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あのね、

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記事一覧

『忘れないでと願う弱さ』

「ごめん」

ペンを落とした。いつも通り空き教室で必要なフェイク情報の書き出しをしていた時だった。窓から差し込む西日をカーテンで遮っているこの部屋は少し薄暗く、手が滑ってカツンと音を立てる。面倒だと思えば手を伸ばそうとする前に目の前の金髪が視界から消えまた顔を出した。手にペンが戻る。この時の俺はきっと、どうかしていた。黄昏時の虚しさが何処と無く漂う哀愁がそうさせたのか、弱い心がふと顔を出して勝手に

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『離別』

「わたしは!幸せにしてほしいなんて頼んでないよ!!」

そう叫んで目の前にある手を反射的に弾いた。青紫の瞳が驚きと悲しみに満ちて行くのを見て失敗したと、思った。兄を拒んではいけなかったのに。わたしだけは、絶対駄目なのに。それでも謝罪の言葉も引き止める言葉も口に出すことは出来なくてただ嗚咽が漏れる。床に落ちる複数の雫が広がって行く。いつもならわたしが泣いていたらすぐに駆け寄って抱き締めて慰めてくれる

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『食堂イベント』

鈍い音の後。ギャアともキャアともとれる周りの叫び声にびくりと肩が揺れ、ゆでたまごを剝いていた手をとめる。顔を上げてあたりを見まわすと我らがせーとかいちょーが何やらよろめいていた。え、おなか壊した?

「…………気……た」

「…………だ!…………!!」

どうやら、良くは見えないけれどかいちょーと何だかもふっとした黒髪の子が何やら言い争いをしているらしい。未だに類を見ない騒がしさの食堂で周りから聞

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『願い』

「……安直だな」
しんとした教室に響く自分の声を聞いて初めて口に出ていたことを知る。思わず撫でてしまった手を頭からそっと離し詰めていた息を吐きだした。

羽衣石 巡。

一目で分かった。あの頃の俺の弟のような存在。本来であればこんな所に居ていい人間ではない。いくら以前親しくしていたからと言って前と今では立場も関係も何もかも変わってしまったのだから。ひとつ、瞬きをして途中のままだったノートの続きを書

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羽衣石くんと田中と渚

「え!じゃああの時遊んでくれたのってかいけー様?」

「あは、みたいだねぇ〜」

通りがかりに聞いた宇宙人と会計の会話が耳にするりと入り込んで来た。ちらりと盗み見るように振り向けば楽しげな会話と笑顔が転がってきて舌打ちした。その音に気がついたのか、目敏く宇宙人が「なぎなぎ先輩〜!」などとふざけた呼び名を叫んで手を振ってくる。不快感がひどい。顔を戻し後ろの騒がしい声は無視、誰

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