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働くひとの8割が感じる「不安・悩み・ストレス」の対処法(案)

こんにちは、iCAREの金原(きんぱら)です。
早速ですがこの調査結果をご覧ください。中央やや左最上部の数字です、「82.7」、そう、それです。

令和5年労働安全衛生調査(実態調査)個人調査

働いている人のうち、「強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある」人がなんと82.7%も居るではありませんか!
これは、労働安全衛生の実態を毎年調査しているものなんですが、令和3年の調査では53.3%だったんです、わずか2年で155%増。これは何が起きているんでしょう。令和3年と令和5年を比較すると、その内容(内訳)に変化が起きていることがわかります。

働く人がストレスに感じている事

  • 令和3年
    1位 仕事の量 43.2%
    2位 仕事の失敗、責任の発生等 33.7%
    3位 仕事の質 33.6%

  • 令和5年
    1位 仕事の失敗、責任の発生等 39.7%
    2位 仕事の量 39.4%
    3位 対人関係(セクハラ・パワハラを含む。) 29.6%

令和3年仕事の量が圧倒的1位、以下責任、質となっています。令和5年はまず1位2位が入れ替わって僅差になっていることもそうなのですが、3位に「対人関係」が入ってきました(これまでも回答選択肢にはあったが回答数が少なく上位ではなかった)。
この結果から、対人関係=セクハラ・パワハラ、つまり”ハラスメント” に増加の原因がありそうだということで"ハラスメント"と、近接ワードとして"LGBT"の検索トレンド(Googleトレンド)を調べてみました。

・"ハラスメント" 2023年5月にピーク、その後一定の水準を維持
・"LGBT" 年1,2回の上昇がありつつ2023年6月にピーク

という状態であることがわかります。それぞれ詳しく見たいと思います。

Googleトレンド "ハラスメント" "LGBT"

まず、"LGBT"ですが、これは検索のピークである2023年6月がプライド月間であることに加え、その前月5月に「各政党によるLGBT法案に対する意見や法案提出」が多くあった事の影響が大きいように見えます。
その後、LGBT法案は「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」として令和5年(2023年)6月23日に公布・施行されました。検索トレンドはその後安定していますが、法律が施行されたことにより、本調査のように、「ストレスの原因は?」と聞かれた際に”性的指向”や”ジェンダーアイデンティティの多様性”に関連する事柄を想起する人が増えたのではないかと考えられます。

一方、"ハラスメント"については2023年11月の日本経済新聞による「カスタマーハラスメント」関連記事やカスタマーハラスメントを法整備する動きや、東京都のカスハラ防止条例等が継続的に報じられており、2023~2024年における関心が検索行動という形で持続したものと考えられます。
(しかし、検索のピークとなっている2023年5月については、時期的に”ハラスメント”を含む芸能人報道と重なるためその影響のようです)


前置きが長くなりました、ここから言いたいことです

さて、調査からもわかる通り、働く人は不安、悩み、ストレスを感じているということがわかりました。特に私の属する「40-49歳」は87.9%(約9割)というとんでもない数字になっています。これは「国内のラーメン丼の約9割は美濃焼である」や「9割以上が、ラーメンが1,000円を超えることに抵抗を感じている」とほぼ同じ確率であるという事実にショックを隠しきれません。10人に聞いたら9人がYESと答えるわけですから、何か対策をしたいところです。

自分の一番の味方は自分、だからセルフケアが大事、だが

最近自戒も含めて「最も自分の機嫌を取れるのは自分」だと言うことを意識しています。言い方を変えるとセルフケアですね。これで不安、悩み、ストレスに対処できればよいと考えています。
が、「強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある82.7%の方の実態はそうはいっていないようです。以下の第一三共ヘルスケアによる「健康とセルフケアの実態調査2024」のセルフケア実施率をご覧ください。年々低下していることがわかります。

人生100年時代 働く人を対象とした「健康とセルフケアの実態調査 2024」
第一三共ヘルスケア

この調査におけるセルフケアは「睡眠」、「規則正しい食生活」等、つまりマズローの欲求 5 段階説でいう最も基本的な「生理的欲求」に該当するものが多いですが、それすらも「半数以下しか意識的に行っていない」のが実態だとわかります。

