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「4月の名前のない珈琲 嵐がくる。」

嵐がくる。
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4月の名前のない珈琲:Kenya
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こわいとはほど遠い。
そういう感覚ではないと思った。

風はゴウゴウと吹いていたし、雨はザアザア降っていた。

空はとても暗くて、厚い雲はどこまでも続いているようだった。

4月の名前のない珈琲:Kenyaを飲みながら、夏の嵐の夜を思い出していた。

徐々に徐々に増えていく水蒸気の粒が、夜の闇の濃度を濃くしていく。

風に弄ばれた風鈴が、今までに聞いたことのない甲高い音を鳴らしている。

布団のなかで、風鈴を家に入れ忘れたことを少し後悔した。

冷静に思った。
怖くはないと思った。

嵐がくる。
やってくる。

コクと余韻のなかにある酸味にそんなことを思い出した4月の珈琲。
名前は、『嵐がくる。』


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