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「『どうしてそんなに音楽詳しいの?』ってよく聞かれるんですけど、逆に『どうして同じ曲ずっと聴き続けられるの?』ってことですよ。」


友人と音楽の話になると決まって、「音楽詳しいね!」って褒め言葉のように言われるんだけど、それにいつも違和感を覚える。

詳しくなろうと思って色んな音楽を聴いてるわけではないし、音楽に詳しい人を目指しているわけではないのに。


どうして僕は、「音楽に詳しい」と言われる人になったのだろうか?


ルーツ

僕の家庭は母親、父親、兄貴という構成。

母親はいわゆる普通のリスナーで、J-POPをよく聴いてた。小学生の時はそれに影響されて、ポルノグラフィティとか平井堅とか聴いてたかも。

父親は全く音楽聴かないタイプ。

で、僕の直接のルーツは多分兄貴。兄は3つ年上なんだけど、中学校に入学した時から、TSUTAYAに行きだして。当時はそれぞれポータブルオーディオプレイヤー(兄はウォークマン、僕は安いMP3プレイヤー)を持っていたから、兄が借りてきたCDなんかは全部パソコンにダウンロードされていた。

兄姉を持つ人ならわかると思うけど、小さいときなんて特に、兄ちゃん姉ちゃんのやることなすこと全部真似っこする。僕も例外なく、ダウンロードされてる曲を自分の安物プレイヤーに落として、兄に追いついた気になっていた。


その時ダウンロードしたのは、NirvanaとかRadiohead、Black Eyed Peas、Marilyn Manson、L'arc~en~Cielとかだった。特に、Nirvanaとラルクにドハマりして、中学校の3年間はその二つしか聴いていなかった。


ディグりとの出会い

高校に入学する前に、ベースを買ってもらって、入学後は軽音部(Music Association部、通称MA部)に所属したんだけど、その部活が結構変わってる部活だった。いや、名前からそもそも変でしょ。何「MA」って?カッコつけんなよ(笑)

県内では上手いと評判の軽音部だったんだけど、とにかく先輩との上下関係が厳しくて、先輩の気に入るバンドじゃないと演奏出来なかった。で、部の雰囲気としてサブカルチャー至上主義みたいな流れがあったから、当時大流行りしてたONE OK ROCKとかRADWIMPSとかは絶対に演奏出来なかった。

だから、半ば強制的に、当時同世代でポピュラーではなかった音楽を聴くようになって、Number Girl、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、Arctic Monkeysとかを部活でコピーしてた。

しかも、固定バンドじゃなくて、2か月に1回の校内ライブの度にバンドを組みなおすフリーバンド制で、一人何個もバンドを掛け持ちしてたから、必然的に色んなバンドに出会うことも多くて。「皆の知らないバンドをやりたい」みたいな思いから、音楽をディグることを覚えたのが、高校一年生。

ディグり始めるとどうしても、好きなバンドのルーツを知りたくなるから、The BeatlesとかThe Rolling Stonesみたいな、いわゆるレジェンドバンドまで遡って聴いてた。


あと、当時サブスクリプションの音楽配信サービスが主流になり始めて。色んなアーティストを聴くから、TSUTAYAで借りるより全然お得じゃん!と思ってすぐ登録した。アプリって「おすすめのアーティスト」とか「似ているアーティスト」を表示する機能があるから、そこからもさらに音楽の幅は広がっていったかもしれない。

高校を卒業するころには、相当な数のアーティストを聴いていたけど、それでもまだオルタナとかインディーロックの割合が圧倒的に多くて、ブルース、ファンク、R&B、ヒップホップなんかは全然知らなかった。


ロックをクライミング

大学に入ると、高校の先輩に誘われて、とある軽音サークルに入るのだけど、高校の部活ととても似ていた。フリーバンド制で、校内ライブの度に色んな人と色んな音楽をやる。でも一番の違いは、先輩後輩仲が良いこと(笑)

しかも、先輩があり得ないくらい音楽詳しくて、本当に色んな音楽を教えてもらった。オリジナルバンドをやってる人もいて、ライブハウスに見に行ったりするうちに、またインディーシーンでアツいバンドを知ったりもした。

あと、うちのサークルはジャンルに囚われないサークルだから、高校の時には出来なかったようなTame Impalaみたいなエレクトリックなものとか、Frank Oceanみたいなネオソウル系もやっている。そこから色んなジャンルに手を出し始めた感じかもしれない。


サークルには他のサークルと掛け持ちしている奴(いわゆる兼サー)もいて、特にブラックミュージックのサークルに入ってるやつが多いせいもあって、このあたりからソウルとかファンクをちょこちょこ聴き始めたかな。

