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「GENKYO 横尾忠則」の話

原郷から幻境へ、そして現況は?

東京都現代美術館で開催中の横尾忠則の大規模展を見に行ってきたよ!楽しみにしてたのだー!

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一言で言うならば、

圧 倒 的 。

現在進行形で全く衰えることのない創作意欲に脱帽。年齢で人間を語ることはあまりしたくないけど、85歳だなんて本当に信じられない。

ボリュームありすぎてルーブル美術館みたい!って思った。
(あそこはめちゃくちゃ有名な絵が惜しみなく大量に飾ってあるので途中から全くありがたみがなくなる現象が起こる)

とにかく絵から放たれるオーラがすごくて、もはやパワースポットと言っても過言ではないのでは?
直前までちょっと色々あって落ち込んでたというかモヤモヤした気持ちで居たんだけど、絵の力を全身に浴びて吸い込んで、見終わったあとはまあまあ疲れたと同時に謎にめちゃくちゃ元気になった。すごい!!

なんかもう、私なんかがどうでもいいことでうだうだしててごめんなさい。ってなった。

…みうらじゅんのトークアーカイブ見てから行くと1.2倍ぐらい楽しめるよ笑
あんまり小難しく考えながら見るとぐったりするから、みうらじゅん視点で見るとゆるく楽しんで見られる。

マイブームの先駆け、とか、頼まれてないのに描くって、ほんとそうなのよ。純粋に描きたいから描く。描かずにはいられない。創作の原点ってそこだと思う。横尾作品には子供の頃の思考や記憶が色濃く出ているものが多いのは正にそういうことなんだろう。
(だから描いてくださいって言われても気分が乗らなきゃ描けないんだよな。←職員遅刻事件。笑)

作品数が多いからか、今回の展示では紙の作品リストが用意されてなくてちょっとだけ見づらかったよ。絵とタイトルのラベルが離れてて、行ったり来たり番号数えて照らし合わせたりしなきゃいけなくて。私は気になった作品はメモしながら見るから、リストは欲しい派〜。

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(マスクアートの先駆け、横尾忠則。こんな、人類オールマスク必須の時代が来るなんて思ってた?)

とにかく、大満足の展示だった!
たくさんの人に見て知って欲しいと思う!



以下、私的に思ったことのメモ

●神話の森へ
おどろおどろしいというか、初っ端からインパクトがすごくて、一気に心を鷲掴みされる感覚。壁や床の色やライティング、展示の仕方も良い。
●多元宇宙論
ここの作風すごく好き。パッチワークみたいなコラージュ技法、描き込みがすごくて色んなものを見つけるのが楽しい。テクナメーション、ブッダマシーンみたいで、しれっと宗教的なのを入れ込んでるのもテンション上がる。
●リメイク/リモデル
おんなじモチーフ何回描くねん!という横尾あるある笑。ある意味悪趣味とも言えるけどどうにもこうにも惹かれてしまう。
●越境するグラフィック
もーう大好き過ぎる!!MoMAで見たとき本当に心奪われた、ポスターたちの群れ!クラクラするほどに。でもさ、やっぱりバランス感覚が抜群なんだよ。そこが本当にすごい。これぞ真骨頂。
●滝のインスタレーション
滝のポストカード13,000枚…あんぐりですよマジで。でも「供養」って言葉、その感覚は私にもわかる気がする。
●死者の書
怖い、危機迫る作品たち。
天才ハ 忘レタコロニィ ヤッテ狂ウ 。
●Y字路にて
横尾忠則と言えばのY字路。街を歩いていてY字路を見ると横尾忠則を連想するぐらいには染み付いているモチーフ。これも何回描くねんシリーズだけど、自分が気に入ったモチーフがもう一回描かれてたりするとなんだか嬉しかったり。
●タマへのレクイエム
泣ける。てかちょっと泣いた。これは「頼まれてないのに描く」の極みだと思う。描くことによって自らも対象も癒すって、絵を描くことの根源だと私も感じる。
●原郷の森
え、2021.5.15とか描いてあるけどめちゃくちゃ最近じゃん!って慄いた。このサイズの絵を現役で描いてると思うと本当に感心する。そのパワーは一体どこから?って思うけど、描くこと=生きることなんだろう。続けることの素晴らしさを噛み締めた。

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