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相手が伝えたいことを聞けていない想定で聞く

こんにちは、"_dawn_"です。
私の投稿に興味を持ってくださり、ありがとうございます。今回は「相手が伝えたいことを聞けていない想定で聞く」というテーマで書きます。
皆さんは自分が伝えたいと思っていることを、相手に正確に伝える自信はありますか?前回、「準拠枠」という概念を通して、相手の話すことを理解する難しさに触れました。

一方、話し手は話し手で、言いたいことを齟齬なく伝えるのは難しいですよね。今回は、話し手本人も本当のところを上手く伝えられていないとしたときの、聞き手のアクションプランを考えてみます。他者をもっと理解したいと思うとき、私たちに何ができるか一緒に考えてみましょう。


相手の話したことはその人の本意ではないかもしれない

相手が話してくれたことは、その人の考えや感情を100%反映したものではない。自分で話していて正確でないことを言っていたり、時間が経って前に話したことは実は違ってたとなることもある。そうしたケースについて考えてみます。

いつも理路整然と説明できるわけじゃない

これは、私が営業としてお客様と話す中で感じてきたことなのですが、潜在的な課題を聞こうとすると、お客様自身も上手く説明できないことがよくあります。よほど準備しているか、いつも話しているようなことでない限り、自分の考えや感情を理路整然と説明することは難しいのです。本意とは異なる言葉が口をついて出てしまっていたり、一見明快にお話頂けたと思っても、何度か商談する中で最初に聞いていた話から大きく異なっていたり、ということもあります。
また、私自身も、咄嗟に何かを説明しようとすると、だいたい的確な一言は出てきません。「あー、うまく説明できなかったな。」「あの言い方はニュアンス違ったなー。」と思う日々です。そのときの気分で普段使わない表現になってしまったり、つい直感的に出てきた的外れな言葉に飛びついてしまったり、皆さんにもそういう経験があるのではないでしょうか。
もし対話の中で、こうした「自分が思ってるのと違う」が頻発しているとしたら、そのせいで誤解が生まれるのはもったいないですよね。

時間経過とともに変わることもある

少し話が逸れるのですが、私の中高生時代、「古参厨」というネットスラングがありました。昔のものを褒め称えて今のものを批判する人たちを揶揄する言葉ですね。覚えている限りでは、2005~2010年の邦楽バンドブームで、好きな音楽の話をするときに見聞きしたように思います。「あのバンドも、メジャーになって変わっちゃったよな。前の方が良かったわ~。」的な。このくだりで、ある友人のセリフで印象に残っているものがあります。

成長して価値観が変わったり、時が経って表現したいことが変わったりするじゃん?好き嫌いは自由だけど、今の○○はダメだって偉そうに言ってるヤツには「お前には成長っつーもんがないのか!?」って言ってやりたいね。

中高の同級生 N君

か、かっこいい。ずいぶんと大人な発言に聞こえます。何かの受け売りだったのでしょうか。過去に遡れるなら、「なぜ、そんな風に考えられるんだい?」と尋ねてみたいものです。

脱線しましたが、人には価値観のアップデートがありますよね。解像度が上がることも、全く新しい考えに至ることもある。
それに対し、意識しているかどうかさておき、

「きっとこうだろう」
「こうであってほしい」
「こうであるべきだ」

…と、私たちは過去の理解を前提に思い込みしてしまうことがあります。だとすると、よく知っていると思う身近な人がいて、その人の価値観を聞いたのがずいぶん前だと思うなら、私たちのその人に対する理解も、もはや古くなっているかもしれません。

相手をより理解しようとするアクションプラン

あの人が話していたことは、本心で思っていることとは違ったのかもしれない、そうでなくても、時間が経って今はもう変わってしまっているかもしれない、という話をしました。ここからは、そんなあの人をより理解するための私たちにどのような努力ができるか考えてみたいと思います。

繰り返し話してもらう/言い換えてもらう

習字のような一筆書きで、言いたいことを正確に表現するのは難しいです。そうではなく、繰り返し筆を重ねるデッサンのように、何度も言葉にしてもらうことで、相互理解に近づくことがあります。こうした聞き方は、以下の本で具体例を交えながら解説されています。

本書は、1on1におけるコミュニケーション技法について書かれたものですが、職場でのみならず、あらゆる対話に適用できる大切な考え方だと感じます。いくつか例をご紹介します。

  • 「もう少し詳しく教えてください」と詳細を話してもらう

    • 大切なのは話し手が出来事をどう認識しているのかであり、聞き手が必要な情報を確認するだけでは、相手の考えを理解することは難しいです。先入観や判断を持ち込まず、ニュートラルな立場で、ただ相手に言葉を続けてもらう一言です。

  • 「~と考えているのですね」と投げかけてみる

    • 相手の言葉に対して、言わんとすることを具体的な表現にしたり、定義を限定して言い換えてみることで、解像度をあげていく。仮にそれが的外れだったとしても、相手に訂正してもらうことで、相手の中で認識が整理されます。

  • 「○○さんは、~と考えているのですね」と主語をつけてみる

    • その人の信念に近い表現や言葉が出てきたら、あえて主語をつけて確認してみると、その発言に対する思いの強度を推し量りやすいです。この投げかけへの反応で、本当はどう思っているのか、何に思い入れがあるのか、本人も含めて理解が深められるかもしれません。

以前に聞いてから時間が経っていることにもう一度触れてみる

身近でよく知っていると思う人に対してこそ、私たちは古い理解をしているかもしれない、という話をしました。
その人の大切な話を聞いたのが覚えていないくらい昔なら、もしくは、その人に大きな変化が起きているのなら、「以前、~と話してくれたけど、今はどう思っているの?」と聞いてみるのは如何でしょうか?時間の経過とともに、その人の考えがアップデートされていれば、今のその人の価値観を聞けるかもしれません。
それがセンシティブな事柄であるなら、「以前、~と話してくれたね。」とだけ伝えてみるのもよいかもしれません。踏み込んで聞かずとも、相手がまた話してもいいと思ってくれれば話してくれるし、話したくなければそれ以上は語らないでしょう。ただ「あなたの話を私は覚えているよ」と、リスペクトを態度で示します。

わかった気にならないことがさらなる理解につながる

如何でしょうか。今回は、「相手が伝えたいことを聞けていない想定で聞く」というテーマで書いてみました。相手の話してくれたことに対して「もうわかった」と思ってしまったら、それ以上その人を理解することはできなくなってしまいます。それはとてももったいない。営業であれば、顧客理解がズレたまま案件がポシャってしまうかもしれない。身近な人の考えの変化に、気づけないかもしれない。その人のホンネめいた話に、改めて耳を傾けたなら、その人に対する新しい発見に繋がるかもしれません。

この記事では、内向的な性格の人が営業職の経験を通して、人の話を聞くことに向き合って理解したことを書いています。話し上手でなくても、この記事を読んでくださった方や私に、良質な対話体験が一つでも多く増えたら嬉しいです。

それでは、次回の記事でお会いしましょう!ではまた!

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