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急なお天気雨に傘(3)

 かつ屋さんは忙しそうにしている。頑張って揚げている姿にひょっとするとお金が足りないから取りに帰らないといけないかもしれないと言いにくく、他に解決できる手立てはないか考えた。母は常連だから知っているかもしれない。ラインを送ってみる。大抵、返信はとても早い。しかし、今日に限って全く既読にならない。ついにお店の人に聞くしかないか、と様子を伺っていると同じように注文していた商品を受け取りにお客さんがやってきた。お代1530円。1の位はない!表示価格は税込のようだ!足りる!もうすぐ紅生姜の天ぷらも揚がるだろう。依然として晴れてはいるが雨足はより強くなっている。無事60円のお釣りをもらい、緩やかな下り坂になっている店舗前の道で傘を開き家の方角に向いた途端、思わずニヤリとしてしまった。母が小さいビニル傘をさし手に私のオオハシ大嘴デザインの傘を持って坂を登ってきていたのだった。





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