断食をしたけど悟りも得られず健康にもなれなかった

断食をやってみようと思ったきっかけは読んでいた小説に断食修行が出てきたことでした。

僕はツイッターで陰謀論を信じている人をリストに入れて定期的に見るという趣味があります。
その手の人は陰謀論だけでなく、同時に謎の健康法を推奨していたりします。その人達がよくファスティング(断食のおしゃれな言い方)を推奨しているのを見て｢まじかよ｣と常々思ってました。

そしてゴールデンウィーク、全く予定のない僕はせっかくだから断食をやって身をもってその効果を検証してみようと思いました。

大人の自由研究、人体実験の開始です。

目的

第一の目的は断食は健康的と言われるが本当か？というのを検証する、にあります。

それにあたり今回は何冊か本を読むことにしました。
あきらかに怪しい医学本を何冊か読み、無理のある主張なのに別の本に何回も出てくる教えや、まともな医学本を読んだら論駁できてしまうような主張を学んでいくことで身をもって実験している健康法に効果があるのか検証していきます。

第二の目的は神秘的な何かが得られるのでは？というのぞみがあるからです。
仏教や新興の修行で断食はよく行われます。苦境の先に何か新しい世界があるのではないかと、そう思いました。

第三の目的は自分の限界をしっておきたいからです。
僕は東京ぐらしの割に低い給料で生活しており、常に節制生活を強いられています。
食費を削る方法は無いだろうかと常に考えて努力はしていますが空腹には勝てません。
今回の断食を通して食べなくても生活できるという実感を得て、最底辺の生活へまっしぐらしたいと思います。
また、断食をすることですることがなかったりする気力がなかったりで自然と早寝になり睡眠時間もとれるのではないかと思いました。

計画

GWに予定がないと言いましたが、そんな僕にも少なからず予定があります。
4/28に会社の飲み会、そして5/4にビバラロックフェスというロックフェスがあります。
飲み会で食べないといけないのは言わずもがな、ロックフェスではものを食べないと1日持ちません。おいしいお店もいっぱいあるし。

ここでなぜGW直前の4/28の話をしたかというと、断食には準備期間が必要で断食と同じ期間のおかゆなどの準備食を食べて徐々に食事量を減らさないといけないらしいのです。その準備期間は断食する日にちと同じであることが望ましいらしいです。
4/28にものを食べる予定がある以上、4/28以降から断食をしないといけないようです。

またなぜか5/3と5/5にちょっと会社にいかないといけないという謎クソイベが確定してしまいました。給料低いのに祝日に予定入れられるのなんなん。
会社に行くだけで心身ともに疲れます。
それも考慮に入れて予定を組みたいところです。

そこで以下のように計画を立てました。

4/28　最後の晩餐
4/29　おかゆ食
4/30～5/2　断食
5/3　おかゆ食(出勤)
5/4　ビバラロックフェス(三食普通に食べる)
5/5　おかゆ食(出勤)
5/6～5/8　断食

完璧に作戦っすねー！不可能だという点に目をつぶればよぉ～！

上述の通り、準備期間=断食期間にするのが望ましいらしいです。
ですが今回は健康になるのが目的ではなく、修行目的です。

気合で乗り越える！このときまではそう思っていました。

断食は健康にいい？調べてみました！

断食するにあたりインターネットなどで情報を集めていました。インターネットでは胡散臭い情報しか得られませんでした。

断食する効果についてよく書かれていたものは胃腸を休ませる、です。
曰く、消化というのはものすごくエネルギーを消費する活動なので断食をすることで消化に使うはずのエネルギーを別の細胞に行き渡らせ、免疫力をアップする、とのことです。
そもそも食べないならそのエネルギーとやらはどこから生まれるのだろう、という疑問はありますがそうらしいです。

また｢吸収は排泄を阻害する｣という言葉があるらしいです。
出典も科学的根拠も一切書いてありませんでしたが。
逆も真である(？)そうで｢吸収しなければ排泄される｣らしいです。
食べないてないのに出るとはこれ如何に、と最初は思いましたが出ていくのは老廃物や毒素など体に有害なものだけらしいです。
そんなご都合主義な･･･とお思いになるかもしれんが、エネルギーを得て免疫が活発になった体は有害なものを排除しようと働くのです。
それが断食におけるデトックス効果なのです。
汗や尿や糞がよく出るようになりそれを実感できるようになるらしいです。何も食べてないのに。

ちなみに｢吸収は排泄を阻害する｣は｢そういう言葉がある｣として石原結實さんの書籍とその娘の石原新菜さんのネット記事で出てきました。グーグル先生に聞いたところ他にはヒットしませんでした。おまえらが作った造語じゃないの？

他にも頭が冴える、不思議とやる気が起こる、眠くならない、肌艶が良くなるなどの効能が書かれていました。もちろん科学的根拠はありません。

そしてさらに健康になるには断食中にこの酵素サプリを食べると効果的！初回は4日分1080円から！
あっ、ふーん･･･

日誌

4/28(木)

