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ディグ・モードvol.42「ブランドン チョイ(BRANDON CHOI)」

ブランドン チョイ(BRANDON CHOI)は、ロンドンを拠点とするファッションデザイナーのブランドン・チョイ(Brandon Choi)が設立したウィメンズウェア ブランド。サヴォアフェールに魅了されたデザイナーは、クチュールにインスピレーションを得て、トワル キャンバスや包装用テープ、布の切れ端から修士課程の卒業コレクションを作成し、注目を集めた。


サヴォアフェールに夢中

(Photography by Liam Lesli)

ブランドンはフランス人の母親と中国人の父親のもとに生まれ、英国南海岸のポーツマスで育った。ウェストミンスター大学でファッションデザインの学士号を取得し、2020年2月に同大学のロンドン ファッション ウィーク(London Fashion Week以下、LFW)でデビュー コレクションを発表。同年9月、彼はシャネルの奨学金を獲得した。

大学時代、ブランドンはヴィヴィアン ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)、ヴィクター&ロルフ オートクチュール(VIKTOR&ROLF Haute Couture)、アガノヴィッチ(AGANOVICH)でインターンとして経験を積んだ。シャネルの奨学金獲得は、ヴィクター&ロルフで初めてクチュールの技を培った彼にとって、夢が叶った瞬間だった。

(Courtesy of BRANDON CHOI)

ブランドンがオートクチュールに夢中になっている理由のひとつは、職人たちの技術を礼賛する表現でもある「サヴォアフェール」だ。

「何世代にもわたって受け継がれてきた豊かな知識を持っている人たちが、クチュール アトリエで服を作っているのを見るのが好きです。私にとって、彼らは技術革新を推進するためのリソースを持っているという点で、イノベーションの最前線に立っています」と彼は『VOGUE』で語っている。

オートクチュールに無重力をもたらす

(Courtesy of BRANDON CHOI)

シャネルの奨学金を利用して、ブランドンはセントラル セント マーチンズ(Central Saint Martins以下、CSM)でウィメンズウェアの修士号を取得した。『Wear and Tear』と名付けた卒業コレクションは、作品のもろさを反映し、パンデミックがもたらした心理的なダメージをほのめかしたものだ。

当時ロックダウンの影響で、ブランドンは作品の材料を買いに行くことができなかった。そこで、トワル キャンバスやパターンメーカーの紙、包装用テープ、布の切れ端、梱包材の段ボール箱などを、オートクチュールの製作に使用される一般的な素材と組み合わせて、作品づくりを始めた。

(Photography by Liam Lesli)

ブランドンは50年代のクチュールのシルエットを研究し、賞賛してきた。しかし、現代では少し重たく見える場合があるため、彼はそこに無重力をもたらそうとした。そうして、紙とキャンバスは繊細な切りっぱなしのコルセットになり、段ボールはパニエになった。

CSM修士課程のショーが開催された2022年2月には、ロックダウンが緩和されていた。ブランドンは、ティエリー・ミュグレー(Thierry Mugler)とマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)のショーを歩いたモデル2名のブッキングに成功し、モデルは90年代のパリを思わせるウォーキングを披露した。

アトリエは何でもできる魔法の場所

ブランドン・チョイ(Courtesy of BRANDON CHOI)

2022年6月、ブランドンはLFWで初めて単独のプレゼンテーションをおこなった。彼がLFW用に制作したビデオは、卒業後、彼が数か月にわたっておこなってきた仕事を捉えたものだ。縫製やフィッティングの様子、チームやモデルと一緒にコラボレーションする純粋な楽しさが伝わるアトリエ ドキュメンタリーである。

「アトリエは、ほぼ何でもできる魔法のような場所です。」と彼は『1 GRANARY』で語っている。ブランドンの夢は、作り方をもっと学ぶことだ。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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