ディグ・モードvol.23「シュシュ トン(SHUSHU/TONG)」
シュシュ トン(SHUSHU/TONG)は、2015年にリウシュ・レイ(Liushu Lei)とユートン・ジャン(Yutong Jiang)が立ち上げた上海拠点のウィメンズウェア ブランド。ブランド名は二人のニックネームから取ったもの。美学を「大胆でフェミニン」と表現するデュオは、ポップ カルチャーからインスピレーションを得て、現代の女性らしさを再考している。
NANAをきっかけにファッションの道を志す
レイとジャンがファッションに興味を持ったきっかけのひとつは、日本の漫画『NANA』だ。レイはもともと漫画家になりたかったが、高校時代に『NANA』を読んでファッション デザイナーを目指すようになった。ジャンは、中学のクラスメート全員が読んでいてそのファッションに感化され、授業中NANA風のイラストをノートにこっそり描いていた。
彼らは中国四川省の成都で育ち、同じ高校に通っていたが、クラスが違っていたため、当時は互いの存在すら知らなかった。二人が出会ったのは、上海の東華大学でデザインを勉強していたときのこと。地元だけでなく高校も同じことが分かり、すぐに親しくなった二人は、ほぼ毎日会って情報共有したり、お互いの興味について話したりした。
その後、彼らはロンドンに留学。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション 修士課程で学び、そこでルームメイトとなった。そして学生時代にブランドを立ち上げた。
レイはロンドンにいる間、アーデム(ERDEM)、ミュウミュウ(MIU MIU)、シモーネ ロシャ(SIMONE ROCHA)でインターンをした。そこで人々がチームとして働く様子を見たことは貴重な経験となり、それは現在のブランド運営に活かされている。
「スタジオがどのように機能するかについて、新しいビジョンを与えてくれたと思います。ファッション業界は意地悪だという噂をよく耳にしましたが、シモーネ ロシャは本当にかわいくて、みんな仲良くしていました。 私はそこで自信や幸せを感じました」とレイは『MATCHES FASHION』のインタビューで語っている。
女性らしさに強さを落とし込みたい
「ひねりを加えたフェミニンなスタイル」と評されるシュシュ トンは、女性らしさの概念を変えることに焦点を当てている。彼らが受けるインスピレーションの多くは、『カードキャプターさくら』や『魔法少女まどか☆マギカ」など、かわいい衣装を着た少女が世界を救う日本のアニメだ。
そこに登場するキャラクターは、弓や羽の付いたキュートな服を着ていても、世界を救うために戦う強い戦士である。よく中国では水が流動的で柔らかいことから、「女性は水でできている」と言われることがある。しかしレイは、柔らかさだけではなく強さを女性らしさに落とし込みたいと考えている。
デザインは女性第一、コンセプトは二の次
レイはクリエイティブ面、ジャンは運営や法務など会社に関することにより関心を持っているデザイナーデュオは、いつも次のシーズンについて話し合っている。レイはデザインするとき、常に女性が第一でコンセプトは二の次だ。それは、女性は何者にでもになれるという自身の考えに基づいている。
レイにとって、真のブランド イメージは女の子バージョンの自分であり、基本的に自分が着たいと思うものをデザインしている。「男性向けのデザインを考えたことはありませんでした。それは本能だと思います。 時々、私は自分の女性バージョンのためにデザインします」とレイは『1GRANARY』で語っている。
いつも読んでくださってありがとうございます☺︎いただいたサポートは、記事のクオリティ向上に活用させていただきます。応援よろしくお願いします❦