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モラハラ被害者によるモラハラ考察④ナルシシズム

ナルシシズムってご存知ですか?

僕はこの言葉を聞いた時に「ナルシストの親戚みたいなもの」という感覚でしたが、一応は当たってはいましたが、その本質は想像してたモノとは全くの別物の存在でした。

ナルシシズムとは

 一次性のナルシシズムは人格形成期の6ヶ月から6歳でしばしばみられ、発達の分離個体化期において避けられない痛みや恐怖から自己を守るための働きである。
 二次性のナルシシズムは病的な状態であって、思春期から成年にみられる、自己への陶酔と執着が他者の排除に至る思考パターンである。二次性ナルシシズムの特徴として、社会的地位や目標の達成により自分の満足と周囲の注目を得ようとすること、自慢、他人の感情に鈍感で感情移入が少ないこと、日常生活における自分の役割について過剰に他人に依存すること、が挙げられる。二次性ナルシシズムは自己愛性パーソナリティ障害の核となる。

モラルハラスメント的に問題なのは「二次性のナルシシズム」の方で“自己への陶酔と執着が他者の排除に至る思考パターンである。”という所をピックアップしただけで既に危険な香りがプンプンしてきます。

今回はこの「ナルシシズム」を僕なりに紐解いて行こうと思います。

ナルシシズムの7つの大罪

サンディホチキスの著書「結局、自分のことしか考えない人たち」の中で、自己愛が正常ではない人の特徴として【自己愛人間の七つの大罪】と言うものをあげています。

以下が【自己愛人間七つの大罪】です。
1,恥を知らない
2,つねに歪曲し、幻想をつくりだす
3,傲慢な態度で見下す
4,ねたみの対象をこき下ろす
5,つねに特別扱いを求める
6,他人を平気で利用する
7,相手を自分の一部とみなす

ざっと見てみても、この七つの大罪、まるでモラハラのオンパレードの様な罪の数々です。

この「ナルシシズムの七つの大罪」がそのままあてはまってしまう様な人間って、普通に考えるとなかなか居なそうな気もしますが、モラハラの被害者の方ならご理解頂けると思いますが、意外とあちこちにいて、なんとなくですが近年、増えている様な気がします。

ニュースを見てても「モラハラ」だけでなく、「セクハラ」に「パワハラ」等様々なハラスメントもそうですし、「DV」「虐待」「モンスターペアレンツ」「クレーマー」「煽り運転」等、社会現象と言っても良いくらいの問題の原因がここにあるのではと思っています。

また、「ナルシシズム」が「自己愛性パーソナリティ障害の核」に、また「自己愛性パーソナリティ障害」の外的な症状の一つが「モラルハラスメント」だとしたら「モラルハラスメントの核」はもしかすると「ナルシシズム」かも知れません。

この「ナルシシズムの七つの大罪」をこれから一つずつ実体験も交え解説していきます。

1.恥を知らない

 恥は、すべての不健全なナルシシストの下に潜む感情である。彼らは健全な方法で恥を処理できない。

これは、恥ずかしい行いをしても羞恥心を感じないという意味ではありません。

では「健全な方法での恥の処理」とはなんでしょう。

想像してみて下さい。例えばあなたが学生だとして、今教室で授業中だとします。

厳しい先生なので教室は静まり返っています。そこで、あなたは空腹の為お腹が鳴ってしまいます。それも教室中に響き渡る大音量の音です。

あなたは当然「恥ずかしい」という感情に襲われます。その時あなたはどうしますか?

今あなたがイメージした方法が「健全な方法での恥の処理」です。これは書かなくても普通の人なら充分理解出来ると思います。

では「健全な方法での恥の処理が出来ない」とはどういう状態なのでしょうか。

初めに「恥を感じないという意味ではない」とお伝えしていましたが、実際は普通の人には「想像出来ないほどに恥を恐れています」

もし、「想像出来ないほどに恥を恐れている人間」が恥ずかしいと思う事をしてしまったらどうするでしょう。

一番シンプルなのは「無かった事にする」「他人のせいにする」ですが、多少の誤差はあったとしてもこの程度の思考しか二次性ナルシシズムの人間には考えられません。

プライドが異常に高いという印象を受ける人間も基本的な思考はこれに限り無く近いと言えるかも知れません。

「恥を知らない」のでは無く、その自分の心の弱さゆえの「恥を知りたくない」というのが本当の実態です。

2.常に歪曲し、幻想を作り出す

 呪術的思考:ナルシシストは「魔法の思考」として知られる認知の歪みや錯覚を使って自分自身を完璧と見なす。彼らはまた、他人に恥を「掃き出す」ために投影を用いる。

「認知の歪み」を「魔法の思考」とは上手く例えると物凄く僕は感心してしまったのですが、確かに始めの頃は「魔法にかけられた」様な意味のわからなさを良く感じていました。

