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blue sky,fresh



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眩しい青い空の下、体中に日差しを浴びる。初夏のからりとした爽やかな風がTシャツの隙間を吹き抜けていく。

大袈裟かもしれないけれど、
ああ生きている、そんな心地がした。

うっすらと滲む汗でさえ、
なんだか今日だけは、綺麗に見えた。

太陽の眩しさに目を細め、新緑を視界の隅で捉える。梅雨明けはまだしていないはずだけれど、夏のシーズン到来、そんな言葉が似合う陽気だった。今すぐ駆け出して海に飛び込みたい。思いっきり水を浴びたい。そんな気分だった。


手の中で水滴だらけとなったレモンスカッシュを口に運ぶ。パチパチと爆ぜる炭酸に心が躍る。

もういっそこのまま何もかも忘れて、何もかも捨て去って自由になりたい。心地よい空間の中でだけ生きていたい。けれど、そんなの叶うわけもなく。

明日になればオフィスカジュアルに身を包み、太陽の日差しさえ感じることのない、都心のオフィスビルにいる。

働くってなんだろう。
あの頃は、やり甲斐だとか、ああなりたいとか、こうなりたいとか、確かにそういうものがあったはずなのに。

一般的に世間では、お金より愛情が大事だっていうけれど、私は結局お金が1番なんだと思う。お金があるから余裕があって、余裕があるから、見返りを求めない愛情を注ぐことができるんだろう。

このレモンスカッシュだって、たった470円でさえ、働いていなければ飲むことができないんだから。


つまり結局は、お金がないと生きていけない。生きるためにお金が絶対的に必要で、愛より重く、需要だと思う。

お金を稼ぐためには、どんな事でもいいから、仕事をしないといけない。けれど、若かった私たちは、自分の仕事に対して意義とか意味とか何かしらを必要としていた。


あの頃の情熱っていつの間に消えてしまったんだろう。モチベーションのない人は嫌だとかそんなことを言っていたはずなのに。お金よりやり甲斐だなんて思っていた新卒時代のフレッシュな私はどこに行ったんだろう。お金のために働く、そんなふうに毎日こなすように仕事をし始めたのは、いつからだろう。

見上げた青すぎる空の中、レモンスカッシュの中の氷みたいに、この思考を溶かしてしまいたい。雲一つない空のように、こんな私の思考を取っ払ってしまいたい。

一年のうち、あっという間にもう半年が過ぎた。どうなりたいかどうするか、動くのに遅いなんてことはないから。思い立った時がタイミングなのかもしれない。


空になったプラスチックカップを捨てる。踏み出した一歩は、少しだけ軽いような気がした。



こんなにも世界は鮮やかだ。
自分が思っている以上に、実は自由になれるのかもしれない。


イメージ:『DTLA』Pink Roses

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