【読書要約】知識創造企業

 こんにちは。えーじです。
 今回は野中郁次郎さんの知識創造企業について、アウトプットを行いたいと思います。

 こちらの本では、知識そのものではなく知識を創造するプロセスに着目しており、イノベーションを起こすための知識を生み出す組織の体制について述べられています。

 野中さんはこちらの本の中で知識創造のプロセスを、ファイブフェイズモデルとして以下のような図で表現しています。

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画像引用:SECIモデルとは?→ナレッジマネジメントのベースになる考え方。


1.暗黙知の共有

 まず一つ目の段階は、「暗黙知の共有」です。暗黙知とは個人の経験やカン、コツといったような文章としてきちんと言語化されていない知識をさし、反対にマニュアル等で整備された状態にある知識形式知と呼びます。この暗黙知を組織の中で共有することにより、個人の経験を広く組織の中に広めることができるのです。

 知識は組織から生まれるのではありません。必ず個人の経験から始まり、それが組織全体に拡大していくのです。

 その知識まずは目に見える状態(表出化)にするために、個人が抱えている暗黙知を共有するのです。


2.コンセプト創造

 続いて、表出化された暗黙知を「コンセプト」として表現します。表出化した暗黙知を言葉で表現するとどうなるのか、商品として形にするとどうなるのかなど、コンセプトを作り出します。

 個人的な考えではありますが、コンセプト創造が先にくるようなことはあまりないと考えています。企業としての方針からやマーケットの状況から、次の商品に対してのコンセプトが生みだされ、そこに向かって暗黙知の表出化が行われるのではないかな?と考えています。

 

3.コンセプト正当化

 コンセプトを生み出すことができたならば、続いてはそのコンセプトが企業としての目指す方針に合致しているのかを確かめます。例えば企業として画像認識やAIの技術を今後の10年間で伸ばしていこうと考えているのであれば、炊飯器などの調理用家電製品との相性はあまりよくないですよね。

 そのように、暗黙知から生まれたコンセプトが企業としての方向性と合致しているのか、主にミドルマネジメント層が上層部とメンバーとの橋渡しとなって、コンセプトが正しく正当化されているのかを確認します。

4.原型の構築

 続いて、実際に商品を作ってみるフェーズです。商品として暗黙知が表出化され、コンセプトにあった商品を実際に作ってみることで、さらに足りない要素がないか、なにが足りないのかを明確にします。

5.知識の転移

 これができるようになれば、続いては知識の転移です。生まれた知識に対して、組織内に広めたり、ここから得た学びを次の製品に生かすなど、個人の暗黙知を利用して生まれたものを組織の形式知への昇華させていきます。

 また、一つのプロジェクトチームだけでなく、横断的に形式知を広めていくことがポイントです。そうすることによって、形式知は再び個人の持つ暗黙知に変化し新しい知識創造サイクルへと進んでいきます。


まとめ

 組織として知識があることが大事なのではなく、組織が知識を生み出すことが重要です。

 また、これは知識創造のサイクルであり、一過性のものでは決してありません。生まれた形式知よりさらにサイクルを進めていくことで、組織として知識を生み出し続ける、イノベーションを起こし続ける企業へと変わることが可能なのです。

 これは個人の感想ではありますが、無形の商材やサービスを行う企業にとってはこのモデルはなかなか難しいものではないか、と感じています。暗黙知を共有することは、可能であるとは思いますが、そこから原型を生み出したりするには、どうしてもメーカーなどのように有形商材・プロダクトが必要であるように感じます。

 続いては、無形のサービスを扱う組織におけるナレッジマネジメントの手法について考えてみたいですね。なにか暗黙知を表出化した後に、有形のものを生み出すことは可能になるのでしょうか。

 こちらの本書も、あまり知識として身に着けることができたわけではないので定期的に読み直していこうと思います。

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