こんなはずじゃなかったのに〜帝王切開が後ろめたかった私
『こんなに違う!自然分娩 無痛分娩』
友人・川口香織さんのKindle書籍を読んで、自分の初産を思い出しました。
自然分娩以外の選択肢を考えたことがなかった当時、出産予定日間近の健診時に主治医とこんなやりとりがありました。
「レントゲンを撮りましょう」
ーー(心の声:なぜ、いま、ここで?)
「お母さんは身体が小さいでしょう。
大きい赤ちゃんの場合、難産になる可能性が高いので、事前に確認しておきましょう」
ーーなんだかよくわからないままレントゲン室に素直に誘導された私に、先生は続けます。
「お母さんの骨盤と赤ちゃんの頭が同じ大きさですね。
大変になるので、帝王切開にしましょう」
ーー(あら?赤ちゃんは柔らかい頭蓋骨で産道を通ってくるから、同じサイズで問題ないのでは?)
不思議に思いながら、先生に返答しました。
「私よりも身体が小さい妹は、彼女より30cm以上も背が高い旦那さんとの赤ちゃんを自然分娩で出産しています。
私の夫は平均的な身長ですし、赤ちゃんが大きいということもないですし、問題はないと思います」
すると、先生は言うのです。
「身長と骨盤のスペースは違いますから」
ーー納得がいかない私に、先生は続けます。
「二十数時間も陣痛で苦しだ末に『先生、切ってください』とおっしゃり、『最初から切っておけばよかった』とぐったりされるお母さん方が多いですよ」
そうしたケースがあるのは、理解できます。
ですが、私にとっては "自然分娩一択" でした。
がんとして首を縦にふらない私に、先生はため息まじりに言いました。
「旦那さんと話し合ってから、またいらしてください」って。
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(私の答えは変わらないわ!)
いつもは電車に乗っていた道のりを、1時間ほどかけて早足で歩いて帰りました。
実家の母が
「お産が進まなくて病院で歩かされた」
と話していたことを思い出したからです。
(赤ちゃんが大きくなりすぎる前に生まれてくれば、骨盤で頭がつかえることないだろう)
と私なりに考えたんですね。
その効果があったのか、なかったのか……
翌日の夜中に破水しました。
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帰宅から破水までの30時間あまり、私はネットで帝王切開について情報を必死でかき集めていました。
そして、帝王切開歴のある友人にも、電話で話を聴いたんです。
切迫早産の恐れから何ヶ月も入院した末、帝王切開で赤ちゃんを授かった彼女は教えてくれました。
「どっちてもいいやん。産んだもん勝ちだよ」って。
「そうだね、元気に生まれてきてくれるだけで、幸せだよね。
ありがとう」
涙ぐみながら電話を切った私でしたが……
(自然分娩に挑みたい)
という強い想いは変わりませんでした。
現時点で赤ちゃんも私も命の危険があるわけではないし、なにより
(まだなにも試していない)
と思ったからです。
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そんななかでの、夜中の破水。
タクシーで病院に向かいますが、子宮口がまだ十分に開いていないことを理由に、主治医の朝の診察を待つように言われます。
主治医は言いました。
「赤ちゃんが出てこようとして、頭にたんこぶができています。
破水もされているし、帝王切開で早く出してあげたほうがいいですね」
この言葉を受けて、
「たんこぶ?
かわいそうやないか。早く切って出してやれ」
と夫。
味方がいなくなった私は、必死で考えました。
「先生、私は立ち会い出産をするのが夢なんです。
夫が立ち会えるなら、切ってもいいです」
この条件なら主治医が断わるだろうと思ったんです。
それなのに!
「わかりました。ご主人にも立ち会ってもらいましょう」
嘘でしょう!?
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手術着を羽織って帝王切開に立ち合った夫は、
「ありがとうございます」
と主治医に頭を下げた瞬間、ぱっくり裂けている私の腹部が視界に入ったそうです。
私は、息子が無事に生まれてきてくれたことに安堵。
「生まれたてはサルみたいなんて聞くけど、こんなにかわいいなんて!」
驚いたことも鮮明に覚えています。
ですが……
私の心のなかには、
「こんなはずじゃなかったのに」
という想いがありました。
"自然分娩こそが出産" と思いこんでいた当時の私は、それができなった自分に負い目を感じていました。
「帝王切開に立ち会った、なんて、わざわざ人に言わないでね」
病室を出ようとする夫に、真剣に頼んだくらいです。
・・・無知って怖いです・・・
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出産方法に優劣なんてあるはずがないのに、なんとも恥ずかしい話です。
知らなかったとはいえ、なんて傲慢だったのでしょう。
出産に限らず、正しい知識をベースに自分で考える経験が、圧倒的に足りていませんでした。
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いつだったか、漫画『コウノドリ(3)』を読んで号泣しました。
これらのセリフのおかげさまで、私がかつて言葉にできなかった
「ちゃんと産めなかった」
という後ろめたさが、涙とともに完全に昇華されました。
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こうした経験もあって、『こんなに違う!自然分娩 無痛分娩』をご紹介しました。
おなかを痛めて生んでこそ母親、だなんて幻想です。
どんな経緯があれ、赤ちゃんが無事に生まれてくる、それだけで奇跡なんです。
正しい知識を知ることで、選択肢を増やせます。
どんなことにもプラスとマイナスの両面があることを踏まえて、正しい知識をベースに自分で考える。
その習慣があれば、自分と違う選択・主流ではない選択をジャッジ(批判)することもなくなります。
出産という命懸けの大仕事を、誰もが安心して悔いなくまっとうできますように♪
「私が私である」ことの確信へ導く魔法使い
御影石 千夏
▼家族も自分も幸せになる秘訣(Kindle Unlimited対象)
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