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心地よさの原点と作りかた


夜が怖くて、正確には次の日が迎えるのが怖くて明日なんて来なければいいのにと思っていたときがあった。
不安で仕方なくって、でも自分だけは自分の味方でいられるよう、安らぐ居場所をつくらなければ。

そう思ったのが、今の私の暮らしのはじまりです。


自分のお部屋を解説する機会があり、ほぼほぼ感覚的につくってきたインテリアを構成するものたちのルーツや迎え入れたときの感情を思い出していた。

もともとディスプレイ的なものは好きで、確かにインテリアも好きなんだけど、「この部屋はインテリアが好きだからできたものなのか」と思うとそうではなくって。
インテリアも落ち着いたので、一人暮らしの集大成として私による私のための暮らしについて書きたいなと思います。


「丁寧に」生きたかった


社会人になったのと同時に一人暮らしを始めたのは、今の家ではなくひとつ前の家で、この場所が今の暮らしの原点。

最初は必要最低限、徐々に好きな家具をそろえていった(今でも大活躍してくれている)。
当時からインテリアには自分なりに気にかけていたし、「丁寧な暮らし」というものには憧れがあって日々を地に足つけて歩みたいと思っていた。

でも、現実はそうはいかなくって、冒頭に触れたとおり朝が来るのが怖くて生きることに精一杯。
なんとか沈み込んだ心を深海から救い出すように、笑えるYoutubeチャンネルに頼ったこともあったけれど、結局自分の機嫌を他者に委ねている状態でベッドに入る頃にはまた落ち込んでいることもしばしばあった。

ただ唯一「これがあれば安心」というものは、大好きなお洋服で。
いちばんいちばん近いものがお気に入りだと気持ちも華やぐ。頑張れない日のお守りだったりする。

今思うと、自分が好きという自信のもと「お気に入りがあれば」という感覚はこれが原点だと思う。


最初は憧れから

一人暮らしは身の回りのものを自分で揃えていかなければならない。その分、自分の好きなようにモノを選べるし時間を使える。
じゃあ、もう既に1日の中で残されている時間や家にあるモノたちはそのままに、余白を適当に済ませるのではなく「自分の好きなもの」で埋めていったら?

作家さんが作ったお皿にいつも適当にしているごはんをのせてみると「あ、なんかいいかも」と思う。本当に好きなものだけを買う。憧れの人の真似をしてみる。最初はそんなことから始めた。

普段は部屋が荒れ果てたり寝落ちをしたりするけれど、たまの休日にそうやって「丁寧に」暮らしてみると、荒んでいた心もちょっと癒されるような気がした。


「丁寧な暮らしなんて…」という意見もあるだろうけど、丁寧な暮らしといわれる”行為”には私にとって「よく見せたい」とか「インスタ映え」とかでもなく、今では自分の気持ちを高めるための手段のひとつと捉えている。

誰でも好きなことをしたら、気分は晴れるだろう。
それが私にとって暮らしにまつわることだったというわけで、気取っているわけでもない。

お洋服だけじゃなくて、暮らしそのものも心のお守りになるんだと知ったことで、家にいる自由な時間や空間が安らぐようになっていき、日々なんとか生きていけるようになった。そして、少しずつ自分の機嫌をとる術を身に付けていった。


私にとっての心地よさとは


転職に伴う引っ越しを機に、一から作り上げたこの場所は私の好きが集まったお城だ。

一人暮らし初期から大きく持っているものを入れ替えておらず、この3年ほどで集めたモノたちは多少好みが変化している。だから、全部が全部100%気に入っているものではないけれど、それなりに吟味しそれぞれが調和し合うように選んでいるのもあってお部屋全体を見て大いに満足している。


この家に引っ越ししてから本格的に始めたインスタはみるみる見てくれる人が増えて、先日10,000人にフォローしていただくようになって恐縮している。その中でインテリアについて聞かれる機会が多くて、実はそのたびに頭を抱えているのだけども、本当に私が落ち着く場所であるようにつくっているだけだ。

好きなものに囲まれてたい
圧迫感はいらない
あたたかい雰囲気がいい
長く一緒に過ごせるものがいい

そんなワガママばかりで成り立っている。

外では気を張っていてちょっと背伸びをしてしまうこともあるけれど、せめて家では気持ちは緩めたい。

前の家でたくさん悩んで本当の自分を探した結果、本来あるべき姿でいられるような状態が心の安定、健康につながっていると知った。

私がよく言う「心地よい」というのは、ほっと安心したり気持ちを緩めたりして日々を穏やかに過ごすための大事な感覚。インテリアにおいてもかなりそれを重要視しているからこそできた空間だと思う。

インテリアを語ろうとすると難しいけれど、私を構成するものだと考えるとストンと落ちる気がする。

様々なもやもやをリセットでき、自分を取り戻せる場所。ここに帰ってきたら大丈夫という安心できる場所。

そうやって、今の私の家があります。



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