去夜なら

わかった気がしてた
好きと愛と君が
わからなくなった
好きも愛も君も
どうして、どうして、
YESとNOの境界を曖昧にして、溶かして、堕ちて、2人が望んだことなのに、どうして

「_______私と同じね。」
夜空を見上げて零れた雫と透明な言葉。
深い悲しみと似た色の空にまるで鉤爪のように鋭利な両端を引っかけている有明月、纏った薄い雲は羽衣を連想させる。あまりに儚くて美しくて孤独で、切ない。儚い情景や美しいものは心を潤すけれど時にそれは刃となって私を酷く傷つける。
「でもやっぱり、本当に孤独なのは私の方ね。」
姿形を失くしてもまた輝ける月と私は、違う。
儚くも美しくもないし姿形を変えることもできないし輝くことも誰かを満たすことも、何もできない。

今宵はいつにも増して寂しいと思った
わからなくなってしまったから
好きと愛と君が
少しのぬくもりと煙草の残り香、数え切れぬ棘
わかれよ
好きも愛も君も

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眠れない夜に

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