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置いていく がよい

「さぁて新年なりたてほやほやのうちに今年したいことをリストアップしておくか…」と思いたった私はメモを開こうとして携帯を手に取る。元旦。あれ?メモのアプリ、どこに保存してたっけ。フォルダ分けしまくっているからどこか分からない…と思いかけ、いや違うなと苦笑した。

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最後にメモを開いて編集したのは2020年1月1日12:31 だったようだ。そして今(厳密に言うと今ではなく、新たに書き直そうとした時間)は2021年1月1日12:32 だった。なんと…ちょうど1年ぶりに開いたらしい。そりゃどこにメモがあるかも分からなくなるよ!おい、私!と一瞬情けなくなったが、それを通り越して驚きが勝り、スクショしてしまったあたりも残念である。ただ1年前の私は日頃の習慣から仕事、趣味など分野ごとにちゃんと細かく分類し、したいことだけでなくすべきことも列挙していて、結構考えてんじゃん…と我ながら褒めたくなる。チェックを入れながら、へぇ、開いてなかった割にそれなりに意識したり動いたりしてたんだ…なんていう発見もあって、タイムカプセルみたいだなと思う。(現在:2021/01/03)

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…そういえば、このお正月、小学校に集まって卒業の時に埋めたタイムカプセルを開けるという儀式が計画されていた。その日はおそらく明日か明後日で、でもこの状況だから「はずだった日」になってしまった。私たちが埋めたカプセルの中身はどうなったのだろう。係って誰だったかなと考え、少しセンチメンタルな気持ちになりかける。でも、まぁよい。過去の私と出会ったところで今の私が劇的に変わるというわけでもないだろう。それより未来の自分だ、とリストを見る。ただやはり2020年は色んなところで制限を余儀なくされた1年だったから、物理的に不可能だったことも結構あって、消せないものが多かった。悔しい気持ちに襲われる。だからいっそう今年に期待し、祈る気持ちでそこに付け加えていくことにした。


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□ 断捨離。必要かどうか見極める。

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去年の終わりからだろうか、年末ということもあって頻繁に耳にした言葉を流れるように打ち込む。私はあまり「捨てる」ことが得意ではない。いや、得意な人なんていないのかもしれないが、ミニマリストの方々はどうなのだろう。そもそも多くを手に入れずにいることが得意なのか、入れても手放すことが得意なのか聞いてみたい。とにかく私の周りにあるものは必ずに近い程度で一目惚れしたものばかりで、どれにも愛着があった。経験した出来事もたとえ苦い思い出になっていたとしても、今の私を形作るうえで大事な要素だったのかもしれないし、綺麗さっぱり忘れてしまうのもどうかという気がしていた。そして歳を重ねるごとに趣味嗜好は変わっても根本にあるところはなかなか変わらないから、いつまで経っても好きなものは好きだった。だからモノを買うときは自分の家のキャパを考え、よくよく吟味したし、時には必要でもピンとこなければ適当にあるものでやり過ごすことも多かった気がしている。ただそれでもモノはもちろん、感情や良い思い出、苦い思い出などが部屋や心の中に溜まっていって時々キャパオーバーだなと思うことがあった。自覚していながら、失敗はどこかで成功の糧になるかもしれないし、緊急時に必要になるモノもあるかもしれないと思うとやっぱり「捨てる」という選択肢を選べずにいたのである。

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何か相談をしていた時だったと思う。一人の信頼を寄せている友人が「私はさ、しんどいことがあったら家まで持ち帰っちゃいがちでキツイんだけど、最近ここで考えるのやめ〜!ってある場所を通るときにその気持ちを置いていくことにしてるんだ〜」というようなことを言った。その時の私は、(ほう器用だなぁ、それ私にできるかな…)と考えながら、でもどこかしっくりくる感覚があって試してみようと思ったのを覚えている。それからというもの、毎日通る踏切を境に置いていったり拾ったりする生活を始めた。それが意外に習慣付いてくればできるようになるもので、時に置いていったまま、次の日も拾わずに素通りする出来事なんかも出てきたけれど、それはおそらくもう必要ないものだったのだろう。少し安定シンプルな生活を手に入れたようだった。

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そこで私は2つのことに気づいた。これって出来事や感情にだけ使えることじゃない、モノもでしょ!ということ。必要か迷うものはとりあえずどこかに置いておいて、忘れてしまうものは必要じゃないとすればよい…。今思えば、片付けのプロがやってみて!とよく言っている方法だったのだけど、実際に行動に移したことはなかったから、やってみようという気持ちになった。もう1つは、この方法とても私に合っとるんやない?ということ。ありがとう。随分と生きやすくなったよ、私。

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2020に置いていきたい感情や思い出がいくつかあると自覚していた私は、「捨てる」のではなく、そっとそこにそれらを「置いてくる」つもりだ。確かに「置いておこう」と決めることも選択の1つではあるけれど、「捨てよう」と決めるよりハードルが随分と低い。ずっととらわれていて身軽でいられない理由になっていたあれこれを、私はこれを機に置く。そのまま、必要でなくなっていればいい。


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