「認知の歪み」に関しては、ご存知無い方はちょっと長いですがこちらをご覧ください。


簡単に言えば、「自分にとって都合が悪かったりデメリットがある場合に、どんなに卑劣な手段や都合の良い身勝手な思考を振りかざしてでも全てを自分以外の人のせいにする」という思考です。

ただ、問題なのは、ナルシシズムの人間は「常に自分が完璧で正しい行いをしてる」と信じて疑う事がないので、ほぼ無意識で、まるで呼吸でもしてるかの様にその様な事をしています。

ナルシシズムの人間に対し、常識や現実をこちらが振りかざしたとしても、それを自分に都合良く自由自在に捻じ曲げてしまいますので普通では対抗出来ません。

3.傲慢な態度で見下す

傲慢:自我収縮を感じているナルシシストは、他人の衰退、脱走、堕落を知ることで、自我を「再膨張」させることができる。

これは、もうモラルハラスメントの原動力と言っても過言ではないでしょう。

モラルハラスメントにより、被害者を怒らせ、弱らせ、そして「ダメな人間」なのだと烙印を押す事によって被害者を貶(おとし)める事で自分自身のパワーに変えていきます。

なんかこうやって客観的に文字にしてると、漫画とかにある典型的な裏ボスで悪の中の悪の様な存在で、まさか現実のこの世の中にここまでの「悪」が存在しているなんて…。という印象ですが、残念ながらこの「悪」は実際に実在しています。

4.ねたみの対象をこき下ろす

羨望:ナルシシストは「軽蔑」を使用して他人の存在や業績を最小化することで、他人の能力に直面した際に優位性を確保する。

これも「3.傲慢な態度で見下す」の延長上にある状態です。この辺りになると「人格の否定」や「尊厳の破壊」の域に入り、何が何でもターゲットにしてる人間の存在理由でさえ否定する勢いです。

5.常に特別扱いを求める

 有資格:自分が特別であると考えているため、ナルシシストは特別有利な扱いやノーチェック・パスなど、根拠のない期待をしている。彼らは求める承服がなされないと、その優位性への攻撃だとみなすため、周囲からは「厄介な人」「困難な人」とみなされている。ナルシシストへの意志の抵抗は、自己愛の傷つきとして自己愛憤怒を引き起こす。

突然なんの脈略も無くキレ始める原因はほぼこれが原因になる事が多いです。

一般的な普通ではまず納得する事は無くて、その欲はとどまる事を知りません。少しでも自分の望む“カタチ”で無いとキレ始めたり、いつもは平気な事でさえ突然スイッチが入った様にキレ始めてしまいます。

普通の人には、その基準はとても理解出来るものでは無く、被害者にとっては、日常的にキレられるので常に恐怖に晒されて日々精神は削り取られて行ってしまいます。

この辺りまで来ると、既に「モラハラ」だけにとどまらず、「DV」「クレーマー」「モンスターペアレンツ」「煽り運転」等々の大きな原因だと思わずにはいられません。

自分が“特別”だから「DV」しても悪い事では無く許される。
自分が“特別”だから「理不尽なクレーム」を言っても聞いて貰える。
自分が“特別”だから「教師や他の保護者に理不尽な意見」を言ってもそれが通る。
自分が“特別”だから「自分の中の交通ルールを守れない」人間に制裁を加えても許される。

もう訳がわかりません。

6.他人を平気で利用する

搾取:他者の気持ちや関心に関わらず、ナルシシストは常に他者を搾取する存在であり、それは様々な形となる。それはしばしば抵抗が難しいか、不可能な立場の人をターゲットとする卑劣なものになりうる。時には従順になるがそれは本心からではない。

これは一番分かり易いのは、例えるならば「極悪なジャイアン」です。

「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」が基本的な思考で、これは自分が認めた人間以外の人に対して基本的に興味も関心も無くて、ただの“モノ”の様な感覚を持っているので、利用される側の人間の事なんて全く考えたりする事は全くありません。

利用されるのは“人”だけで無く、それは“物”であったり“お金”だったりもします。

ジャイアンよりも「昭和の時代劇の悪代官」の方がお似合いかも知れません。

7.相手を自分の一部とみなす

境界線の不全:ナルシシストは他者との間に境界線があることを理解していない。他人とは別個の存在であり、自分の延長線ではないことが分からない。己のニーズを満たさない他人は、存在しないのと同じである。ナルシシストに自己愛を供給する人々は、ナルシシストの一部として扱われ、主人の期待に応えることが要求される。ナルシシストの心には自己と他者の境界はない。

