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彼らはどうするんだろう

「あの事務所では社長がタレントに手を出している、ほぼ例外はない」という噂をいつからか私は知っていた。
みんな知ってたと思う。
学生時代にはアングラ雑誌の読者投稿欄で定番ネタと化していたぐらいだから、もっと前から実態はあって広く知られていたんだろう。
芸能プロダクションで働く人から
「以前あの事務所にいた。色々あった」
という体験談も聞いていた。
だから私はずっとそういう前提であの事務所を見ていたし、タレントたちを見ていた。

そのうち暴露本が続々と発売され、裁判沙汰にもなり、性被害は司法によって認定された。
あの時に今回のような動きが起こることを私は期待したし、健全な社会ならそれが当然だと思ったが、そうはならなかった。
未だに「知らなかった」「半信半疑でいた」などと口走っている馬鹿どもの厚顔はお笑いだ。
貴重な電波でくだらない茶番を見せるな。

私が日本のマスコミが腐敗していることを体感として知ったのはあの時でしたね。
それこそ半信半疑だったことが確信に変わったということです。
芸能人(弱い事務所の)のしょうもない恋愛事情を暴くことに血道を上げて追い回しプライバシーを踏みにじる連中が、公人とも呼べる人間の恐るべき犯罪を涼しい顔でスルーするのです。
そんな連中を信用できるはずがないし、もはや敵です。
今ではテレビでいい感じで紹介されるモノ、コト、ヒトすべてうさんくさく映ります。
それでもあまたのゴミの中に、ほんのひとかけらのキラキラした真実を感じることもあります。
ゴミと結託してるのはゴミですよね。
善意に解釈すると「利用されている」ってことになるのかな。
その真実をはかるてがかりはあまりにも少ない。
しかし私は見たいものだけを見る人ではいたくない。
知りたいのは真実だから。

芸能界に話を戻すと、パワハラやセクハラがつきものの業界で枕営業の噂も絶えない。
芸能界に入ることを親に反対されたと話すタレントは多いけど、一因はコレだと思う。
昔の「師弟関係」なんてほぼ「愛人関係」だったと言っても過言ではない。
事務所を出たタレントへの営業妨害、つまり「干す」という嫌がらせもあたりまえのようにまかり通っている。
私がひとつひとつ確認したわけじゃないけど、そのように言われてきた。
女性だけではないし、男性だけでもない。
この事務所の問題が浮き彫りにされるのは良いことだが、これで芸能界の特異な問題がすべて解決するわけではない。
他の事務所にも多くの問題がある。
今まさに「私が踏みにじられていることも取り上げてよ」と泣いているタレントもいるはずだ。

私はあの事務所の1つのグループに関心を寄せて来た。
注目するようになって10年以上。
苦しいことばかりの辛い時期、彼らのバラエティ動画が慰めだった。
まだテレビ番組の動画などが出回っている時代で、いろんな番組を後追いで見た。
彼らのまとう「終わらない放課後」の雰囲気はとても心地よいもので、当時の私を支えてくれた。
その後に大ブレイクがあって、様々な変化があった。
社長が亡くなって続々とタレントたちが事務所を後にしても彼らはずっととどまっている。
「そう決めていたんだろうな」と認識していた。
彼らの中ではそれぞれいろんなことを整理しているのだと。
ただ、現在のこの状況は想定外だったはずだ。

事態が健全な方向に進むなら、あの事務所に所属することはマイナスになりこそすれプラスにはならない。
賠償が進めば事務所はジリ貧になりかねない。
彼らは事務所では古株かもしれないが、まだまだ人生の先は長い。
地味に暮らせばたぶん不自由なく暮らせるだろうけど(知らんけど)どうするんだろう。

彼らには何度も事務所を出るタイミングがあったはずなのにそうしていない。
そこに意味があるんだろうけど、今になってもそれは大事な「意味」なのだろうか。

なんて、自分より恵まれている人たちの心配してる場合じゃないんだけどさ。


つらい毎日の記録