これは何となく、早稲田特有のような感じがするんだけど、ナイーブな音楽オタクが多い印象(笑)知識量をひけらかさずに、純粋に良いと思う音楽を勧めてくれる感じ。彼らの判断基準って「良いもの」だから、必然的に世界中が守備範囲。USやUKはもちろん、ヨーロッパとか、はたまたアジア圏の音楽まで。段々と洋楽志向になったのはこれが理由かも。

挙げればキリがないけど、ヨーロッパで言えばフランスのBreakbotやPhoenix、ドイツのParcels(出身はオーストラリアだけどベルリンが拠点)アジアだと韓国のHYUKOH、台湾のElephant Gym、Sunset Rollercoaster、タイのPhum Viphuritを知ったのは友達の影響。


兄、再来。

軽音サークルでグッと音楽の幅が広がったわけだけど、正直ポップスは全然だった。そこでまた僕のルーツ、兄が登場する。

兄は美大に通っていたんだけど、必修落としまっくて散々留年した後、ドロップアウトした。その後実家に帰ってきてニートみたいな生活してたんだけど、ある時から突然トラップビートが聞え始めて。そしたら、パソコンを持ってきて、「ここのコード進行合ってる?」とか僕に質問し始めた。

てっきり、ラップミュージックにハマっただけだと思っていたから、まさか自分で作っているとは知らなくて、驚いたのを覚えている。

その後どんどんのめり込んで、結局今はUSのビートメイカー集団にスカウトされて、そこで活動してる。USのトップラッパー(Lil Uzi VertとかDa Baby)にも、チーム名義ではあるけど、楽曲を提供しているらしい。


毎日のように家でラップが流れていたから、自然と僕もヒップホップを聴き始めた。そこでビルボードに載っている楽曲を自分で調べるようになって、ポップス全般まで守備範囲が広がった感じかな。


僕は一時期、アジアのラッパーを聴きまくってて、88risingとかRich Brian、Joji(Pink Guy (笑))、Higher Brothers、Jvcki Waiあたりを毎日聴いてる時があった。


アカデミア

ここまで来て、まだブルースやジャズには弱いことに気付いた。だから大学で「History of American Music」っていう授業を取った。

それはアメリカ人の先生がひたすらアメリカの音楽の歴史について語ってくれる授業なのだけど、めちゃくちゃコアだった。もちろんすべてをカバー出来るわけではないけど、19世紀のTin Pan Alleyより前から始まって、1970sのハードロックあたりまでやった。

特にラグタイムに始まる、ジャズやブルースについては、時代背景なんかと併せてかなり詳しく扱ってくれて。ジャズのNat King Coleとか、ブルースのLittle Walterとか。

それを期にちょこちょこ漁って聴いてる。正直この分野はまだまだだけど、レコードで聴きたい欲があるから、ジャズに詳しい友達に色々聞いてるところ。

あ、もちろんStevie Ray Vaughanは大好き!(笑)


結果

なんか、ここまで来て「結局僕が音楽漁る理由って何なんだよ」ってなってしまった。

でも、新しい音楽に出会う時って、必ず新しい人に出会っている気がする。

もちろん自分からディグる作業って大事だけど、新しい音楽を知るのは、音楽好きの人と知り合った時の副産物のような気がする。

だから、何をどう探したら良いかわからないって人は、音楽好きの人がいる環境にとりあえず身を置いてみちゃうのが良いのかも。とりあえず、下北のライブハウスに行っちゃうみたいな。一人で来てるマニアのおっさんとか結構いるし、多分そういう人は音楽の話したら止まんなくなっちゃう人だから、話しかけたらおもろいかもね。


あと、向き不向きもある。たまに一つの曲を永遠にリピート再生する人とかいるけど、僕には絶対無理だね。

だから多分、「どうしてそんなに音楽詳しいの?」って質問には、逆に「どうして同じ曲ずっと聴き続けられるの?」って質問を返しちゃう。そのくらい飽き性だから、常に新しい刺激を求めてるのかも。


こんだけ良い音楽が沢山ある世の中で、同じ曲聴き続けるってもったいなくない?本当に好きならわかるけど、他に聴くものないからって理由は正直ビッグノーノ―。

真剣に音楽に向き合える年数なんて、中学生くらいから80歳くらいでしょ。ボケたらもう無理だし。その限られた時間で出来るだけ、良い音楽に出会いたくない?いや、良い音楽を愛する人に出会いたくない?


えー、そんなことないのかなみんな。

これって僕が結局ただの音楽オタクってだけ?


#エッセイ #コラム #習慣にしていること


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1998年生まれ。早稲田大学社会学専攻。小さい頃から「お勉強」が得意な子として育ってきたが、受動的な学習に疑問を感じ、近年は創造的な活動に身を投じている。アートライティング・イラストレーション・ファッションスタイリング・フォトグラフィー・映像制作を行う。