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あこがれている写真にはほど遠いけど、これが私の写真


あ、この光きれい。
そう感じたときに、思わずカメラを探すのが癖だ。
ここだ、と思ったらシャッターを切る。

すぐさまさっき撮影した画面を見て、うんうんと頷くか、やっぱ違うなもっといい角度があるはずと再度撮影画面に戻って「これだ」と思う画を撮り続ける。

でもフィルムカメラならそうもいかない。
息をひそめてボタンを押し込む。カシャンと重いシャッター音が響く。心地よい。


手の中には便利なスマホがあって、いつでもどこでも画質も一眼レフカメラに劣らず撮影できるのだけど、あのファインダーを覗いて撮る感覚、ボタンを押す感覚が好きでカメラを手放せない。
それが画面を見ながら撮る方が多いデジタルカメラでも、やはりスマホの写真との画の差を感じてしまうと、旅先にはカメラを持っていこうと思うし、そうなったら圧倒的にスマホで写真を撮ることは激減する。

どれだけ画質がよくなっても、そこには私の理想とする画ではなくて、記録としての写真が残る。それを否定するわけでもないけれど、記録と自己満足の兼ね合いで「やっぱ、カメラがいいよね」と思っている。

そうやって、いつのまにかカメラとともに思い出を紡いでいっている。


最初にカメラを自分のお金で買ったのがもう8年近く前になる。以降、やや熱量の波はあれど、旅先では必ず一眼レフカメラを持っていくし、やっぱり写真を撮ることは好きだ。


当初からどこかで意識していることは「不自然な写真を撮らない」こと。
それはシチュエーションもだし、編集時の色もだし、自分の世界観(と言ったら大事おおごとだけど)を表現したいという気持ちもありながら、やはり「写真」という現実を写すものという意識がどこかであるのだと思う。

だからポートレートでも被写体となる人には表情などの指示出しはほとんどせず、物撮りも光のある場所に…という気持ちはあっても、現実で考えにくいシチュエーションに整えることはほとんどしない。
きっと、もっとよい画づくりというのはできるんだろうけども、やはり ”自然に" と心の中に留めている。


被写体が輝く美しい作品撮りは見ていて素敵だなあと思うし、それを撮れることが羨ましく思うこともある。そういうことを求められる場面もあるし、仕事があることも知っている。

だけど、仕事ではなく趣味の範囲を超えないことに関して、自分の気乗りしないことができない質なので、昔から撮影会なるものでは指示出しする友人の後ろからこっそり自分の好みの表情を撮るし、ポートレートを撮るにしても被写体の子には「自然でいいよ」と言って困らせたりしていた。


過去、息をのむような美しい写真に出会って「こんな風に写真を撮りたい」「こんな色を出したい」と思ったこともあった。

正直、近づきたかったこともある。

でも、撮影日前日まで「こんな風に撮りたい」と思っていても、結局その場になるといつも通り「自然でいいよ」とか言ってしまうし、編集中も近づきたい色と比較しながら色味を調整するも「いや違う!」と言って結局いつもの編集に落ち着くのだ。(余談だが、私はいつもプリセットを使わず一から編集する。笑)

いろいろ比較すると、ああでもないこうでもないと言ってしまうが、まっさらな状態で見ると、そんな ”いつもの” 写真がよいと思ってしまう。


多分、いろいろ望んでしまうけど、心の中ではやっぱりありのままがいいと思っていたんだと思う。

それは「あこがれ」の写真にはほど遠い。
でも、私が撮る写真は好きだし、「これが私の写真です!」と自信をもって言える。


趣味歴8年目にして、大学時代にこつこつバイトをして貯めたお金で買った愛機を手放し、より自分に寄り添ってくれるカメラに買い替えた。

新しい相棒であるFUJIFILM X-S10は、小さくて軽いながら表現したい色を出してくれるし、描写も理想にそのものだ(自然がいい、ありのままがいいと思っていてもやっぱり好きな色はある)。

おかげで、さらに写真を撮ることが楽しくなって日常的にカメラを手にしている。きっと、私はずっと写真を撮り続けるのだろう。



嬉しいことに、ときどき私の写真を好きだと言ってくれる人がいる。
フィルム写真は雰囲気も大きいので、いつも現像に出しているhibiさんのおかげさまさまなのだが、よくよくインスタに載せている日常写真は
自分の手で作り上げている感覚が強いので一層嬉しい。
あるカメラ講座をきっかけに知り合い、まあまあ付き合いの長い友人に「はるちゃんはスナップがうまいよね」と言われたときは内心ガッツポーズしてしまった。

作りこむのが苦手な分、自分が気づいた魅力は取りこぼさないようにするという強い意志はあるので、それが伝わっていたのならいいなあと思う。


私はまっさらな状態から何かを作り上げることが苦手だ。
創造性が乏しく、イマジネーションも湧かない。
他人の真似しかできない。

だけど、今あるものを自分の得意なことや好きなことで活かしていくことは好きだ。
お洋服を作り出すことはできないけど、コーディネートは好き。
リーダーシップはないけど、誰かを支えるのは好き。
絵は描けないけど、写真を撮るのは好き。


趣味に意味なんてないし、見た人に伝わるなんてわからないけれど、写っているものの魅力だったり、私がよいと思ったもののシェアの手段として写真があればいいなと思っている。


model… Chiro


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