予定通り会社の飲み会に出席。｢断食する予定があるんで｣とか意味不明の理由で断らなくてよかったです。
食事ももちろん酒も自由に取れない日々が続くと思って噛み締めて味わいました。割り勘だし。

4/29(金/祝)

おかゆを食べて出勤　GW中の打ち合わせに日程調整や準備のために会社に行きました。
祝日の出勤のために祝日に出勤とはこれ如何に。
夜はなし　超絶空腹を感じながらも就寝。

4/30(土)

この日から何も食べないと決めていました。1日目は悪夢にうなされ何回か起きるということろで朝を迎えました。朝7時です。
気分は最悪でしたがもう少し寝ていたいと二度寝をカマします。
2度目に起きたら11時くらいでした。ダイ大とシャドアニをリアタイしようとしてましたが失敗しました。

気分も体調も最悪で布団から出ましたがここで大問題が生じます。
いつもは朝食を食べながら心身ともにスイッチを入れる、という時間があるのですがすることがありません。
とりあえず顔を洗ってツイッターを見ることにしました。
こうして最悪の断食生活一日目が始まりました。

他にも仕事でやらないといけないこと、趣味でやりたいこととかあり、家から出ないからやりたい放題だったはずなのですが全くやる気が起きず布団にこもっていたくなりました。
気温が下がり雨が降っていたことも関係あるかもしれません。
夕方以降から空腹に耐えられなくなりました。
それでも断食をするにはしょうがないだろと我慢していましたが流石に限界を超えたためおかゆを食べてシャワーを浴びたところで調子が戻りました。
やはり食べなきゃやってられんなってことを初日にして思い知らされました。
その日はその後絶好調で夜アニメのリアタイからお絵かきまでしていつものように2時くらいに寝ました。

5/1(日)

夜にものを食べていたからか朝はそれほど気分が悪くありませんでした。
それに日曜日は起きざるを得ない事情もありました。
ニチアサ実況です。

流石に7:30～の遊戯王はパスしました。
なぜならいつもご飯と後片付けしていた空白時間にすることがないからです。

8:30～からプリキュアが始まりました。今期の『デリシャスパーティープリキュア』は｢食べること｣がテーマになっており、毎回何かしらの料理が出てきます。
断食生活には強烈な誘惑になると覚悟していましたが今週はラーメンとハンバーガでした。プリキュアに殺されるわ。

その後も仮面ライダーリバイス、ドンブラザーズと見ていきますが眠気が襲ってきます。
断食したら頭が冴えるんじゃないのかよ！とキレそうになりましたがプリマジまでニチアサを見終えました。
全部おもしろい回だったからよかったが、プリマジが合宿編だったら途中でリタイアしていた。

その後布団で気絶。アラームをかけるも無視して昼寝続行。起きたら15時でした。
本当はお昼からポケカでもしにいこうかと思ってましたが、この状態で外に出たら死ぬな、と思い家から出ませんでした。

そしてここで何か食べないと体も頭も動かないと思い、完全断食は諦めました。
この日もおかゆを食べてシャワーを浴びて快眠しました。

｢こいついつもおかゆ食べてんな｣って思われそうですがいつものお茶碗半分の量しかないうえに一日一食これだけたし多めに見てください。

5/2(月)

平日。次の日行かないといけないんだし、有給使ってもよかったけど有給使います！ってなんとなく言えなかったので普通に行きました。
前日の経験から食べないと動けないことに気づいていたので朝におかゆを食べてコーヒーまで飲み出勤。
とはいえ出勤+本屋に寄り道するのにおかゆいっぱいで途中で動けなくなるのでは？と思いましたがそんなこともなく1日普通に眠くなることもなく動けきりました。
朝以降食べてません。

5/3(火)

出社する予定もありましたし、次の日のビバラロックフェスに備えて少し食べなきゃなと思い朝に一食おかゆを食べて出社しました。

朝9時に食べたところ打ち合わせの16時頃には死にかけてました。
それでも気合で乗り越え、帰宅。明日に備えて寝ます。

この日から食べなくてもなんとなくなるということに気づきました。
今まではお腹が空いたら何か食べないと、食べないとやる気が出ないなどと思っていました。
実際に栄養学などを考えたらちゃんと食べないといけないんでしょうけど、気合のやりようで体は動くんだなと思いました。

5/4(水)

ビバラロック当日。6時に無事起きれました。

軽く朝にまたおかゆを食べてでかけ、1日中動き続けることも考えてお昼ごはんと間食まで食べました。
タコライスとマリトッツォ(マリトッツォではない)を食べました。

マリトッツォ(マリトッツォではない) pic.twitter.com/ZDmuqyX2Li

— どらぽん (@_DoRAPoN_) May 4, 2022

あれだけ食べたいと思っていたわりには、意外と食べたときの感動とかはありませんでした。まだ修行が足りないのかもしれない。

5/5(木)

朝にコーヒーだけ飲んで出社しましたがまる1日何事もなく過ごすことができました。
朝食食べて心身ともにスイッチを入れるというルーティンがなくてもやっていけそうです。
人はものを食わずに生きてける。

5/6(金)