マズローの欲求階層説

ここで再掲です。

以前に書いたのですが(危なく同じ内容をまた書くところでした)「自律のためには支援が必要」だと思っています。つまり「セルフケアをみんなが意識して行っている状態」は意識的に作らなければならないという事になります。

「自己理解」というセルフケア

残念ながら、不安、悩み、ストレスの全てを消し去ることはできません。なので、どう上手くやっていくか(つきあい方、むきあい方等)、その手段や考え方を身につけるのが現実的な対処方法であり、自分で意識的にできることだと考えています。
そこで活用したいのが、以下図式の「組織の論理と個人の論理の融合」(出典:労働政策研究報告書No.171  労働政策研究・研修機構(JILPT))です。じっくり理解したい方はリンク先の報告書を参照いただくとして、ここでは

「組織の論理は常に具体的な利益優先・計画性・合理性であり、自分らしさを抑圧してしまう。なので組織の論理に反しない範囲で自分らしい価値観を抽象的に概念化することで組織の論理と折り合いをつけましょう」

「組織の論理と個人の論理の融合」の要約(金原)

というぐらいの理解としたうえで進めたいと思います。

出典:労働政策研究報告書No.171  労働政策研究・研修機構(JILPT)

振り返りますが、不安・悩み・ストレスの上位はこれです。
1位 仕事の失敗、責任の発生等 39.7%
2位 仕事の量 39.4%
3位 対人関係(セクハラ・パワハラを含む。) 29.6%

この背景に「”自分(従業員)”と”組織の論理”の折り合いがついていない」状態があり、それは「自分らしい価値観を抽象的に概念化する」ことで一定解消する、と仮定してみます。ここでは、概念化した結果を「私は成長したい」としたうえで具体的にどう折り合いがつきそうかを書き出しています。

1位 仕事の失敗、責任の発生等 39.7%
【組織の論理】今後活躍するために成長性してほしいが大きな失敗は困る
【概念化】私は成長したい
【折り合い】成長の過程で失敗する可能性がある。どの程度の失敗が許容されるかあらかじめ聞いておこう

2位 仕事の量 39.4%
【組織の論理】社内でキャリアアップするためには実績の量が必要
【概念化】私は成長したい
【折り合い】この半期、3年でどの業務でどういう役割をどのぐらい経験すると、どのぐらい評価・昇進ができるか確認しよう

3位 対人関係(セクハラ・パワハラを含む。) 29.6%
【組織の論理】社内外には多様性のある人が働いている、調整力が必要
【概念化】私は成長したい
【折り合い】具体的に対応に困るケースが多くあると思うので、それぞれのケースでどういった助けが得られるか知っておこう

少し「自己理解」から「環境理解」等に広がってしまった感じはしますが、自分の論理だけではなく、組織の論理を取り入れ折り合いをつける、その中間地点に「自分らしい価値観を抽象的に概念化」を入れてみました。

「私は成長したい」という概念的論理を持ち、組織の論理と折り合いをつける

私自身も相談の場面で多く聞くのが「そのお話はすでに上司の方にされているんですか?」や「具体的にリーダーの方からお聞きになったんでしょうか?」等、明確化のための質問をしているかどうかの質問です。答えは大半していないという結論です。その真意、真実は聞かなければわからないのです、自分の思い込み(イラショナル ビリーフ)だけで思考を進めてはいけません。

つまり

組織と個人は労働契約を結んでいる「使用者と労働者」なわけですから、突き詰めると、どこかで求めているものとそこに向かう筋道(論理)がズレるんだと思いますし、ある意味それは健全な状態なのだと思います。
ただし、だからこそ個人(従業員)は組織の論理に抑圧された状態だと不安・悩み・ストレスを抱えるわけですね。
そこで、組織の論理をそのまま受け入れるだけではなくて、その中間地点に「抽象化で概念化された自分の価値観」を作っておくことで組織の論理との折り合いをつける、ということが現実的にやれることで、やったら違う展開に結びつけられそうなことだと思います。
こういった行動を金原は「自己理解」だと思って大事にしていますが、みなさまはどのように不安・悩み・ストレスを解消されていますでしょうか。

ちなみにセルフケア実施率について引用させいただいた調査を発表されている、第一三共ヘルスケア産業医・鄭理香先生は「セルフケア実践率が減少しているのは、セルフケアが定着し日常化したことの表れでは?」とコメントされていますのでご参考まで。


さて、ホットな話題を最後に。
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