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noteを始めた理由。



ひとりじゃない

 病気について発信しようと決めたのは、甲状腺がんの体験記がなかなか見つからなかったことがきっかけでした。病院でもらうパンフレットに乗っているサイト、SNS、周りの人など。よく見るのは、乳がんや白血病を経験した人の闘病記。体験記がなかなか見つからないということは、あまり重症度が高くなくて命への影響が小さい病気だと考えることもできます。
 でも、私にとってはそうではなかった。心配してくれる人がほとんどでしたが、「がんの中では大したことないから、大丈夫。」「手術すれば治るんだから。」と言う人も周りにいました。いやいや、一般的にはそうかもしれないけれど私からしたら大事件です。
 一生のうち2人に1人ががんになる時代と言われているものの、それを自分ごとと捉えられる人は少ないと思います。若い人は特に。22歳の私にとって、ある日突然突き付けられた「がん」の2文字は重すぎるし、自分の状態について何となく理解はできても納得はできません。どれだけ時間がかかっても受け入れられる気がしませんでした。自分が病気になったこと、その病気が「がん」であることは私に大きな影響を与えました。人生の捉え方、今日への向き合い方が変わりました。
 甲状腺がんで、AYA世代の中でも20代前半の人。探してみましたが、私の力では見つけることができませんでした。診断されてから、知り合いを通じてAYA世代で甲状腺がんを経験した方と最初につながるまでの間、私を襲ったのは孤独感でした。まだ気持ちの整理ができない、夢の中にいるようで自分の感情すら分からないような状態のときです。絶望でも怒りでも悔しさでもない、ただ激しく渦巻く気持ちを抱えているときに同じような経験をした人とつながること、そういう人の存在を具体的に知ることで、「私だけじゃない」と感じられました。私はひとりじゃないんだと分かることで、少し元気が出ました。

私だから、できること

 そして、noteで発信するということには別の意味もあります。これは病気とは関係ありませんが、自分の考えや気持ちを言葉にできること、そして他人のことを考えて行動できるのは私の長所だと伝えてくれた人がいました。言葉で表現できるという私の強みと甲状腺がんになったという唯一無二の体験を合わせて、活かしてみたい。私にできることは、発信することだと考えました。私だけのものにせず、次につなぎたい。経験を詳しく書いていくことで、誰かの小さな疑問に答えられるかもしれない。なので、あえて細かく書いていきます。

 私と同じようにつらい思いをする人が、ひとりでも減ってほしい。これが私の願いであり、noteを始めようと決意した1番の理由です。いち香の闘いの記録、いよいよ始まります。


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