月、『1on1カンファレンス ー「対話」を通じた「人の支援」を考える日』というオンラインイベントが開催されました。
https://career-update-org.connpass.com/event/190384/

1on1ミーティングという手法が広まる一方、多くの課題も出てきています。
しかし、1対1のコミュニケーションは、秘匿性の高い個人情報を扱うことが多いため、実際のコミュニケーション現場の様子が共有されることがほとんどありません。結果、1on1の支援をしたくても具体的なアドバイスができませんし、支援の難しさが、組織で1on1を広げようとするときの障害にもなっています。

同イベントは、1on1のスキル向上を支援する方や1on1を企業内に広める活動をしてきた方の取り組みを共有するイベントとして開催されました。そんなイベントの開催を決め、実行委員長として開催を引っ張った尾澤愛実(おざわまなみ)さんに話を伺いました。
(インタビューは、2020年の年の瀬に行いました)

実行委員長プロフィール

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尾澤 愛実(おざわ まなみ)
WEBディレクターからキャリアをスタートし、商品企画、人事を経て独立。カウンセリングや組織心理学を学び、その知見を活かして1on1代行、マネージャー向けアドバイザーや職場のコミュニケーションの研修を行う。1on1関連の商品や本の執筆を行っている。
「会話の引き出しを増やす 1on1カード と 使いこなしブック」 「1on1ミーティングで悩んだ時に読む本」など
https://careerupdate.booth.pm/

1対1のコミュニケーションを支援する専門家に出会える場をつくりたい

ー イベントを企画した理由について教えてください。

尾澤:専門的な1on1のイベントが無いなと感じたことがきっかけです。1on1初心者、導入支援を目的としたイベントは多くありますが、私がカンファレンスをやるなら一歩踏み込んだ内容にしたいと考えました。もっと本気で1on1について学びたい方が出会うイベント、1対1のコミュニケーションに関わる業界を活性化するイベントを作りたいと思いました。

1対1のコミュニケーションに関わる業界には、いろんな課題があります。

例えば、1on1を支援する側の問題です。1対1のコミュニケーションを支援する専門家と一口に言っても、臨床心理士やコーチ、キャリアコンサルタントなどがいます。しかし、専門スキルがある方よりも、アピール・見せ方がうまい人が目立ってしまっていると感じています。スキルがある専門家が、SNSが不得意だったり、業界が少し閉鎖的なために世の中で知られていない現状を変え、カンファレンスをスキルのある専門家と1on1の現場の架け橋にしたいと思いました。

登壇者を選ぶにあたっては有名であるとか、過去の登壇経験を優先するのではなくて、私自身がクライアントになりたい、これまでお付き合いをする中で素敵だなと感じた方に声をかけました。

複数の専門領域を多面的、横断的に見たかった

ー どんなイベントにしようと考えたんですか?

尾澤:世の中には、キャリアコンサルタント向け、コーチ向けのコーチングイベントなど専門職種、技能に特化したイベントが多く存在します。全部ごっちゃにしたら、何が起きるのかを見たいと思いました。

登壇者選定では今回できるだけ幅広い分野の方を呼ぶことを意識しました。私が関わりが多い分野なので、臨床心理士や産業カウンセラーといった心理系に少し偏りましたけど、キャリアコンサルタントやコーチもお呼びしました。

以前、コーチングやキャリアコンサルタントのイベントにも参加したんですが、どうやってその専門領域を売り込むかという話が中心になりがちです。1on1の導入を考える人事や組織のリーダーの方からみれば、そうした売り込みの中から、何を採用するか判断することは酷だと思います。それぞれに得意な点、不得意な点はあります。

1on1を導入するにあたり、多面的、横断的に見る人がいればいいのに、と思っていました。私自身の強みは、多面的、横断的に見ることができることだと思ってますし、私が1on1を支援するときもなるべく多面的、横断的に考えるようにしています。

だからいろんな専門家をごっちゃにしたイベントが欲しかったですし、やりたいと思いました。システム開発系のイベントでは、少しずつ心理学などの知見が入ってきていますけど、このイベントではもっとはっきりとした変化を求めました。

ー 開催してみてイベントの手応えはいかがでしたか?

尾澤:思ってたより受け入れられたなというのが正直な感想です。

参加者からの感想として、楽しかった、勉強になったという表面的なコメントだけでなかったことは嬉しかったですね。

「自分がやる1on1ではこうしてみようと思った」とか「こういう対話の形があるんだと知ることができました」という感想をいただいたり、私が書いた本を買ってくださった方がいたり、実際にコーチング受けてみようとされてる方もいました。

実際のアクションやアクションにつながるコメントがあって、参加者の方々に変化をもたらすことができたような気がします。

ただ、登壇者同士や参加者が交流するというところまではできませんでした。どういう専門家がいるのか知ってもらうに留まってしまったかな、と感じています。

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第二回は個々へのアプローチに寄せたイベントにしたい

ー 第二回をやると聞きました。どういうイベントにしたいですか?

最初から一回で終わらせないほうがいいなとは思っていました。
今回の方針とそのまま同じものをやるのかと言うと、ちょっと悩ましいですね。
1回目は初めての開催だったので、対話することの大事さを伝えたくて、「対話」をテーマとしました。次回は1on1を通して個々にどう向き合うかを考えたいと思っています。まだ詳細はこれからですが、いろんな登壇者をお招きして開催できたらと計画中です。

インタビューを終えて

尾澤さんの話、イベント開催のきっかけや理由について、どう感じられたでしょうか?
1on1では現場の様子が共有されず、支援することが難しいという問題を抱えていますが、いろんな専門家の目を借りて多面的に見ることで、スキル向上のきっかけや支援の方法が見えてきた第一回の1on1カンファレンスとなりました。

第二回は、『「個々の特性」を引き出す「人の支援」を考える-』と題して、8月29日に開催予定だそうです。個々の特性に着目して、さらに効果を上げる1on1のコツがつかめるイベントになるようです。1on1がうまくいっていないけど、1on1という場に期待を持っている方はぜひ、ご参加ください。

(インタビュアー:@nohdomi

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