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ディグ・モードvol.84「ミウニク(MIUNIKU)」

ミウニク(MIUNIKU)は、2013年にインド出身デザイナーのティナ・ストラダール(Tina Sutradhar)とニキータ・ストラダール(Nikita Sutradhar)姉妹が設立したウィメンズウェア ブランド。幼い頃から国際的な視野を持って育ち、グローバル市場のために何かしたいと考えてきた姉妹は、2014年LVMHプライズを受賞した際に審査員からの言葉が忘れられないと言う。


アメリカのカートゥーンを見て育った

2017年秋冬コレクション(Courtesy of MIUNIKU)

インドのムンバイで生まれ育ったティナとニキータは、幼い頃から国際的な視野を持っていた。『宇宙家族ジェットソン(The Jetsons)』や『原始家族フリントストーン(The Flintstones)』、『パワーレンジャー(Power Rangers)』、『キャプテン プラネット(Captain Planet)』などのアメリカのカートゥーンを見て育ち、ポップ ミュージックに興味を持っていた。

姉妹の父はボリウッドバンドのリードギタリストで、よく海外旅行に出かけ、ロンドンからはキルト、アメリカからは洋服を持ってきてくれた。2009年、ティナはムンバイでビジネス研究の学士号を取得し、その年の後半にロンドン カレッジ オブ ファッション(London College of Fashion以下、LCF)でファッション マーケティングの短期コースを受講した。

2010年の夏、ニキータはムンバイのラッフルズ インターナショナルでファッション デザインの学位を取得。2010年後半、ふたりはLCFでパターン カッティングの学位を取得し、ウィメンズウェアの学士号(BA)コースに進んだ。非常に多文化なロンドンにはインスピレーションを得る場所が多数あり、彼女たちはストリートから多くのことを吸収した。

グローバル市場のために何かをしたい

2014年秋冬コレクション(Courtesy of MIUNIKU)

2013年6月にLCFを卒業した後、姉妹はムンバイに戻り、ブランドを設立した。ブランド名はデザイナーの両親が付けたあだ名に由来しており、ティナのミウ、ニキータのニクを合わせたものだ。ブランドの美学はクリーンなラインとグラフィックのディテールとのバランスであり、ミニマルとマキシマルの要素が混在している。

インドのファッション業界は、ほとんどブライダルウェアによって支配されており、そこには巨大なマーケットがある。しかし、姉妹のビジョンは常に国際的で、「わたしたちは幼い頃から、グローバル市場のために何かをしたいと考えていました」とティナは『ELLE』のインタビューで語っている。

最初に発表された2014年秋冬コレクションは、皿洗いから洗濯までありふれた家事が着想源となった。デザイナーたちは洗濯物を干すなどの過程を実際に研究し、洗剤の箱など家庭用品のエッセンスを取り入れて、少し風変わりだが着用しやすいコレクションに仕上げた。2014年5月、ふたりはLVMHプライズ フォー ヤング ファッション デザイナーで審査員特別賞を受賞した。

「インドの女性にサリーは不要だよね」

ティナとニキータ(Photography by Aditi Tailang)

LVMHプライズの審査委員会はユーモアを気に入っているようだった、とティナとニキータは振り返っている。作品はユーモラスだがシックで、きれいなラインとグラフィックのディテールを備えており、なかでも袖のついたドレスは審査員のカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)とマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)のお気に入りのようだった。

審査中、審査員のニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesiquière)が来店し、かなりの時間をかけてコレクションに目を通した。そしてデザイナーたちに質問をし、「インドの女性にサリーは要らないよね」と言って店を去った。姉妹は、その言葉が彼女たちにとって忘れられないものになっていると語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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