Sonic Youth の『Dirty』を聴いてみた編

今回は Sonic Youth の『Dirty』を聴いてみた編をお届けします。

巧みなノイズさばきと、個性豊かな3人のボーカリストによる暴力性を秘めた生々しいギターサウンド。

“ノイズパンクの雄”として君臨するSonic Youthの危うくもポップな一枚です。

是非読んでみて、聴いてみてください!

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1.100%

右側で掻き鳴らされるノイジーなギター。ドラムのノリ好き。ヘヴィなベースの存在感。度々あるブレイクが印象的。1:57〜ベース太さに驚く。一曲通してフィードバックノイズがそこら中をうねり掻き乱している。

2.Swimsuit Issue

怒涛のリズム刻む野性的なドラムで開幕。疾走感。独特な抑揚がついたスリリングなボーカル。1:44〜テンポダウンして、気怠げな雰囲気。「セクシー」よりも、平仮名の「えっち」が似合う。豹変っぷりが楽しい。重く地面揺らすようなノイズ。

3.Theresa's Sound World

憂いを帯びた寂しげなイントロ。ゆったりとしていて奥行きがある壮大さ。1:10〜徐々に緊張感が増す。次第に解き放たれ、ダイナミックな展開になる。テンションの高まりがそのまま演奏にぶつけられる。緩急。静かで激しい。ギターが吠えては甲高く鳴く。アウトロの爽快なノイズ。静に帰り、終わる。

4.Drunken Butterfly

暴力的にジャキジャキ鳴るギター。しゃがれた声での「I love you」はセクシーで危機感がある。「Drunken Butterfly (酒酔いの蝶)」というタイトルもイケてる。酒焼けによるしゃがれた声だったらどうしよう。スラッシュメタルみたい。1:17〜の野蛮さと、1:46〜の激しさ格好良い。リズミカルなリフ気持ち良い。

5.Shoot

ジリジリと始まる。ローテンション。冷たげで突き放すように歌うボーカルのS気が良い。不思議なメロディーにノイズが溶け込む。魅力的な不安定さ。どんどん感情的になっていくボーカル。紫色で誘惑的な雰囲気。幻想的な余韻。

6.Wish Fulfillment

メロディアス。マラカスみたいな音。イントロではノイズを鳴り潜め、サビで全体的に爆発するスタイル好き。Aメロは甘く、サビでは叫ぶように激しいボーカル。アウトロのギターのコリコリ音が強烈。

7.Sugar Kane

ギターが哀愁さとシリアスさのあるメロディーを奏でては、活発なドラムが吹き飛ばす。0:30〜とても好きなギターフレーズ。歌っているのはThurston Moore。キャッチーでポップ。3:00〜間奏の展開が表情豊かで多彩。激しくノイズ。ノイズノイズ。4:06〜混沌とした世界に流れ込む美しいアルペジオのギター。そこから轟々としていく曲全体の一体感ゾクゾクする。天才…。その後何事もなかったかのように歌い出す所も良い。

8.Orange Rolls, Angels Spit

ギターノイズが初っ端から炸裂。ボーカルがかなりヒステリックで不安定な状態…と思っていた矢先、0:45〜めちゃくちゃ陽気で面白い。パンク。突拍子のないビート、展開で胸が躍る。滾りまくりな間奏。甲高いシャウトが耳に残る。ボーカルが曲によって違うの楽しい。

9.Youth Against Facism

もはや重機みたいな音が鳴っているベース。ピコピコしたノイズが悪戯で可愛らしい。ザクザクと突き進んでいく様がパワフルで爽快。ノイズに徹するギター。政治的な歌詞がヒリヒリしてる。軽快に繰り返される「It's the song I hate」に乗っかりたくなる。
この曲にはFugaziのIan MacKaye(gt)が参加。

10.Nic Fit

勢いと衝動性が詰まっている。ふざけているようなヘンテコボーカル。ハードコア。ブツっと終わる。ヤケクソな1分間。

11.On The Strip

轟音に包まれ、無気力アンニュイに歌うボーカル。このセクシーな歌声がKim Gordon。2:42〜混沌としたノイジーな世界が繰り広げられる。マグマのよう。加速するドラムをきっかけに、実験音楽みたいになる。4:24〜何事も無かったように現実世界へ戻ってくるのクール。幻想的で曖昧で、不穏な空気のまま終わる。

12.Chapel Hill

青春。爽やかなアルペジオ。すぐ切なげなギターフレーズが入る感情の起伏激しいイントロ。中盤も雰囲気がコロコロ変わる。2:07〜美しすぎる。2:22〜今度はダークで刺々しい。テンポアップ。ハードコア味ある。3:31〜この煮え滾るようなドラム高まる。情熱的なギターソロ。盛り上げ上手。テンポダウンして終わる。

13.JC

ジワジワとノイズが鳴り響く。轟音が空気を震わす。淡々としたKim Gordonのボーカル。ラップみたい。シューゲイザー風味。声の切れ方が不思議で機械的。その間も轟音に包まれている。コンクリートかち割るような硬さのあるノイズ。反響。

14.Purr

疾走感MAX。勇ましいアップテンポ。歌のメロディーをなぞるギター素敵。ダイナミックなギターロック。1:44〜好きなメロディー。2:40〜夕焼けが目に浮かぶ美しいメロディー。 間奏がどの曲も秀逸。

15.Crhme Brulee

狼が吠えそう…と思ったら狼のように吠えるボーカル。0:35〜危険なノイズで緊張感を放った後、不自然に切り替わるのが不気味。ダウナーなテンション。 興味惹かれる終わり方。

16.Stalker(日本版CDのBonus Track)

奇妙な躍動感があるメロディー。1:32〜ノイズがバキバキでバリバリしている。カオスなんだろうけど、しっかりポップさもあって両立しているのが凄い。最後の音は心臓に悪い。

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↓自分が手に入れたのはDeluxe Editionで、レビューはオリジナル音源のみでしたが、Disc 2にはボーナストラックや未発表リハーサル音源が収録されています!

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Sonic Youthは、1981年結成のニューヨーク出身のバンド。1980年代以降のアメリカのインディーシーンにおいて、“ノイズパンクの雄”と位置付けられる。ボーカルが3人いる変則的なスタイル。2011年に活動停止。ジャンルとしては、オルタナティヴ・ロック、インディー・ロック、ポストパンク、ノイズロック、ノー・ウェイヴ、エクスペリメンタルなど。
本作はSonic Youthが1992年に発表した8作目のアルバム。プロデューサーのButch Vig、ミックスのAndy WallaceはNirvanaの『Nevermind』なども担当したことで有名。ジャケットのアートワークに使用されたのは現代美術家のMichael "Mike" Kelleyの作品。

本作は生々しさを前面に押し出す事を念頭に置いて作ったアルバム。かなりノイジー!

序盤静かにノイズを鳴り潜めて、サビなどの盛り上がりで爆発する系、間奏で暴れ回る系のノイズ、好きです。

バンド内に3人もボーカルが居ることには驚いた!
3人とも特徴が違うので、どの曲も楽しかったです。(内山はKim Gordonさんの歌声がお気に入り)

それにしても「ノイズパンクの雄」というキャッチフレーズが雄々しくてインパクト強い。

自分も欲しいな…そういう強そうなキャッチフレーズ。


次回は Replacements の『Let It Be』を聴いてみた編をお届けします。お楽しみに…!


最後まで読んでくださり有難う御座いました。


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