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「3月の名前のない珈琲 転げる、転がる。」

転がるためには勇気が必要。
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3月の名前のない珈琲:Congo
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干草。
でも、清涼感がある。
しかも、しっとり。
これは、クッキー?
ちょっと、個性的かも。

3月の名前のない珈琲の印象を言葉にしながら、なんだか、チグハグだなと思った。

そして、その香りに、その味に、その印象に、小さな頃から慣れ親しんだ六甲山牧場の起伏のある丘を思い出していた。

電車とバス、そして、急斜面を登るケーブルカーに乗り込んで、六甲山上駅に着くと、ひんやりとした空気が鼻から胸に入ってくる。

六甲山牧場に行くには、ここから、またバスに乗る。

バスの運転手は、クネクネとした山道をもろともせず、手慣れたハンドル捌きで大きなバスを運転していた。

バスがカーブで大きく揺れるたびに、体を左右に揺らしながら、窓の外を見続けていたら、起伏のある丘に何頭もの羊がいるのが目に入った。

六甲山牧場だ。

バスを降り、入場口から六甲山牧場に足を踏み入れる。

大きな口からよだれを垂らす牛。
お尻を振りながら歩き回るアヒル。
草を食べ続ける羊。

バスから見えた丘に立ち、この斜面をかけおりたならどんなに気持ちいいだろうかと考えた。

きっと、途中で足がもつれ、転げるに違いない。
転げたら、どんどんどんどん転がって、転がり続けるかもしれない。

転げるなんて、怪我をするかもしれないし、どこに転がっていくかわからないなんて、ちょっと怖い。

でも、転がってしまえば、お腹の底から笑いが止まらなくなって、笑いながら転がっていくのかもしれない。

私は転がる勇気。出せるかな。

そんなことを思った3月の珈琲。
名前は、『転げる、転がる。』

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