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フランスの音楽教育"フォーマシオン・ミュジカル"

フランスの音楽院で行われているフォーマシオン・ミュジカルの授業についてお話しします。


フォーマシオン・ミュジカルとは?

フォーマシオン・ミュジカルとはフランスで行われているいわゆるソルフェージュのことです。以前はソルフェージュと言っていましたが、1977年に行われた教育改革によって授業内容とともに名前もソルフェージュからフォーマシオン・ミュジカルへと変更されました。




フォーマシオン・ミュジカルとソルフェージュの違い

従来のソルフェージュでの学びは音楽や楽器演奏と切り離されたものでした。本来はなぜソルフェージュをするのか、授業で学んだことがどのように実践に活きてくるのか、またどうやって活かすことができるのかに焦点を当てた授業を行う必要があると思うのですが、機械的・訓練的な授業が行われていました。聴音で聴き取れるようになる、視唱で正しい音程やリズムで歌えるようになる、ただ理論を理解することが目的になっていました。なので、学生たちは学んでいることが音楽や実践につながるイメージを持てず、ソルフェージュは実用性のない難しくて複雑な訓練という認識でした。

そこでソルフェージュの目的を見直し、音楽そのものが学びの出発点であることを再確認しました。そのためフォーマシオンミュジカルでは音楽、楽器演奏に直結する学びを行うために、訓練用に作られた課題ではなく、なるべく実在する楽曲を扱いより実践的・音楽的なアプローチで授業を行います。




具体的にフォーマシオン・ミュジカルの授業では何をする?

具体的にフォーマシオン・ミュジカルの授業で何をするかというと、読譜(音、リズム)、歌唱、聴音、楽典、音楽理論を中心として楽曲分析、音楽史にも触れます。従来のソルフェージュで行われていたことにより実践的・音楽的な内容が追加されたイメージです。




実際に学ぶ・教えるを経験して

日本とフランスでは教育体系・アプローチが大きく違っていて、学生として音楽院に入った時は本当に驚きました。日本の大学では必修科目だから淡々とソルフェージュの授業を受けていて、好きでも嫌いでもないという感じだったのですが、フランスの音楽院でのフォーマシオン・ミュジカルの授業は楽しくて意欲的に受けていました。大学の授業もフォーマシオン・ミュジカルみたいだったら良かったのにと思いました。

しかし、フォーマシオン・ミュジカルは体系化されてはいるがまだまだ発展の途中だとも言われています。現場で教える立場に立って見えてきた問題点や課題もあって、良いことばかりではないのが現実です。

ソルフェージュ先進国と言われるフランスで実際に学んで教えている経験を活かして、情報を共有して、より良い音楽教育ができるよう考えていきたい思っています。




まとめ

  • フォーマシオン・ミュジカルとはフランスで行われているいわゆるソルフェージュのこと

  • 従来のソルフェージュでの学びは音楽や楽器演奏と切り離されたもので、機械的・訓練的な授業が行われてきた

  • フォーマシオン・ミュジカルでは音楽、楽器演奏に直結する学びを行うため、実在する楽曲を扱いより実践的・音楽的なアプローチで授業を行う

  • 具体的にフォーマシオン・ミュジカルでは読譜(音、リズム)、歌唱、聴音、楽典、音楽理論を中心として楽曲分析、音楽史にも触れる。

  • フォーマシオン・ミュジカルは体系化されているが課題も多く残っていて発展途中である

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