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ディグ・モードvol.31「エコーズ ラッタ(ECKHAUS LATTA)」

エコーズ ラッタ(ECKHAUS LATTA)は、2012年にマイク・エコーズ(Mike Eckhaus)と ゾーイ・ラッタ(Zoe Latta)が設立したニューヨークとロサンゼルスを拠点とするファッション ブランド。ふたりは現代アートと実験的なファッションを融合させ、革新的でクリエイティブな服作りをおこなっている。


ファッションで結ばれた友情がブランドに発展

2020年秋冬コレクション バックステージ(Photography by Christina Fragkou)

マイクとゾーイの出会いは、ニューヨークから北へ3時間の場所にあるロード アイランド スクール オブ デザインで過ごした学生時代に遡る。自身を変わり者だと認めるふたりは、最初お互いが嫌いだった。マイクは彫刻、ゾーイはテキスタイルを学び、どちらもファッション デザインは勉強していなかったが、それぞれファッションが好きで対話するようになった。

「私たちの友情は、決してカジュアルなものではありませんでした」とゾーイは『SSENSE』のインタビューで語っている。

(Photography by Pierre Crosby)

卒業後、ふたりはニューヨークに移り、ファッション業界に就職。デザインの仕事である程度一緒に働いていたが、他の人のために働くことに満足していなかった。そこで、彼らは小さなアトリエを手に入れてコレクションを製作していくことを決め、2012年2月にエコーズ ラッタを結成した。

ふたりの服作りは、必ずしも特定の年齢や性別に向けられていない。それは自分の辞書にエコーズ ラッタを取り入れたいと思っている、スタイルに強いセンスを持つ人に向けられている。

お互いへの信頼により、ムード ボードは不要

2020年春夏コレクション バックステージ(Photography by Pola Esther)

エコーズ ラッタの初期から根底にあり続けるものは、コミュニティの感覚だ。その中心にはマイクとゾーイの友情がある。マイクはクリエイティブなパートナーシップを「ピンポン」と表現し、ゾーイは「陰と陽」と表現する。

「私たちは非常に異なっていますが、多くの類似点があります。ふたりとも触ったり、感じたり、ものを作ったりするなど、直感的なものが大好きです。それらのテクスチャには違いがあります。 私たちは互いの言語を教え、学んだと思います」とゾーイは『i-D』で語っている。

2017年秋冬コレクション バックステージ(Photography by Lillie Eiger)

マイクとゾーイは、コレクションのイメージをまとめるムード ボードを作成しない。何よりもまず、彼らは信頼しあっており、お互いのコンサルタントとして役割を果たしている。ふたりは素材を重視し、さまざまなものを見つけて、それらを互いに見せ合うというプロセスを常におこなっており、スケッチもたくさん描いて見せ合っている。

創造的なプロセスについて対話することは、彼らのコミュニケーションに不可欠だ。そうやって、両者のビジョンはひとつのコレクションに統合されている。

個々の進化に従ってブランドも成長していく

マイク・エコーズとゾーイ・ラッタ(Photography by Thomas McCarty)

マイクとゾーイは20回以上のショーを経て、エコーズ ラッタをアメリカ国内有数のブランドのひとつに成長させた。最初のインターン生の中には、ガントレット チェン(GAUNTLETT CHENG) や ヴァケラ(VAQUERA)など、自身のファッション ブランドを立ち上げた人もいる。2021年、マイクとゾーイは影響力の証として、メットガラに招待された。

ふたりが設立当初から変わらず大切にしているのは、自分たちの手で他の人と一緒に物を作ること。糸選びからスワッチ、最終的な服の製作まで、すべての生産は今でも社内でおこなわれている。

(Photography by Pierre Crosby)

変わらないものがある一方、エコーズ ラッタはデザイナーの進化にともなって、成長を続けている。「私たちは自分たちの好みで成長し、成熟しました。エコーズ ラッタは変化する私たちの嗜好や興味を持つものと常に並行しています」とマイクは『Crash Magazine』で語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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