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プリデスティネーション

YouTubeで無料公開中だというので見てみました。
ハッキリ言って名作でしたね。
こんなすごいものを無料で見られるとは大収穫でした。
SF作品なのでできるだけネタバレしないように書きますが、セリフなどは引用するかもしんないのでご注意ください。
てか誰も読んでないから別にいいよね。

タイトルについて

predestination プリデスティネーション
事前に決定されている物事の流れのこと。
転じて宿命、変えられない運命などの意味

またはキリスト教の神学思想の1つ。
「予定(預定)説/プリデスティネーション」
神に救われる者とそうでない者はあらかじめ決められている

destinationは行く先、目的地。
「ディスティニー/運命」の親戚の言葉。
プリは「あらかじめ」「前もって」等の意味を持つ前置詞。
前置詞ってのは名詞の前につくセム系言語特有の品詞。

なおこの作品はハインラインの短編「輪廻の蛇」が原作。
ちなみに訳者はSF作家でもある矢野徹。
原題は「'—All You Zombies—'」=「おまえらゾンビたち」という。
輪廻の蛇っていうタイトルには耽美的な語感があり、昔からタイトルだけは知っていた私は本作になにやらとてもロマンチックで高尚なイメージを抱いていた。
しかしこの映画はちっとも耽美的ではない。
切なくてゴツゴツしていて陰鬱だ。
矢野さんがタイトル付けたのか編集が決めたのか知らんけど、「輪廻の蛇」が意味するところはみずからの尾を口にくわえたウロボロスであろう。
シンプルに「ウロボロス」のほうがニュアンス的にも良かったのではなかろうか。
なぜに「輪廻の蛇」などという流麗な語感を与えたのだろう。

ちらつくジョディ・フォスター

見てもらえば一目瞭然なんだけど、主演女優がすんごくジョディ・フォスターに似てる。
むしろジョディより素敵かも。

「その生き方は辛くないか?家族もいないんだろう?」
この言葉に彼のクレバーさや善良さが現れている。
サイコパスぎみと思われる彼がなぜ男に共感したのか。

「変えられない宿命があると考えたことはないか」
これも重要なセリフですね。
流れを変えようともがいている最中の彼が、このタイミングでこれを口にすることがとても悲しい。
答える彼もね。悲しいのだ。

「君は美しい。なぜ誰も言わなかったんだ」

このセリフで私は泣きました。
そんで彼女が笑顔で「今あなたが言ったわ」と返す。
このへんすごくロマンチックで、辛い。

見終わってから

正直言って私は一回見ただけではよくわからず、うっかり色々ぐぐってしまって、他者の書いたものによってようやく気づきました。
やめといたらよかったです、自分で気づきたかった。

これから見る人、原作を知らない人には「自分で理解できるまで余計な情報を取り入れるな」と申し上げたいです。

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