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「時を超える10月の珈琲」

残暑というには、あまりにも単一だった。

細かな気温の変化にココロとカラダが戸惑う。

それでも、雲の様子は確実に変わっていて、空には伸びに伸びたアシを持つクラゲがいく匹も浮いていた。

この空を見た日のことを思いかえす。
そして、また、この空と同じ空を見るであろう日のことを思う。

ちょっぴり肌寒い秋の風が、ココロに流れる時間の枠組みをなくしたから、大切なコトを思い出した。

10月の珈琲はこの思いを珈琲豆に込める。

El Salvador 100g / Congo 100g
名前のない珈琲 50g

El Salvador:手をつかむ
手を離してはいけない
そう思った
小さなあきらめが作りあげたのは
いつわりのしこり
今、つかんだこの手が
いつか、かならず、溶かしていく
透明な酸味に手をとおす

Congo:影をわたる
すこし傾斜のある坂道だった
地面を覆うのは松の木の影
交差する光と影をわたったなら
過去と未来を行き来できそうだ
この道をゆくヒトは
きっと、タイムトラベラー
丸いコクが時間をまとめる

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