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うんなんローカルマニフェスト02. どのような方法で調査を進めていったのか

うんなんローカルマニフェストを作るにあたって市民の皆さんの声を集めたのですが、具体的にどのようにリサーチを進めていったのかについて記します。ちなみに、今回のプロジェクトを行うにあたって私大垣は10月から雲南への短期移住を決め、地域に入り込んで実際に生活しながら進めていきました。9月の視察で初めて雲南を訪れ、コミュニティ財団(以下、コミュ財)の尚実さんに色々なところに連れて行っていただき、雲南の自然や歴史、企業や行政の取り組みについて教えていただきました。それがきっかけでさらに入り込んでもっと雲南を知りたいと思い...1泊目の朝ご飯を食べながら代表大山に「雲南に来たくなっちゃいました」「いいんじゃない」というやり取りを交わし。そして視察の最後に奥出雲ワイナリーの庭カフェで木次のソフトクリームを食べながら、尚実さんに直談判して、その1ヶ月後から雲南生活が始まったのでした。

意見を聴くために何を行ったかというと、具体的には3つあります。


ヒアリング

一つ目が声集め、つまりヒアリングです。これは市民の声の量を集めるという目的で行いました。2019年からコミュ財が集めていた「こんな雲南にしたい」という声に加えて、私が雲南に入ってから出会った方々のうち可能な限りの皆さんに伺っていきました。伺った内容は3つ、これからの雲南に「残したいもの」「残したくないもの」「あったらいいなと思うもの」です。常に3色の大きな付箋を持ち歩き、それぞれを会話の中で聞いていき、書き留めていきました。書いた付箋は、SDGsの17のゴールを円状に並べたものを模造紙に並べ、大まかに分類しながら貼っていきました。これは、どの項目に当てはまる意見なのかを可視化するためです。いくつかの項目にまたがる声もありますし、明確に一つの項目に分類できないものも多々あるため円上にしました。


インタビュー

二つ目は、インタビューです。目的としては、聴く人数を増やすというより、深く伺って質を高めるためです。可能な限りその方が馴染みのある場所やその方の拠点へ出向き、一人について1,2時間程かけてお話を伺い、個人にまつわるエピソードを深掘りさせていただくということを合計10名の方にご協力いただきました。そのインタビューさせていただく方はどのように決めていったかですが、こちらが「こんな方にお話を伺いたい」と考えている内容を整理し、それをコミュ財の尚実さんにご相談、調整していただきました。これからの理想の雲南を作っていくための必要な要素を集めたいので、それに当てはまる人を探しました。例えば雲南へ移住し、何か新しい取り組みを始めて上手く行っている方。どのようにして初めての場所で周りに協力者が集まったのか、その時に大切にしたことはなんなのか。それが分かれば、これから雲南で新たに何かしていく時のヒントになります。また、そういう人がどんな雲南にしたいと思っているのかなど。

逆に、ずっと地元に住んでおられる方の声もとても大切です。大半を占める地元の方にとって、IターンやUターンで来られた方ではわからない感覚的なものもあるはずですし、地元にずっといるから分かること、だからこそ思う「こんな雲南にしたい」ということがあるはず、そう思って伺っていきました。そして出来るだけ地域も偏らないように心がけて、お話を伺っていきました。


日常の会話

3つ目は日常の会話です。仕事・プライベート問わず誰かと話すときは常にアンテナを張って、発言の内容だけでなく、言い回しや状況も含めて洞察していました。洞察というとちょっと堅苦しいですが、例えば話しながら気になる発言や言い回しにちょくちょく出会ったりするのです。それを流さずに、発言の内容であれば素直に何故そう思うのか、そう言ったのか聞いてみる。もしくは、自分なりにその言った内容について考えてみて違う時に他の人(雲南の方)にその考察を伝えてみる(あくまで人に言ってみるのは私の考察だけであって、もちろん個人が特定されるような、あるいはプライベートな内容は口外していません。)。そんなふうにして人の発言と自分の考察を重ねていき、「これって雲南の中で強い考え方なのではないか」あるいは「こんんな価値観があるからこういう言い回しをする人が多いのではないか」と理解を深めていきました。


文化を知る

直接話を聴いてのリサーチではないにしても、雲南の方にとっては当たり前の文化でも疑問を持つようにし(それ、なんで?!ワクワク と突っ込みたくなることが多々ある)、そこから市民性を理解することもありました。例えば、ある日教えていただいた「雲南って市民劇が盛んなんですよ~」という情報。はじめは「へ~面白いな」と思っていたのですが、そもそもそれってあまりどこの地域でも盛んな話では無いよなと思い始め。その様子の写真をみると皆さん物凄く嬉しそうに豊かに表現しておられる。そのうちに、あれ、でも雲南の人って本音と建前があったり、なかなか思っていることを言わない人が多いんじゃなかったっけ。何でこんな表現できてるんだ?と。ここまでくると、会話の中で雲南の方が「○○していただけると喜びます。」と言うことが気になり、繋がってきます。「あなたが○○してくれたら誰々もすごく喜びます。」と言われることもあったりしました。私は埼玉出身ですが、普段「○○していただけると嬉しいです。」って言うんですよね。でもそれを、「私が」嬉しいというのではなく「私という人(もしくは別の誰か)」が喜ぶ、と表現する。これらを踏まえて、あぁ雲南の方は自分を主語にしないのだなと。「自分が」ではなく他の誰かが主語だったら表現出来たり、演劇という役を通じてなら表現できるのか、と理解しました。表現しにくいから演劇で表現している、という順序かもしれませんが。こんなふうにして、文化と普段の様子を紐づけながらも、考えていきました。



このような形で、ひたすらに色々な場面で情報を集めていきました。続いては、このようにして集まった情報を、どのように言葉に纏めていったかについて記します。


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大垣多恵 : 東京農工大学大学院でプラスチックによる海洋汚染の研究に取り組み、在学中に学生・市民・企業向けに啓発活動を行う。新卒で民間企業の環境事業に携わったのち、(株)fogへ入社。はじまり商店街でのインターンを経て、2020年10月~2021年3月まで島根県雲南市へ短期移住しプロジェクトを行う。東京蔵前にて拠点の管理運営を行う予定。

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