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ディグ・モードvol.59「ブルク アキョル(BURC AKYOL)」

ブルク アキョル(BURC AKYOL)は、2019年にトルコ系フランス人のブルク・アキョル(Burc Akyol)が設立したファッションブランド。セクシーさと厳格さという異なるふたつのコンセプトを持ち、正確でエレガントなラインを特徴とする。デザイナーはファッションを通じてルールに挑戦することで、変化を起こそうとしている。


デザイン熱に火をつけたのはエディ・スリマン

(Courtesy of BURC AKYOL)

パリのクチュール メゾンでテーラーとして働いていた父親からクラフトの手ほどきを受けたアキョルは、10歳のときエマニュエル ウンガロ(EMANUEL UNGARO)のオートクチュールのショー制作に関するドキュメンタリーを見て、服をデザインすることが自分の仕事だと確信した。同様に、エディ・スリマン(Hedi Slimane)もアキョルのデザインに対する情熱に火をつけた。

「子どもの頃、最初に驚いたのはエディ・スリマンによるディオール(DIOR)のスキニー デニムでした。本当に欲しいと感じたのはそれが初めてでした。購入するためには地元のカフェで3ヶ月間働かなければなりませんでしたが、私はいまだにそれを持っています」と彼はFashion Trust Arabiaのインタビューで語っている。

(Courtesy of Sarah Willmeroth)

彼はパリにあるファッションの学校、アンスティチュ・フランセ・ドゥ・ラ・モード(L’Institut Français de la Mode)を卒業後、数々のメゾンでデザイナーとして経験を培った。クリスチャン ディオールではジョン・ガリアーノ(John Galliano)の下で働き、バレンシアガ(BALENCIAGA)ではニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)の下で仕事した。

エマニュエル ウンガロではエステバン・コルタザール(Esteban Cortazar)の下で働き、コルタザールが同名のブランドを設立したとき、アキョルは彼について行った。そして2019年、彼はコルタザールの下を離れ、自身のブランドを立ち上げた。

ファッションを通じてルールに挑戦する

(Courtesy of Sarah Willmeroth)

正確でエレガントなラインを特徴とするブルク アキョルの作品は、パリのアトリエで手作りされており、使用される素材はカシミヤ糸、バージン ウール、イタリアとフランスの上質なシルクなど、持続可能で環境に配慮した高品質なものだ。生産はオーダーメイドと定義され、それによって過剰生産や無駄をなくしている。

ブルク アキョルには、「セクシーさ」と「厳格さ」という異なるコンセプトがある。アキョルにとってセクシーであることは遊び心があり、自信に満ちていて、ありのままの自分で遊ぶことができる快適なゾーンにいることを意味すると彼は説明している。

そして、ファッションを通じてルールに挑戦することは、デザイナーが変化を起こすための方法だ。「物事を変えたいのなら、その中にいる必要があります。外側からはできません。私は服装を男性と女性に分けたくありません。それは、あなたが着ているものに快適であることであり、あなたが選ぶものというジェンダーがあります」と彼は『WWD』で語っている。

芸術と文化は優しさを意味する

ブルク・アキョル(Courtesy of BURC AKYOL)

アキョルにとってファッションとは、特異な精神によってまとめられた布の背後にある魂であり、アートとカルチャーは優しさを意味する。彼がインスパイアされるものには出会った人々、旅した場所の神話、オートクチュールがある。インスピレーションを得るには自分の中にスペースが必要であり、そうでなければ、それを受け取る余地は無いと彼は説明する。

ちなみに、デザイナーお気に入りの本はウィリアム・ブレイク(William Blake)の『天国と地獄の結婚(The Marriage of Heaven and Hell)』、お気に入りの映画はジム・ジャームッシュ(Jim Jarmush)の『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(Only Lovers Left Alive)』だ。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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