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ハンドメイド雑貨店「黒猫ルージュ」のはじまり(後編)

クリエイターとしてスタートを切ったRucianだったが,売上は思うように伸びず,方向性も決まらない日々.
そこで,僕はRucianにある方に会いにいくことを提案してーー

前編はこちら


一条いろはさんとの出会い

僕が通っている雀荘「麻雀スタジアム☆オリンピア」さんには,委託販売で何名かのクリエイターさんのグッズが置かれている.
その中に,麻雀グッズ作家「一条いろは」さんのものがあった.

2023年の春のとある大会に参加すると,いろはさんがゲストで来ていた.
話によると,大きな大会のときにゲストで石川まで来てくれることがあるそうだ.

この時はまだRucianがレジン制作を再開する前であり特に何もなかったが
後日Rucianがレジン制作を再開するときに僕はこのことを思い出した.
そして,いろはさんが秋に金沢に来ることがわかると,Rucianにいろはさんと会うことを提案した.

大会は2会場に分かれ,エントリーした僕はいろはさんと別会場となり,Rucianはいろはさんの売り場に出向いた.
実際に会いに行ったRucianにどうだったか聞くと,まず最初に「本音を包み隠さない面白い人だった」と予想の斜め上の作品とは別の感想が届いたのだが,やはり作品を見たこととクリエイターさんと会えたことが刺激になったようで,麻雀グッズの制作に本格的にチャレンジすることが決まった.

その大会で僕は準決勝に残り,そして無残にも準決勝で散るのだが,会場に合流していたいろはさんに御礼を伝えることができた.
制作はこれから事業としてやっていきますと伝えると,「実際簡単なことばかりじゃないよ」と言われた.
僕たちとしては覚悟を問われたような気がしたが,むしろ起業するとはそういうものだと思っていたので,この言葉がかえって「そのほうが面白いやん」とエネルギーになった.

翌月,国民文化祭のブース出店のため再びいろはさんが石川県に来ていた.
Rucianのエネルギーになればと思い,お忙しい中ではあったがRucianにサインを書いてもらえないかお願いしたら,快く書いてくださった.
しかも娘の似顔絵まで描いてくださるとは.どこまで上をいくんだ,この方は.

一条いろはさんのサイン色紙 娘の似顔絵まで描いてくださった

期待のさらに上をいくような心遣いをしてもらい,Rucianはこれで完全に火が点いた.

そして同じころ,金沢のクリエイター仲間から助言を受け「いっそ麻雀に振り切ったほうがよいのでは?」考えていたRucianのもとに,あるイベントの知らせが届いた.

決意 県外への遠征

麻雀グッズ作家「八連荘」さんが主催する麻雀グッズ販売イベント「Mahjong Creators Market(以下 MCM)」だ.

しかも会場がベルバードさんときた.初心者に優しいお店と評判が高く,一度行ってみたいと思っていたお店だ.
思いがけない形で行くチャンスができた.

北陸には麻雀グッズに限定したイベントは無く,むしろこの案内を目にして初めてそういうイベントがあることを知ったくらいである.

Rucianにこの話を伝えると当然のごとく興味を示したが,「名古屋!?」と県外に出ることには驚いた様子だった.
そしてその場で「行った方が絶対いいね」と結論を出した僕たちは,その日のうちに申し込みをした

よく考えたらつながりの全くないところだったし,新作をどうするか,荷物をどう運ぶか,イベント中娘を誰が見るかなど懸念事項は山ほどあったが
「そんなのは知ったこっちゃない,後から何とかしよう」
半ばやけくそのような勇気を出しての決断だった.

実際,MCMへのエントリーが決まってからようやくXのアカウントを立ち上げるくらいのバタバタぶりであった.
その後もいろいろなことが重なり,さらには先の能登地震が起こったりして新作の開発には思いがけずやや遅れをとったものの,なんとか間に合わせることができた.

期待と不安が入り混じる中,前日に名古屋へと足を踏み入れた.

夕方に名古屋に入った僕たちは,娘を僕の両親に託し,翌日の会場となるベルバードのフリーに行ってみることにした.
Rucianは金沢でもフリーの経験がなかったこともあり,初心者に優しいことをポリシーとするお店ならデビューに最適だと考え,一緒に行くことにした.

実際行ってみて面白かったのは,ペナルティーがかなり優しかったことだ.
例えば,大会では通常チョンボ扱いになるフリテンロン倒牌は,その後ツモった場合のみ和了扱いにされていた.
これなら初心者の方もプレッシャーが少ない状態で打てるなと,その取り組みが勉強になった.
Rucianもたくさん和了して,楽しんだようだった.

さて,一夜明けていよいよMCMの日がやってきた.

開幕 MCM

会場に入ると,すでに運営スタッフの方が慌ただしく準備に追われていた.
クリエイターさんもすでに何名か入っているようだった.

黒猫ルージュの場所は奥の個室だった.
僕たちも設営に入った.

個室に入ると,すでに神楽堂さんが準備に入っていた.
神楽堂さんは衣装までしっかり仕上げていた.
Rucianは紐でしばった牌が気になっているようだった.

僕たちが入って間もなく,Lemoさんが到着した.
Lemoさんが入ると全体に気を回してあれこれと声かけをしてくれて,部屋の空気の流れが少し速くなったような気がした.

同室で運営を兼任する日々野まむさんからご挨拶を受けた.
麻雀仲間の拡夢さんが共通の知り合いのようで,拡夢さんが今でも頑張っていることを喜んでいた.

そうこうしているうちに,MCMが開幕した.
黒猫ルージュは,新作としてマグネットヘアゴムを持ち込んだ.

結果,たくさんの方に作品を手にとっていただき,1日あたりでは過去最高額の売上を記録した.
さらにはクリエイター仲間も増えてアドバイスをいただいたり,今後の話も少しずつ出てきたりして,これからも楽しいことが起こり続けそうなワクワク感を持ったまま,僕たちは帰路に就いた.

アフター・MCM

この経験を経て,黒猫ルージュは今後麻雀グッズを中心に展開することが決まった.
早速新作のアイデアも出たり,ありがたいことに受注制作のオーダーを頂いたりと,MCM後から嬉しいことがたくさん起こっている.
今後もRucianの作品がどこかで誰かの気分を上げるのに役立つことを願って,僕たちも黒猫ルージュ「第2章」へと進んでいくことにした.

追伸:能登地震被災地に寄付してきました

かねてから宣言していたとおり,MCMでの売上の一部を被災地へ寄付してまいりました.
大好きな能登の地に遊びに行ける日が早く戻りますように…


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