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ディグ・モードvol.35「ルイ(RUI)」

ルイ(RUI)は、2019年にニューヨークを拠点とする中国人デザイナー、ルイ・チョウ(Rui Zhou)が設立したファッション ブランド。優しくもインパクトのあるデザインは身体の形をフレームとして扱うことでジェンダーのイメージを取り除き、ボディスーツやタンクトップなどの日常着を再定義している。


パーソンズのショーをきっかけにブランド設立

2022年春夏コレクション(Courtesy of RUI)

中国の湖南省で生まれたルイは、子どもの頃から絵を描くことが好きだった。いつファッションに出会ったかは覚えていないが、母と妹が服装に敏感だったため、毎日自分の服に注意を払わなければならないと彼女は感じていた。

北京の清華大学に入学し、最初の2年間はテキスタイルデザインを学んだ後、服を作る技術を学ぶために専攻を変え、ファッションデザインの学士号を取得。その後ルイはニューヨークに移り、パーソンズ美術大学に進学した。2018年の美術学修士課程(MFA)ランウェイ ショー後、多くの注目を集め、それが自身の名を冠したブランド設立のきっかけになった。

2021年秋冬コレクション(photography by Mia Song)

中国で育ったバックグラウンドは、彼女の作品に影響を与えている。ルイはデザイナーになってから、ファッションの実用性やクリエイティビティについて深く考えるようになった。山と木々に囲まれた静かで洗練されていない生活をしてきたおかげで、彼女は自分自身について深く考えることができ、それは物事の本質を探求することに対する興味へとつながっている。

衣服はインスタレーションのようなもの

2022年秋冬コレクション(Courtesy of RUI)

ルイはニットのボディスーツ、円形や楕円形のカットアウト、身体にフィットするセパレートを通じて、身体を強調し、明らかにしている。

こうした特徴的な形やアイデアの発端は、パーソンズ美術大学で卒業プロジェクトに遡る。彼女は当時、編み物の弾力性がコンセプトの表現に適していることに気づいた。ニットはとても優しくデリケートだが、肌に強い力と張りを感じさせるからだ。身体の形を引き立たせると同時に、伸縮性があり動きやすいニット生地は、身体をサポートする要素も備えている。

2022年春夏コレクション(Courtesy of RUI)

彼女のデザイン プロセスは、マネキンを使うことが多い。デザインをスケッチするよりも創造性が制限されず、新しいアイデアやシルエットが自然に生まれてくるからである。ルイは、着る人の身体に簡単に溶け込むことを願ってデザインしている。

デザイナーにとってファッションは、建築やインスタレーション アートと同じで、肌の隙間や人と人とのギャップを表すものだ。「衣服はインスタレーションのようなものです。 ドレープやスケッチをするときは、常に体型をフレームと考えています」と彼女は『VOGUE』で語っている。

ブランドの真価はジェンダーフルイド

ルイ・チョウ(Photography via Vogue Business)

ブランドの真価はジェンダーフルイドにある。ルイはブランドの設立当初からターゲットを絞るつもりはなく、 自己表現や自己認識の媒体としてデザインを使用することを目指している。「私のデザインが、主に自分自身の受容や評価において、より多くのボディ ポジティブをもたらすことを願っています」と彼女はマレーシア版『L'OFFICIEL』で語っている。

デザイナーが願うのは、デリケートだからといって着る人が恐れることなく、日常生活で着用し、動き回ってもらうことだ。着る人が動く度に生地がついていく、その動きを彼女は好んでいる。ブランドのアイテムを着用する最適な機会について、「準備ができたらいつでも」と彼女は『METAL Magazine』で語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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