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名古屋名物

名古屋に住んでいるが、海老フライ🍤を食べる事は殆ど無い。と言うか味噌煮込みもきしめんも無い。ういろうもない。何にもない。今晩姉が立ち寄るらしいので夕飯を用意する。当たり前だが用意は材料じゃない。自分が料理をする事はecoじゃないのだ。

殆どネタで買ったこれ。
ワイルドエビフライロール寿司。

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WILD PLAWN ☆ ROLL SUSI

って書いて欲しかった。(星が大事)

すこし前の記事で少し触れた友達のみきちゃんを思い出す。彼女は穏やかに破天荒で乙女女子だった。

はっきりした体型で全体が大きく、運動選手という雰囲気で、事実あらゆるスポーツをやっていた。ひょっとしたら自分と同じお稽古をしているかも知れない。運動神経が良いし、腕っ節も強いから車も片手で運転するのにファンシーなものも好きで、多分密かに白馬の王子様を待っていたと思う。

付き合いが減ってきたある日、彼女の幼馴染から電話が掛かってきた。面識が多少ある程度なので電話口で失礼だけど顔が思い出せなかった。

『みきちゃんと最近会ってる?』と聞かれ、貴女のほうが会ってるでしょ?って感じの返事をした。その頃彼女は留守がちなので何も思わなかった。



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とても大きい。大きすぎる。

そこから半年後だろうか、みきちゃんのお父様から直々にお電話があった。
『うちのみきがそちらにお伺いしていませんか?』と聞いてきた。いいえと答えると、神妙と言うかひそひそ声で『最近会いましたか?』と質問され『全く会えてないです。何かありました?』と尋ねたら

『もう半年も家に帰っていません。職場にも行っていません。』

え?(後の会話はよくおぼえていない)

みきちゃんとつるんでいた友達に電話を直ぐすると、近所の純喫茶に来いと言う。どうも嫌な予感がする。と言うのもその喫茶店は開放感が無く、各席が個室みたいでしかも長居をしてよいお店なのだ。

ナポリタンとか焼きそばの油のにおいとコーヒーとたばこのにおいの混ざる喫茶店の一番奥に友達はいた。席に着くなり「関わって無いよね?」と唐突に質問される。この失踪には勿論関りが無いので頷くと、コーヒーも来ないうちに話を始めた。

『みきちゃん、ホストと逃げた』

自分は彼女の性格では、逃げたんじゃなくて追っかけたのだと思ったし、今もそう思っている。

話を要約すると、彼女の幼馴染に連れられて出かけたホストクラブで、思いっきり駄馬の王子様を捕まえたらしい。
そして生活費だのお店通いにあらゆるお金を投じて沢山の借財を作ってそのまま逃避行(いや、追っかけ)をしたとの事。

みきちゃんは乙女なので駄馬と白馬の区別はつかない。その点はよろしくないのだ。幼馴染ならよく知っているはず。

何度も連れていかれるうちに、だんだん駄馬が白馬に見えるようになったんだよねきっと。

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中身は普通に美味しく頂けるサイズ感。


その後、連絡も無いまま過ぎていく。結婚をした子も多くなり、子供ができればほぼ付き合いは皆無になる。女性は結婚と出産で友人が本当に変わる。自分は変わらないのに相手がどんどん別人になる。余計に付き合いは減る。

ところが失踪から4〜6年程?経過したある日、付き合いのなくなった元友達から次々に連絡が入る。みきちゃんから結婚報告に名古屋に行くと連絡があったから、久しぶりに皆で会おうと言う内容。

自分は久し振り会う友達は見知らぬ人より怖い。友達だから当然昔と同じと相手は思い込んでいる。実際は環境が変われば別人になる事は普通。話せば話すほど噛み合わず、話題によっては地雷を踏む事になる。

待ち合わせをあえてデパートにした。ウインドーショッピングで凡そ生活の想像はつくし、今の興味などもわかる。家族構成も手に取る物で判断がつくから、いちいち聞かなくてよい。



彼女は相変わらず謎なスーツを着ていた。
前より痩せていて、かなりタイトなデザインだが

どう転んでもホステスさんの制服。

普段通りに洋服屋さんをふらりふらりと眺めていたけど、ちょっと哀しかった。正直肝っ玉母さんになっていると勝手に想像していたから。会話も特に無く時間は過ぎる。

誰かが予約していた居酒屋に入る。と、予約席にすでに男性が座っていた。男性の横顔は弓張月みたいで、正面から見ると海老芋みたい。目は虚。自分なら相手の顔にお札を張りたくなる。

みきちゃんは今ラブラブだと悟る。

自分は暮らしぶりは何も聞かないと決めていたが、周りが完全に話のネタにするつもりでガンガン質問をしていた。何処に住んでいるのか?何をしているのか?出会いは何処か?みきちゃんは真面目な乙女なので真摯に答えていた。

駄馬の王子を追っかけて群馬栃木?辺りまで行ったのだが、見事に駄馬はいきなり駿馬に変身して消息不明になり、実家にも帰れずホステスとして働く事になったようだ。そこで知り合ったのが海老芋さんだった。そしてめでたく結婚するとの事。どうやら群馬?栃木?に住んでいるらしい。

海老芋さんのお仕事はクロネコ飛脚のカンガルー便だった(要するにドライバーさん)その当時珍しい携帯電話を持っていたのを自慢していた。何か一つ位質問しないとほぼ無言になるので海老芋さんに「結婚後は毎日みきちゃんのお出迎えとお見送りになりそうですね」と言ったら

「みきは今の店を辞めて、俺の知り合いがやっている別の店で働いてもらう」と、お店で一番高いお酒をがぶ飲みしながら自慢げな声で答えた。

そうか、みきちゃんを楽にしてあげれそうに無いんだね。働く事は悪いことでも無いし、本人が働きたいなら其れでよいけど、すれ違いがどんどん大きくなりそうだよなぁ。

もうなんとなく先が見えた気がして何も言えなくなった。

帰り際元気でね!ってみんな楽しそうに手を振るけど、その眼はワイドショーを見た後の目つきで居たたまれない気持ちになった。そそくさと帰った。

エビフライはその日料理に出てきたので、彼女が好物なのでどうぞ!と自分の分を取り皿に分けたら「ありがと!エビフライ大好き!」と美味しそうに頬張っていた。

あの時は確かに彼女は名古屋人で名古屋名物を美味しそうに食べていたよ。



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自分はお腹いっぱいなので、残りは姉が美味しく食べましたとさ。








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