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ディグ・モードvol.81「ルイ シェンタオ チェン(LOUIS SHENGTAO CHEN)」

ルイ シェンタオ チェン(LOUIS SHENGTAO CHEN)は、2021年に中国人デザイナーのルイ・シェンタオ・チェン(Louis Shengtao Chen)が設立したウィメンズウェア ブランド。セントラル セント マーチンズ卒業から1年後にブランドを設立したデザイナーは、女性らしさへのアプローチを楽しみながら、ブランドをよりグローバルに発展させたいと考えている。


CSM卒業1年後にブランド設立

2021年秋冬コレクション(Photography by Yi Tuo)

ルイがファッション デザイナーの夢を追い求めるようになったきっかけは、母親だ。中国でファッションのリソースが非常に限られていた2008年ごろ、彼はいつも母親からインスピレーションを受けていた。彼女はスタイリッシュな女性で、ルイがファッションの世界に感じた魅力と相まって、彼はファッション デザイナーになることを決意した。

北京の高校を卒業後、ロンドンに移り、セントラル セント マーチンズで学んだ。2020年に学士号を取得し、その1年後に自身のブランドを設立。それはもともと計画しておらず、すべて偶然の出来事だった。パンデミックで中国に戻ったとき、友人であるLabelhood(中国のデザイナーズブランド プラットフォーム)のZipengとTashaのおかげでチャンスが訪れたのだ。

2022年フォールコレクション(Courtesy of LOUIS SHENGTAO CHEN)

学士号の取得後にMAコースを受講し、英国から戻ってきて上海での最初のショーに取り組み、チームを構築する。そのすべてが1年以内にノンストップでおこなわれ、彼とチームは息つく暇もなかった。ワーカホリックのせいか休むと不安を感じるルイにとって、それは難しくともどこか簡単だったが、ビジネスの運営については経験がなく、非常に困難だった。

「私たちは上海での小さなファッションショーから急いで始めましたが、できる限り成熟していくように発展してきました。私たちは中国のファッション業界でうまくやっていると思いますが、私のブランドにはまだ発見すべきことがたくさんあります」とデザイナーは『Metal Magazine』で語っている。

ショーごとに頭の中でシーンを設定

2022年春夏コレクション(Courtesy of LOUIS SHENGTAO CHEN)

ルイの作品には、多くのリサーチとインスピレーションが取り入れられている。たとえば、彼がインスピレーションを得ているすべてのデザイナー、世界中で起こっていること、美術館、アート作品、本、映画など、視覚的なアートリソースが着想源だ。しかし、ブランドの魅力や面白さはショーごとに頭の中でシーンを設定していることだとデザイナーは説明する。

たとえば、彼がデビュー ショーで作成したシーンは、若い女性のグループがドレスアップして、初めての夜遊びデビューの準備をしているところだ。 2022年春夏コレクションでは、現実にとどまっている服とクレイジーで奇妙なたくさんの動物を並置することで、デザイナーは現実の世界における夢のシーンを構築した。

女性らしさへのアプローチを楽しむ

(Courtesy of LOUIS SHENGTAO CHEN)

ルイがブランドでおこなっていることは、女性らしさへのアプローチを楽しむことだ。ウィメンズウェアは男性デザイナーにとって大仕事だと彼は説明する。その理由は、自分自身の捉え方について女性とは異なる視点を持ち、いつも反対側にいるからだ。しかし、そこが一番の魅力だとデザイナーは考えている。

女性の複雑さや多様性に出会うことは、女性的な男性としての彼の考えを強化している。彼自身のアイデンティティにおける独自性とアンドロジナスが、プロセス全体を興味深いものにしているのだ。

ブランドをよりグローバルにしたい

2023年春夏コレクション(Courtesy of LOUIS SHENGTAO CHEN)

ルイは中国人として北京に生まれたが、デザイン アイデンティティを形作るものについては、他の文化に触れることの方が重要だと考えている。中国の伝統に焦点を当てているのではなく、衣服のデザインから使用するモデルに至るまで、ブランドをよりグローバルにしたいということが作品におけるポイントのひとつだと彼は説明する。

「私の最初のコレクションのスタイルは世界的な影響を受けており、いつものアジア人のテイストに合わない気がしますが、完全にヨーロッパ的というわけでもありません。私は自分のブランドが文化的影響の探求において多様であることを望んでいます」とルイは『1GRANARY』で語っている。

ルイ・シェンタオ・チェン(Photography via Tatler Asia

彼は自身の出身地を誇りに思っており、中国は多くの文化と可能性を秘めた国だと捉えている。しかし、彼が本当にやりたいことは、文化だけで定義するのではなく、自分の理解と感情だけで定義しようとする世界を構築することだ。デザイナーは伝統的な境界としての文化がもはや存在せず、新しい定義ができる別世界、すなわちルイの世界に人々を誘っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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