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今ひとたびシェイクスピア

ほんっと難しい、この言い回し。
私は、ほっぺの内側や舌を噛みそうな言葉の羅列がちょっと苦手だった。

学生時代、似たような言い回しを使ったことがある。演劇部だった私は「ロミオとジュリエット」のロミオの役をやる青年、という役をやったことがある。ほんの触り程度だけどロミオの台詞を言う役だった。その台詞が、まあ当時の私には難しくて中々覚えられなくて何度先輩に怒られたことか。演劇は好きだったけど、役の背景とかそう言ったものを考えるという頭は無かったから、とにかく言葉を言って繰り返して覚えるしかなかった。その記憶があったからシェイクスピアは全部難しいのだろうと思い敬遠していた。ところが縁があったのだろう。シェイクスピアの台詞にまた触れる機会が訪れた。

友人同士でシェイクスピアの作品「夏の夜の夢」の本読み会(配役して役になって台詞を読む)をしようという企画が生まれた。シェイクスピアと言われるとちょっと躊躇するけど、役になり切れるのは楽しそうだ。少し迷ったけど参加することにした。

皆で集合予定が、猛威を振るっているウイルスの影響で、初めてzoomでやってみようということになった。zoom本読み会である。めいめい自分で買った本を持ち寄り画面越しに演じる。zoom本読み会を行う前に本を読んでみたけど、やっぱり言い回しが難しい。「夏の夜の夢」は戯曲で、台詞形式。その台詞を追うのがやっとで意味まで理解することはできなかった。

当日の本読みの会は、2時間やってみて時間が足りない時はまた次回続きをやろうということになった。全部通して皆で読むのは結構時間がかかった。2時間では本の半分くらいまでだった。翌週も皆で本読み会を行い、2時間でちょうど終わった。トータルで4時間かかった。皆がそれぞれ役になって演じてとても楽しかった。他の人の演じ方はとても勉強にもなった。

配役を変えてもう一度読み会したいという話が出た。違う役で同じ物語を皆で読む。今度の役はどんな視点になるのだろう。自分の役に割り当てられた部分を読んでみる。その周辺も読んでみる。また違った役の立場になる。音読もしてみた。するとあれだけ理解ができないと思っていたシェイクスピアの難しい言い回しがリズム感を帯びてきた。どこで区切ればいいのかわからなかった難しい文章の羅列だったのに情景が浮かぶようになってきた。

これは驚きだった。一度リズムが見えるとそのリズムに乗って文章を読みたくなる。音読する時の調子も少し変化が出てきた。面白い。噛んだらとても硬かったものが、じっくり噛むうちにどんどん柔らかくなっていく様な感じだ。読むのが楽しくなった。でも残念ながら音読するのはやっぱり口がついていかない。滑らかに動かない。これは基本の発声練習や早口言葉を練習するしかないのだろうな。

なにはともあれ、あれだけ苦手意識のあったシェイクスピアの言い回しが好きになってきた。更には他の役ももっとやってみたくなった。そして興味の出た役の長台詞をたくさん音読してみた。ますます面白くなった。「夏の夜の夢」はどの役もほんと面白い。あの難しい言い回しももっと滑らかに言えるように頑張ろう。また次回の皆との本読み会が楽しみだ🍀

※画像は「みんなのフォトギャラリー」からia19200102さんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございます。

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