この日も何も食べずに仕事に行きました。

一週間前は朝起きることもままらず、なにか食べないと家の中での作業すらできませんでしたがついに何も食べずに1日過ごすことができるようにあってきました。

そろそろ何か食べたいな、と思ってきましたが何も食べずに調子良く過ごせる状態を崩してしまうのがもったいない気がしてしまいます。
今僕は髪を伸ばしているのですが一度短くしたらもうその状態に戻ってこれないので髪を切るのがもったいなくて伸ばしてるところもあります。
それに近い状態になっています。

本やネットでよく見る、断食をすると排泄が増えるという噂が全く実感できていないのももっと限界まで行ってみたいと思います。

5/7(土)

一週間前は空腹で地獄のような朝を迎えたのが嘘のように快適に起き、朝からアニメ見てました。
体調もよく、これならいけるんじゃね？と思い外出することにしました。

若干駅から距離のある場所のポケカジムバトルに行きました。結果は抽選落ち。
何もできずに帰路につきます。
当初の予定ではジムバトルのあとに美容院に行くつもりで予約してました。

数時間間が空くことになったので一度家に帰ることにします。

そしてこの往復の途中、いつもより歩くスピードが落ちていることに気づきました。
家に帰ると急に気力がなくなりました。

｢断食すると疲れにくくなる｣の理屈がわかった気がしました。
普段の気力が100なときに30まで落ちると疲れてお腹が減った感覚がします。
しかし断食中は常に30で落ちにくいので疲れた、と感じにくいんだと思います。

この日の途中まで｢断食もうちょっとできそうだな～｣と思っていましたがやっぱり日曜日で切り上げることを決意します。

5/8(日)

断食最終日。プリキュア前に起床しました。

今週のプリキュア飯テロは和菓子。今週は殺されずに済みました。

今週は先週と違いニチアサ終了後も元気がよく、外出することにしました。昨日の反省を活かしあまり歩かない距離にでかけます。

無事帰宅、そして就寝。地獄のGWが終了しました。

断食を終えてみて

｢何かを得るためには何かを失わなければいけない｣とよく言わますが断食はまさに｢何かを失う｣ことだと思います。
普段食べているものを食べない、だけではないものが断食では失われていきます。
栄養素、エネルギーなどの科学的なものだけでなく、やる気や起きようとし続ける気力すら得ることができません。

体に残るのは細胞と魂だけ。

断食を始めてから数日は体を動かすこともできなくなります。体を動かすためのエネルギーがなくなるからです。

ですがここで一つのことに気が付きます。
頭は動き続けているのです。

断食中でも体を動かさないといけない、そうなったとき、僕はエネルギーではなく魂で体を動かすことができると知ったのです。
僕が断食中でも外出することができたのはそのためです。

体はエネルギーを求めますが魂はエネルギーを求めません。
こうなりたい、これをしたい、魂が願うと体は自然と反応するのです。

我々人間は本来そうやって生きているのですが、この飽食社会ではそのことがすっかりと忘れられてしまいました。
お腹が空いたからものを食べるのは当たり前、お腹が空きそうだからものを食べるということもあります。
なんなら思考停止でお昼だから、夜だから、満腹になるまで食べている人がいることでしょう。
そのようなものの食べ方は我々の本来のあり方といえるのでしょうか？

人間は魂と細胞だけで生きることができるのです。
物質的に人間を維持できる程度でしか食事はいらないのです。

僕が断食中にこの真理を得ることができました。
すべての食事を失うことで人間としての生き方を得ることができたのです。

嘘です。

GW明け、久しぶりにちゃんと朝ごはんを食べたあとに適当を書いてます。
日誌に書いてある通り、空腹過ぎて動けないときに少し食べると動けるようになりました。
むしろ、人間は食べないと生きていないという当たり前のことを実感させらました。

上述の健康効果についてもあまり実感がありません。完全に断食したわけじゃないかもしれませんが、排泄も増えたということもなく免疫が活発になりより健康になったなどもありません。
もともと痩せ型なこともありますが、体重もさほど変化がありませんでした。
ですが普段よく食べるうえに消費する脂肪や筋肉がある人はかなり体重が減りそうだな、とは思いました。
それを健康と呼んでいいかはわかりませんが。

自分の限界と知れたという意味では有意義でした。
普段はなんとなくお菓子をつまんだり、仕事前などのお腹が空きそうなときに軽くコンビニでパンを買ったりしていましたがそういったことは不要であることを突きつけられました。
これからはさらに切り詰めた貧乏生活ができそうです。

ここまででまあまあの文量になったので読んだ本の紹介とは別で紹介したいと思います。
この手の本からしか得られないトンチキ知識や知見が集まっておもしろいかったです。
こちらの研究発表はこれからまとめます。

僕の結果はこうでしたが自分の限界を知るということ、怪しい健康情報に振り回されない、ためにも身をもって断食して良かったです。おすすめするかどうかはどっちでもありません。
僕は怪しい健康情報には騙されません。ヤクルト1000も養命酒も買いません。
(ヤクルト1000も養命酒も怪しい健康食品ではありませんが、ツイッターが怪しい情報なので)

今回はここまでです。
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