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【翻訳】外注したら約400万円かかるシステムを、コーディングなしで自前でつくったお話

前回のnoteはたくさんの反響をいただきましてありがとうございました。

前回に続きまして、今回もNoCode(ノーコード)に関するお話です。

今回は、Nadim El-Asmar(@nadimelasmar)氏の「How we manage our short-term rental business with no code」という記事を、本人の許諾を得た上で、タイトルを少し変えて翻訳・掲載しています。

本記事は、民泊などたくさんの短期契約の賃貸物件を管理している会社が、いかにしてNoCodeでシステムを構築し、ビジネスを進めているかという内容です。日本ではNoCodeの事例がまだまだ少ないですが、海外ではたくさんの起業家が実際にビジネスに取り入れています。

どんなNoCodeツールをどのように組み合わせて使っているか参考にしてもらえると幸いです。

下記から翻訳記事になります。

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はじめに

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NoCodeツールを使っておよそ150の賃貸物件を管理するシステムを構築しました。5人のフルタイムの従業員で全てを管理し、モントリオールとマイアミの2つのマーケットで民泊ビジネスを行っています。一切コードを書かずに構築したシステムですが、過去18ヶ月で7,000以上の予約を管理してきました。

システムを構築するのに使ったツール

- Gsuite (Gmail, Googleスプレッドシート, Googleカレンダー)
- Airtable — 全ての予約データを保存するメインのデータベースとして。
- Zapier — 各ツールをつなぎあわせるためのもの。
- Trello — システムのメイン画面として。
- Slack — 重要なアラートや通知のために(本記事では言及しない)。

実装した機能

機能1. 予約管理
機能2. ファイナンシャルレポート
機能3. データ分析ダッシュボード
機能4. 予約カレンダー
機能5. レビュー管理機能

機能1. 予約管理について

Airbnbやその他のOTA(訳注:オンライントラベルエージェント。旅行系サイトなど。)から送られた予約を追跡し、カスタマージャーニーマップ(訳注:顧客が商品やサービスを知り、最終的に購買するまでの、カスタマーの「行動」、「思考」、「感情」などのプロセス)に落とし込み、社内のUX改善チームに提供します。

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処理の流れ1: Airbnbなど各サイトから予約メールが会社メールアドレスに届きます。
処理の流れ2: もし予約メール文内に、特定の文字列が入っていたらAirtableに送られます。
処理の流れ3: Airtableはメール文を解析し、関連情報をTrelloに自動で投稿します。

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処理の流れ4: Trelloのボードは予約からチェックインまでの一連の流れを各フェーズでまとめたリストで構成されています。"Log"ボードは予約からチェックインまでまだ時間のある予約カードを、"Done"ボードは過去の予約といった具合です。予約カードは、チェックイン日に近づくにつれて"4 Days Out - 残り4日 -"リスト、"3 Days Out - 残り3日 -"リストへと自動的に移動していきます。

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処理の流れ5: Trelloの各カードには予約に関する重要な情報が記載されています。ゲスト名、部屋数、日付、支払金額、ゲストとのやりとりをするスレッドへのリンク、旅程などです。各情報を視覚的に管理するためにTrelloのラベルを使っています。

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機能2. ファイナンシャルレポートについて

収益や費用に基づいたファイナンシャルレポートを自動的に生成する機能です。

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処理の流れ1: 新しいレコードがAirtable上に作られたら、つまり新しい予約が入ったら、その予約に関する収支情報がGoogleスプレッドシートに送られます。
処理の流れ2: 予め設定しておいた関数が収益情報を解析し、マーケット毎、サイト毎、予約毎の重要な収支情報を提供してくれます。PLをリアルタイムに確認できるようになるわけです。

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機能3. データ分析ダッシュボードについて

各KPIを測定するために使います。

処理の流れ1: この機能は、ファイナンシャルレポート機能と同様の構成で組んでおり、特定のグループ毎や時間毎、マーケット毎のKPIレポートを自動で生成します。
処理の流れ2: およそ50の指標に基づいて生成したグラフや表でリアルタイムにデータ分析を行います。

市場毎の過去7日間、将来の7日間の分析データの例が下記です。(毎日自動で更新されます)

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下記のグラフは、最も重要な指標を対前月比で示します。

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機能4. 予約カレンダーについて

清掃サービスや、物件のメンテナンスチームの動きをスケジューリングするためのものです。

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処理の流れ1: こちらもファイナンシャルレポート機能と同様の構成になっていますが、データの出力先を変更しています(今回はGoogleカレンダーと連携しています)。
処理の流れ2:  Airtableに新しいレコードが作られたら、Googleカレンダー上にも自動で予定が作られます。チェックイン日からチェックアウト日までを囲んだ予定です(時間は我々の定めているチェックイン・アウト時間に基づいて指定されます。)。
処理の流れ3:  カレンダー上の各予定には、何をいつ清掃するべきかといった予約に関する情報も記載されており、各チームが効果的なサービスを提供するのに利用されます。チーム全体が同じ前提情報に基づいて動けるようになり、UX改善チームと外部の清掃チームとのコミュニケーションを減らしてくれるわけです。

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機能5. レビュー管理機能について

ゲストからのレビューを保存し、レーティングスコアを分析します。

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処理の流れ1: ゲストからレビューが投稿されたという通知が届いたら、Airtableに新しいレコードが生成されます。
処理の流れ2: 我々からゲストに対するレビューを完了し、公開されたら(訳注: Airbnbの仕様。ゲストとオーナー双方のレビューが投稿されてはじめてAirbnb上にレビューが公開される)、ゲストからのレビューを手動でAirtable上のレコードに追記します。残念ながらこのあたりを自動化する方法は今のところありません。
処理の流れ3: これらのレビューはGoogleスプレッドシートに自動で送られ、マーケットなどのグループ毎に整理されてダッシュボードからいつでも確認できるようにしています。パフォーマンスの低い物件を特定することが可能です。

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かかっているコスト

- Gsuite = およそ $50/月
- Airtable = $12/月
- Zapier = $125/月
- Trello = $12.50/月
- Slack = $0 (どういうわけかまだアップグレードするまでには至ってません 🤔)

同様のシステムをつくるために、当初ソフトウェアエージェンシーに依頼しようと考えましたが、見積もりを依頼したところおよそ$35,000と言われました。これは現在のNoCodeツールを使ったシステム構成で175ヶ月分の支払い額にあたります。NoCodeで自前で実装したことで、予算をビジネスそのもののグロースに割り当てることができたのです

予約の修正やキャンセルについて

現在我々が使っている全てのツールは、予約の変更などが発生すると、自動で連携・更新されます(逆のフローが発生した場合もZapierがうまくやってくれます)。この仕組みを実装するために、各予約を一意で判別するためのコードを生成するようにしています。

最後に

もっと詳しく知りたい方は nadim[アットマーク]nuagestays.comにご連絡ください。もしくはtwitterでもOKです。

ヘッダー画像を作ってくれた Mackenzie Davidson に感謝しています。

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翻訳後記

記事の翻訳はここで終わりです。いかがだったでしょうか?

NoCodeで新しいサービスを低コストで作るという発想よりも、人によっては社内の業務効率化システムを作るためにNoCodeについて調べるという方が即効性が高いかもしれませんね。

引き続き、NoCodeに関する海外事例や使い方などの情報をtwitterYouTubeで発信していきますので、よかったらフォローをお願いします。

https://twitter.com/__shinji__

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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