星の名前

先日、舞台『DREAM BOYS』を観劇した。ジャニーズに代々受け継がれている舞台。まさか自分がそのような伝統ある舞台を観に行けるとは思っていなかったため、自担が出演しているいないに関係なくとても貴重で良い経験をしたなと思った。

私はジャニーズJr.の井上瑞稀くんを応援している。今回の舞台では瑞稀くんが所属するHiHi JetsというグループがKis-My-Ft2の玉森裕太くん、千賀健永くん、宮田俊哉くんらに次ぐメインキャストとして出演していた。

瑞稀くんの役柄は、「星が大好きな、歌好きの少年」。普段から星を眺めることが好きと公言していたり、歌についてはHiHi Jetsのオリジナル曲であるメンバー紹介ラップ(『だぁ〜くねすどらごん』というパンチのある曲名)で「HiHi Jetsの誇れる美声」なんて紹介されるくらい上手。だから役柄からして本人らしさが溢れてるなあ、なんて思っていた。

公演は、玉森くんの語りから始まった。そして音楽が流れ出す。曲名は『DREAMER』。イントロから希望が溢れるような明るいメロディーで、それだけで私の好きな曲だと確信した。そして歌い始めは今回HiHi Jetsの中でも玉森くんの弟役という大役を演じる髙橋優斗くんのソロ。力強く歌う姿に他担ながら胸が熱くなった。舞台上にあるセットが回転し、次に歌い出したのは瑞稀くんとシンメの橋本涼くん。背中合わせで歌う大好きな2人を見て、覗いていた双眼鏡のレンズが曇った。そして猪狩蒼弥くん、作間龍斗くんの最年少コンビもまた息のあった歌声を聴かせてくれた。

その次はHiHi Jetsの新曲『Beast』。赤い衣装を纏って現れた5人がとても格好良く、一瞬で目を奪われた。1人ずつソロパートが与えられていたのだが、それを最後に歌ったのは瑞稀くん。

ソロパートを歌いながら、セットの階段をまるで他のメンバーを従えるかのように先頭に立ち堂々と下りる様子は、彼が常日頃から呼ばれているあだ名「帝王 井上瑞稀」にふさわしいものだった。
そして、曲中にある「戦いの目撃者は君だ」という歌詞は、HiHi Jetsのこれからを見ていくであろうファン=君と捉えられるのではないかとも考えた。綺麗なところしか見せないキラキラアイドルというよりかは、等身大のままメラメラと闘争心を燃やし、それを常に周囲に向けて放出している彼らにぴったりの曲だと思った。

Beastの途中に、1人ずつ自己紹介のようなセリフが入る。
瑞稀くん(以下ミズキ)は
"この空には、まだ誰も見つけたことのない星がたくさんある。その星を見つけたら、自分の名前を付けることができる。いつかきっと誰も知らない星を見つけるんだ"と言う。
その瞳に曇りはなく、とても澄んだ綺麗なまなざしでまっすぐに気持ちを届けていた。

劇中ではどんな場面でも幸せそうな表情で歌ったり、踊ったりするミズキを見ることができた。普段先輩のバックとして踊る際も歌詞を口ずさんでいることが多いのだが、公演では表情もより一層明るく楽しい表情になっていて、それは普段の瑞稀くんとは少し異なっていて、あそこに立っていたのは間違いなく「歌好きな少年のミズキ」だった。

ここからは、特に印象に残った場面を書いていく。

玉森くん演じるユウタと、千賀くん演じるチャンプのボクシングの試合の場面。

「ユウタのグローブに鉛の板が入っているぞ!」という誰かのセリフから事態は一転する。そのとき、ユウタのもう片方のグローブを持っていたのはミズキだった。
はっとした表情でグローブをぎゅっと抱え込むミズキ。
"どうしよう、ユウタがそんなことするわけない、でももしこのグローブにも入っていたら……" そんな心の声が聞こえた気がした。
スポットライトの当たらない場面でも、しっかりと心情が伝わるような演技をしていて、流石だなと思った。

ユウタが逮捕されてしまう場面。

「本当にユウタがやったの?」と聞くミズキの口調は「嘘だ、信じたくない」と言っているようにも思えた。
それまで人を疑うことなんてなかった少年が、よりによってずっと慕ってきた大好きな人にこんな感情を抱いてしまったこと。観ていた私が苦しくなった。

最後に全員で『DREAMER』を歌う場面。

ミズキが歌いながら差し出した手のひらに、一つの光が現れた。そしてそれは空へ向かって一直線に飛んでいき、ひとつの星をつくったのである。幸せそうな表情を浮かべながら歌うミズキ。その光景を目にしたとき、それがひとりの少年の夢が叶った瞬間だと確信した私は、気づけば涙を流していた。
その星の名前は"ミズキ"に違いないだろう。
誰よりも純粋な心を持ち、思いやりに溢れた少年の名前がついた星は、きっとどこにいても褪せることなく光り輝くに違いないと感じた。

今回の舞台で、瑞稀くんはまた一回りも二回りも成長しただろう。
思うようにいかないことや、悔しい感情だって抱いたかもしれない(実際ファンの私は少し悔しいこともあった)。

そんな色々な経験をした舞台を観に行くことができて、本当に良かった。
瑞稀くんばかり褒めちぎってしまったが、もちろん他の皆さんも素晴らしかった。だからこそこんな素晴らしい舞台とキャストに囲まれた瑞稀くんはじめHiHi Jetsのメンバーは幸せだったと思う。この経験を活かし、更に上へと飛躍してほしいと思った。

千穐楽で瑞稀くんが言った「デビュー」という言葉。実際に聞いた訳ではないのに簡単に頭の中で再生されたし、泣かずにはいられなかった。

デビューという言葉はJr.の誰もが願っていることだが、それを口に出すことはなかなかない。きっとみんな、それを言うには並大抵でない覚悟が必要だと感じているから。そして、それが口に出して叶うほど簡単ではないことをみんな知っているから。
けれど、それを大先輩と共演した舞台上ではっきりと口にできる瑞稀くんは本当に度胸があるし強くて誇らしい。普段は人見知りなのに、そういうときに言える気持ちの強さ。

瑞稀くんが言うと、本当に叶うんじゃないかって思う。
なぜなら、そう思えるほど彼がストイックで妥協を許さない努力家だってことをみんな知っているから。けれど仲間のことは大切にする優しい子。だから瑞稀くんがHiHi Jetsというグループで、大好きな仲間とこの先もずっと一緒に笑い合っていてほしい。それが見られたら私は幸せだ。

ドリームランドに住むミズキの願いが叶ったように、井上瑞稀くんの願いも叶いますように。

そう思いながら帰り道に見上げた夜空には、一段と光り輝く星が見えたように思えた。

#HiHiJets

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