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ディグ・モードvol.21「ユェチ チ(YUEQI QI)」

ユェチ チ(YUEQI QI)は、2019年に中国出身デザイナーのユェチ・チ(Yueqi Qi)が設立したウィメンズウェア ブランド。複雑で繊細なビーズ作品を中心に製作し、2020年春夏シーズンの上海ファッションウィークでコレクション デビュー。グッチ(GUCCI)とコラボしたプロジェクトや、2022年のLVMHプライズにノミネートされたことで注目が高まっている。


ファッションに青春時代を捧げる

2021年春夏コレクション(Courtesy of YUEQI QI)

中国の広東省で育ったユェチ・チは、8歳の頃からファッション デザイナーになりたいと思っていた。テレビのファッション番組に触発されて、祖母のパジャマを裁断し、新しい服に縫い付けた。それが彼女の作った最初の作品だ。

セントラル セント マーチンズ(Central Saint Martins以下、CSM)が世界最高のファッション スクールだと聞いた彼女は、準備のためにアートスクールに通い、青春時代をスキルアップに捧げた。そして17歳のとき、CSMのニットデザイン科に入学。家族と離れるのは初めてだったが、成長の一部であり必要なことだったと彼女は振り返っている。

CSMでは、作品を通して自分のストーリーを伝えることができる、才能ある人々に囲まれて過ごした。彼女がロンドンで出会ったデザイナーは、技術的に鍛錬されていて、とても文化的だった。2018年に卒業後、パリにあるシャネル(CHANEL)の刺繍アトリエで働いた。彼女はそこで、効率的かつクリエイティブな方法でチームと協力する方法について多くのことを学んだ。

中国の職人技を高め、国際的に示したい

2020年春夏コレクション(Courtesy of YUEQI QI)

2019年、彼女は自身の名を冠したブランドを設立。使命のひとつは、自分の歴史を探求することだ。これによって自分が誰であり、どこから来たのかを学び、作品を通じてそのストーリーを共有できるようになる。ユェチ・チにとって、ファッションはストーリーを伝える手段であり、メディアを通じてそれを実現することが目標だ。

彼女は中国の手工芸品を活性化させることに関心を抱き、中国が複雑で繊細なデザインで知られていた時代に戻りたいと考えている。「国際的には、中国は安いものを作る場所だと考えられがちですが、それよりもはるかに豊かで深いです。デザイナーとしての意図は中国の職人技の水準を高め、国際的な舞台で示すことです」と『COEVAL Magazine』で語っている。

グッチフェストはブランドの成長に役立った

ユェチ・チ(Courtesy of YUEQI QI)

ブランドの立ち上げ以来、デザイナーは「グッチフェスト(GUCCIFest)」や「ヴォールト・グッチ(VAULT Gucci)」といったプロジェクトでグッチとコラボしてきた。グッチフェストとは、1週間連続で全7話の短編映画をアップして最新コレクションを紹介するデジタルフェスティバルのことで、アーティストはやりたいように作成する自由を与えられた。

彼女がグッチフェストの連絡を受けたのは、数人の家族とインターンがいて、母親のコーヒーテーブルの周りでビーズを紐でつないでいたときだった。それはブランド設立から1年未満であり、パンデミックが始まった頃でもある。

彼女は『タロ ブッダ(Taro Buddha)』というタイトルのショート フィルムを作成した。ストーリーは、ある若い女性が祖母の誕生日のために帰省し、最初は浮かない表情を浮かべていたものの、ふるさとの好きだった所を段々と思い出していくという展開だ。デザイナーが育った開平を舞台にし、その場所に根差した物語になっている。

彼女にとって、グッチフェストはブランドが成長するための良い機会となった。「私たちは多くのデザイナーの作品を目にしますが、彼らの世界をこれほど親密に見ることは滅多にありません。グッチフェストが無かったら、私は映画を作るという挑戦を受けることはなかったでしょう」と『METAL Magazine』で語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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