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「2024年4月の名前のない珈琲 Indian:ボートを漕ぐ」

消えてしまってから、気づく大切なこと。

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4月の名前のない珈琲:Indian「ボートを漕ぐ」

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インドのコーヒー豆の存在は知っていたけれど、なかなか、焙煎する機会がなかった。

生豆自体も見たことがなかったし、飲んだこともなかったから、手が出なかったのだと思う。

4月の名前のない珈琲を何にしようかなと考えたとき、商社のコーヒー豆のホームページを探りながら、ふと、インドのコーヒー豆のページを見た。

「帆船の時代、インドからヨーロッパまでコーヒーを輸送するのに約半年かかった。この期間に船倉に保管されたコーヒー豆が湿気で緑色から黄金に変わり、独特の香味を持つようになった。」

その説明を読み、さらに、画面をスクロールする。

「時代が進むごとに、航海日数は大幅に短縮され、船倉でのコーヒー豆の変化は消えてしまったけれど、その頃の味わいが忘れられなくて、モンスーン(貿易風)を利用して、独特の味わいを引き出すようになった。」

発展していくなかで失われたものというのは、たくさんあると思う。

消えてしまってから、気づく大切なこと。

今年にはいって、ずっと感じているのは、去年や一昨年とは確実に違う時間を過ごしているということだ。

自分にとって、どれが必要で、どれが不要なのかがわかるのは、また、時間を経てからなのだと思う。

だからこそ、新しいことにもどんどん挑んでいるわけだけど、元来の性格からか、なにもしないという無の時間が、どうしようもなく欲しくなるときがある。

無の時間を過ごすことで、自分にとって、大切なことが消えてしまう前に気づけるように。

Indianのコーヒーが気になったのは、そんな気持ちを大切にしたいと思ったからなのかもしれない。

帆船時代の大航海を行くというほど、大層なことではないけれど、ボートを漕いで、岸から離れ、水面とボートとわたしと空しかない空間に行くような。

深く煎ったIndianの珈琲をグッと飲んで、無になる時間を過ごす。

2024年4月の名前のない珈琲Indianは、「ボートを漕ぐ」、そう名付けたいと思う。


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