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「5月の珈琲 Guatemala:綿毛が飛ぶ」
目の前でも遠くでも飛んでいく。
Guatemala:綿毛が飛ぶ
グラスに注いだピンク色のサイダー
小さな泡が生まれて昇っていく
窓ガラスの向こうでは
綿毛が風に乗っていた
春に咲いた黄色いたんぽぽ
白い綿毛が飛んでいく
閉じ込めることのできない酸味
夏を感じる暑さだった。
グラスに注いだピンク色のサイダーはいちごの味がした。
グラスを机の上に置き、頬を机につけた。
しゅわしゅわしゅわ。
目の前の汗をかいたグラスの中では小さな泡が生まれては昇っていく。
しゅわしゅわしゅわ。
ずっとずっと続いて、止まらない。
目を窓の外に向けた。
ふわふわふわ。
窓ガラスの向こうでは綿毛が風に乗っていた。
春に咲いた黄色のたんぽぽは、すでに、白い綿毛に変わっていた。
ふわふわふわ。
風が吹くたびに、白い綿毛が飛んでいく。
5月の珈琲Guatemala:綿毛が飛ぶの閉じ込めることのできない軽い酸味のように。
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