境界線については、色々なもので調べてみたのですが、理解力が足りなくて、なかなか理解出来なかったのですが、「えるえつさん」のnoteを読ませて頂いて、やっと理解が出来ました。

良ければ参考にして下さい。

この中の「自分と他人を同一視」を見て頂くと、「自分と他人の境界線が曖昧」と言う意味が物凄く分かり易いです。

モラルハラスメントの加害者の思考や言動が、支離滅裂に感じたり、意味が分からなかったりするのは、この思考によるところが大きいと思います。

例えば、「自分が“A”だと思ってるんだから、他人もみんな“A”と思うに違いない、よって“A”以外に正解は無いし、“A”が絶対的な正義だ」と言う心理状態なのでしょう。

人によっては「“B”が正解」と思ってたり、または「“C”が正しい」と考えたり物事の見方や考え方は、人それぞれに様々な可能性が有るのが普通ですが、自己愛の強い人間にはそう言う多様性のある考え方が出来ません。

なので、「B」や「C」だと考える「A」以外の可能性を考える人を「悪」だと認識してしまい、それと同時にその「悪」は自分に危害を加えるモノとして認識してしまうので、徹底的に排除する、もしくは無力化するまで攻撃の手を緩めません。

相手に「いかにして自分が“悪”だと言う事を認識させるか」が目的になってしまい、その為には自分の全ての言動や行為が正当化されてしまうので、その思考が理解出来ない時には被害者にとっては正に地獄です。

ナルシシズム七つの大罪まとめ

「七つの大罪」と言っても、それぞれが完全に独立して機能している訳では無く、「七つの大罪」が複雑に絡み合い、そして加害者にとってとても都合良く機能しています。

その思考を理解すると言う事は、モラハラの被害者にとっては生命線と言っても過言では無く、最近になって僕が巡り会えたモラハラ環境からの脱出に成功された生還者の方々も、その事実を知り、理解し、作戦を練り、その結果、なんとかその地獄から抜け出す事に成功したのです。

ですが、その事実を知らない被害者は、常に「迷える子羊」の様な状態で、事実を理解出来る様になるまでは、いつまでもその地獄から抜け出す事は出来ません。

逆転の可能性

しかし、加害者の思考が理解出来る様になり、こちらが冷静になり会話をしていると、本人に事実と本人の思考の“ズレ”を気付かせる事が出来ます。

例えば、被害者が加害者に長期間に渡り「無視」されていたとします。

加害者は「被害者は悪」という“歪んだ事実”を元に被害者に「無視」という見えない“暴力”を行使します。

この時点で加害者は、自分の行動は正義の元に行われる行動なので、正しい行いをしてると思い込んでいるのですが、そもそも「正しい暴力」という考え方自体が破綻している思考です。

「無視」=「暴力」=「正義」

なんて考え方がまかり通るなら世の中の「イジメ」は全て「正義」になってしまいます。

こちらの話し方やタイミングにもよりますが、加害者もあまり感情的になりにくいシーン(冷静に落ち着いて話し合いをしなければいけない状況)で、こちらも感情的にならずに、冷静に話し合える心理状況の時にその本人の思考の“ズレ”を気付かせる事が出来ると、いつもとは違う、ちょっと面白い反応が見る事が出来ます。※くれぐれもお互いが感情的になっている時にはこう言う駆け引きはしないで下さい。特に相手は感情的になっている時にこの様な話は絶対に理解出来ません。

僕は、たまたまこの時に録音していたので、加害者が僕に対し長期間「無視」を続けている事、「無視」は暴力でイジメだと言う事、「無視」悪い事だと言う事実を認めさせましたが、それに対し、無視をしてると認めた直後に「え?私無視とかしてる?」と“笑いながら”誤魔化そうとする、明らかに異常だとしか思えない様な貴重な音声を保存する事ができました。

改めてこの時の音声を聞くと、つくづく加害者の思考や言動の異常性に気付かされます。

僕は法律にも詳しくは無いので良く分かりませんが、もし、これをご覧になっている方で裁判を考えていらっしゃる方がいるならば、きっとこの様な録音は役に立つと思われますので、計画的にご利用下さい。

それでは、皆様の幸運を祈ります。

引用は全てこちらのWikipediaより

こちらも参考にしてみて下さい。

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