見出し画像

ディグ・モードvol.44「ザ ヴァンパイアズ ワイフ(THE VAMPIRE’S WIFE)」

ザ ヴァンパイアズ ワイフ(THE VAMPIRE’S WIFE)は、モデルからデザイナーに転身したスージー・ケイブ(Susie Cave)が2014年に立ち上げたファッション レーベル。2020年にH&Mとコラボしたコレクションがローンチから24時間で完売し、注目を集めた。スージーは自身の感覚に従って、女性の美しさを祝福し、自信を与えるドレスを製作している。


90年代を代表するモデルがデザイナーに転身

2019年秋冬コレクション(Photography by Matthew Thorne)

学者の娘として生まれ、アフリカとイングランド北西部のチェシャー州で育ったスージーは、幼いころ祖母からミシンの使い方を教わり、自分の服作りに夢中だった。14歳のとき、ニューヨーク行きの飛行機でフォトグラファーのスティーブン・マイゼル(Steven Meisel)によって見出され、彼女は16歳でフルタイムのモデル業をスタートした。

イヴ サンローラン(YVES SAINT LAURENT)やクリスチャン ディオール(CHRISTIAN DIOR)などのキャンペーンモデルとして活躍し、英国のロックグループ、ロキシー・ミュージック(Roxy Music)のアルバム カバーを飾り、1994年公開のロバート・アルトマン(Robert Altman)監督の映画『プレタポルテ(Prêt-à-Porter)』ではキャットウォークでヌードを披露した。 

1999年、スージーは作家でもありミュージシャンでもあるニック・ケイヴ(Nick Cave)と結婚。彼女は双子のアール(Earl)とアーサー(Arthur)を出産し、子どもたちが10代だった2014年、ニックの未完の小説にちなんで名付けた自身のレーベル、ザ ヴァンパイアズ ワイフを立ち上げた。

2019年秋冬コレクション(Photography by Matthew Thorne)

ブランド設立にあたって、仲間のデザイナーや、グッチ(GUCCI)のクリエイティブ ディレクターを務めていたアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が彼女を助けてくれた。夫のニックは、レーベルでドレスの命名や生地選びを担当している。

スージーはニックから、コミットメントの考え方を学んだと説明している。それは、取り組んでいることが何であれ、懸命に働き、大胆になり、自分の衝動に従うことだ。現在のトレンドが何であれ、たとえトレンドからどんなにズレていると感じても、デザイナーは自分に正直であることを貫いている。

H&Mとのコラボが24時間で完売

H&Mとコラボしたコレクション(Courtesy of H&M)

ドレスアップしたいという気持ちを昔から強く持っているスージーは、モデル業を通して女性に似合うものとそうでないものを学んだ。その経験が、彼女のデザイナーとしての仕事に活かされている。

2020年、スージーはH&Mとコラボした。コレクションはローンチから24時間で売り切れ、いかにブランドがカルト的存在であるかを示した。誰かがザ ヴァンパイアズ ワイフのハッシュタグを使用すると、彼女の携帯にアラートが表示されて、その度に彼女は毎回スリルを感じたと振り返っている。

「私は、若手の女優から自分たちで小さな映画を作っている人々まで、彼らと非常に個人的なつながりを感じています。そして、毎回感動しています」と彼女は『Guardian』のインタビューで語っている。

ドレスは自信を育むアイテム

2019年秋冬コレクション(Photography by Matthew Thorne)

新しいデザインを思いつくとき、スージーは感覚に従うことを好む。睡眠中や片頭痛を抱えているときでさえインスピレーションを感じている彼女は、「片頭痛に苦しんでいますが、それは私にとって信じられないほど創造的な時間になり得ることがわかりました」と『THE KIT』で語っている。

ザ ヴァンパイアズ ワイフを象徴するアイテムのひとつ、プレーリー ドレスのシルエットに惹かれた理由も直感からだった。デザイナーのエゴによって、女性の美という概念が犠牲になっていると感じていた彼女は、女性の本質的なパワーと美しさを祝福するために、そのシルエットをデザインしている。

スージー・ケイブ(Photography by Polly Borland)

人々が彼女のデザインを着ている人を見たとき、ドレスではなく着用者を美しいと感じさせることがスージーの願いだ。「ドレスは自信を育むうえで役立ちます」とデザイナーはシンガポール版『L'OFFICIEL』のインタビューで語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

いつも読んでくださってありがとうございます☺︎いただいたサポートは、記事のクオリティ向上に活用させていただきます。応援よろしくお願いします❦